実地調査の代替としてのVTuber活動
私は宇宙人(大学院生)だ。
地球人の調査をしている。
いま地球にいるかって?
いない。遠い地球に来るのは面倒なのだ。
代わりに、母星からネットをつないで調査をしている。
なぜ調査をしているかって?
地球人の生態を調べるという名目で、星から予算が出ている。
基礎研究だ。
専門はニコニコ動画、YouTube。最近はYouTube Shorts動画もチェックするようにしている。
そう「ネットサーフィン」だ。
なんの役に立つかって?
たぶん役に立たない。基礎研究だし。
僕は研究を始めて1年にも満たない一介の学生だが、「ネットサーフィン」は面白い。しかも楽だ。
僕はこのまま「ネットサーフィン」の研究者になるのだ。
それが僕の夢だ。
――夢だった。指導教員に最初の報告をするまでは。
指導教員「実地調査をすると言って予算を取ってきたんだぞ。現地に行かないやつがあるか!」
僕「でも地球のネットは便利でして、、、、」
指導教員「動画を見ているだけじゃないか!」
僕「まあ、そうですけど、、、」
指導教員「仮に便利だったとしても、現地民との交流ができない学生は、卒業しても他で雇ってもらえないぞ!」
僕「おっしゃるとおりで」
ということで、実地調査をするように指示された。
だが、実地調査は面倒なのだ。
私は考えた。大事なのは実地調査そのものではない。
そう、現地民と交流するスキルこそが大事なのだ。
僕はVTuberになることにした。
身分を隠してVTuber事務所に応募し、合格。
VTuberとしてデビューすることになった。
人柄を買ってくれたみたいだ。*注1
デビュー前に、事務所内でテスト配信があった。
なんどか試してわかったのだが、僕はときどきぼーっとして見えるらしい。
通信のために静止軌道上の(古い)中継機を使っているのだが、その調子がときどき悪くなるのだ。
「あー、リスナーのみんな、ごめんごめん。通信に時間がかかってて」
ごまかすために、宇宙人VTuber としてデビューすることになった。*注2
1年目 活動報告
今年度は調査の準備段階と位置付けていて、目に見える大きな成果こそなかったが、
支給された研究費に見合う充実した一年だった。
来年こそは成果を報告できるだろう。
2年目 計画
1月: 初配信(予定)
2月: 登録者数 1000億人達成(予定)*注3
研究費使用用途
コンデンサマイク、Live2D *注4
*注1 指導教員のコメント: 「常識のない点を買ってもらったんじゃないか?」
*注2 指導教員のコメント: 「事務所の皆さんは見る目があるね」
*注3 指導教員のコメント: 「地球の人口、知ってる? アリじゃねぇんだぞ……」
*注4 指導教員のコメント: 「これ予算通るのかな……」




