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ノクティアの
「このあとは各々部屋を用意させているゆえ.ゆっくりするがよい」
という声で、乗客たちはゆっくりと立ち上がる。
エドワードは「午後は仕事があるから」
と爽やかに笑い、オーウェンに見送られながら客室へと向かった。
レイチェルも、イザベラも、バルトロメウスも、そしてサミュエル卿も。
皆、蛇が穴に戻るように、それぞれの個室へと消えていく。
ラウンジでは、プロビーが「やっと静かになったぜ」と、本格的に酒を飲み始めていた。
アウレリアと、アンディが呆れて
「なんて男なのよ」
「なんて兄なんだ」
と揃ってため息がでた。
パーティーがお開きとなり、一行はそれぞれの個室へと向かった。
「スノーホワイト号」の客室車両に足を踏み入れると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
「……ねぇルーク。
外から見た列車の幅より、廊下が広くない?」
アウレリアが目を丸くして問いかけると、ルークが事もなげに頷いた。
「ああ、全室に強力な『空間拡張魔法』が施されているんだ。
扉を開ければ、そこには外観からは想像もつかないVIPルームが広がっているはずだよ」
各部屋の配置は、以下のようになっていた。
【スイートルーム車両】
この車両は1両にわずか3室。拡張されてホテルの1室ほどの広さにクイーンサイズのベッド、ベルベット生地のソフィアセット、もちろんお風呂にトイレも高級品で揃えられている。
● 01号室:マダム・イザベラ
● 02号室:エドワード
● 03号室:レイチェル
【デラックス・ツイン車両】
高級ホテルのスイートに匹敵する広さを持つ車両です。二人部屋だが、魔法拡張によりプライバシーは守られている。
アウレリアが驚くほど広いリビングスペースがある。
● 04号室:バルトロメウス公爵
● 05号室:オーウェン
● 06号室:サミュエル卿
● 07号室:ルーク&アウレリア
【ロイヤルVIP車両】
王女のための豪華な寝室、サロン、そしてソフィアが控えるための専用の個室が連結された、この列車で最も巨大な魔法空間。
● 08号室:ノクティア&ソフィア
【一般・警護兵車両】
唯一の一般的な広さの部屋。とはいえ、魔法で快適に調整されている。
● 09号室:プロビー&アンディ
アウレリアは、扉を開けてまず目に飛び込んできた、上質なペルシャ絨毯が敷かれたリビングに驚いた。
「うわーすごい!」
部屋の中央には大理石のローテーブルと、座り心地の良そうな深いネイビーのソファが置かれている。
壁には窓が魔法で拡張されており、実際の車両の窓よりも一回り大きく、流れる白銀の世界をパノラマで楽しむことができた。
「 部屋の中に、こんなに大きなソファがあるなんて。ルーク、ここ本当に列車の中なの?」
アウレリアが驚いてソファにダイブすると、ルークは慣れた手つきでコートを脱ぎ、隅に置かれたサイドボードへ向かいます。
「はしゃぎ過ぎないでね」
ハハハと笑うルーク
サイドボードの上には、クリスタルのデキャンタや銀のティーセットが並び、その隣には重厚なライティングデスクが備え付けられていた。
部屋の奥には、魔法拡張によって生み出された十分な距離を保って、二つのベッドが並んでいた。
それぞれのベッドには、揺れを軽減するための魔法の天蓋がついており、シルクのカーテンを下ろせば、同室であっても完全なプライベート空間が確保されるようになっていた。
さらに驚くべきは、通路側の壁にある小さなドア。
開けるとそこには、猫足のバスタブとシャワーブースを備えた、アロマの香るバスルームが広がっていた。
「お湯が冷めない魔法」がかけられた浴槽は、外の極寒を忘れさせるほどの贅沢な一時を味わえる。
アウレリアは、自分のベッドに座って、ふかふかの枕の感触を確かめていた。
「これなら一晩中乗っていても疲れないわね。……
でもルーク、この部屋、隣の音とか全然聞こえないのね」
「空間拡張魔法は、物理的な距離だけでなく
『音の振動』も遮断するからね。隣の部屋でダンスパーティーでも開かれない限り、こちらの静寂が乱されることはないよ」
ルークは豪華なソファーに腰掛け本に目を落としながら話す。
アウレリアはふと、壁に埋め込まれた時計を見上げた。
「14時になるところね」




