表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したら子供探偵やってみた  作者: 紬衣琉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/88

65

翌日。

 朝の王都警察は、昨日よりもさらに慌ただしい空気に包まれていた。


 アウレリア、ルーク、ジュリアンの三人は、

 規制薬物対策課のフロアへ向かうため廊下を歩いていた。


 「ハロルドさん、もうカインの情報を調べてるかな」

 アウレリアが小さく呟く。


 ルークは肩をすくめた。

 「昨日の様子だと、徹夜で資料を漁っててもおかしくないな」


 ジュリアンが苦笑する。

 「家族サービスできてるといいんだが……」


 そんな会話をしながら課の扉を開けると、

 ちょうどハロルドが書類の山に埋もれながら、部下に指示を飛ばしているところだった。


 「ハロルドさん!」

 アウレリアが声をかけると、彼は顔を上げ、少し驚いたように目を細めた。


 「おお、アウレリアちゃんたちか。朝からどうした?」


 ハロルドは椅子から立ち上がり、

 まるで自分の娘を迎えるような柔らかい笑みを浮かべた。


 アウレリアは一歩前に出て、真剣な表情で尋ねた。

 「カインのこと……何か分かったことはありますか?」


 ハロルドは深く息を吐き、手にしていた資料を軽く叩いた。

 「昨夜から調べてたんだが……こいつは相当厄介だ」


 ルークが眉をひそめる。

 「やっぱり、ただの売人じゃないのか」


 「そうだ」

 ハロルドは頷き、資料を三人に見せた。


 「カインは“ミラー”の流通ルートを握っていた中心人物だ。

  売人どもはあいつを“仕入れ屋”と呼んでる。

  裏社会じゃ、かなり顔が利くらしい」


 ジュリアンが低く呟く。

 「つまり、ミラーの元凶に近い存在ってことか」


 ハロルドは腕を組み、険しい表情を見せた。

 「問題は……カインが最近、姿を消してることだ。

  取り締まりの直前に逃げたのか、誰かに匿われてるのか……」


 アウレリアは胸の奥がざわつくのを感じた。

 


 ハロルドはアウレリアの曇った表情に気づき、

 まるで娘を気遣うように声をかけた。


 「大丈夫だ、アウレリアちゃん。

  あの橋の下から離れた別の場所で、またミラーの売買が始まってるって情報が入った。

  ただ……カインの顔も背格好も、ほとんど記録がない。

  判別する手段がなくてな。まいったよ」


 アウレリアは不安げに眉を寄せる。

 ルークも腕を組んだまま、難しい表情で黙り込んだ。


 そのとき――

 廊下の向こうから軽い足音が近づき、勢いよく扉が開いた。


 「みんな、ちょうどよかった!」


 白衣を翻しながら入ってきたのはセラフィーナだった。

 手には調整を終えたばかりの魔力解析機を抱えている。


 ジュリアンが驚いたように目を見開く。

 「セラフィーナ、どうした?」


 セラフィーナは胸を張り、誇らしげに言った。


 「ミラーに反応するように、解析機を完全に調整できたわ!

  ミラーを使った人間は、魔力の流れが独特に乱れるの。

  その“揺らぎ”を検出できるようにしたのよ」


 アウレリアの瞳がぱっと明るくなる。

 「じゃあ……カインを見つけられる?」


 「ええ」

 セラフィーナは力強く頷いた。


 「今、新しくミラーが売られている場所に行って、

  この機械を作動させれば――

  一番強く反応する人間が“カイン”のはずよ。

  仕入れ屋である彼が、ミラーに最も深く触れているから」


 ルークが感心したように口笛を吹く。

 「やるじゃないか、セラフィーナ。科学の勝利だ」


 ジュリアンも頷き、ハロルドの方を見る。

 「ハロルドさん、これは使える。

  カインを特定できる唯一の手段になる」


 ハロルドはしばらく解析機を見つめ、

 やがて深く頷いた。


 「……よし。やってみる価値は十分にある。

  ミラーの揺らぎを追えば、カインを炙り出せるってわけだな」


 セラフィーナはにっこり笑った。

 「そういうこと!」


 アウレリアは胸に手を当て、ほっと息をついた。

 「これで……リディアの事件に近づける」


 ハロルドは優しい目でアウレリアを見つめた。

 「君たちの力が必要になる。

  準備ができたら、すぐに現場へ向かうぞ」


 ――こうして、カインを追い詰めるための“新たな手段”が整った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ