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被害女性、リディア・フェーンの昨日の行動を追うため、四人は学校と自宅周辺を丁寧に聞き込みして回った。
教師の証言では、リディアは放課後まっすぐ帰宅したはずだった。
友人たちも
「森になんて行く理由はない」と口を揃える。
彼女の生活圏と森の入り口は、そもそも反対方向だった。
「……じゃあ、森で襲われたわけじゃないってことか」
ルークが地図を見ながら呟く。
アウレリアは地図上の帰宅ルートを指でなぞった。
「この道を通って家に向かったなら……途中に橋があるわね、この橋は夜になると人けがないのよ」
四人はその橋へ向かった。
冬の名残が残る川の流れは冷たく、橋の下は薄暗い。
ジュリアンが懐中灯を向けた瞬間、アウレリアは息を呑んだ。
「……これ、血?」
橋の下、石畳の隙間に黒く乾いた“何か”が広がっていた。
雨で薄まってはいるが、量は少なくない。
「…魔力鑑定をして確かめてみよう」
セラフィーナは魔力鑑定を開始した。
革のカバンから取り出した魔力解析機械は、表面には使い込まれた跡が残る。
中央の円の中には複数の三角形と円が重なり合い、複雑な構造の魔法陣を描いている。その周囲には古代文字のような符号が並び、魔力の流れを視覚化できる仕様だ。
全体として、魔法と科学が融合したような造形で、王都の技術と魔術の粋を集めた装置であることが一目でわかる。
セラフィーナはアウレリアが不思議そうに見つめるので得意げに説明する。
「アウレリア、この魔法鑑定は、対象物に残った“魔力の残滓”を読み取ってるんだよ。
魔力が誰のものか、いつ付着したかを調べる事ができるの」
アウレリアが興味津々で質問した
「それって、魔力で個人を特定しているということかしら?」
セラフィーナは嬉しそうに
「そうなんだよ!
“魔力の揺らぎ”や“濃度の癖”を比較することで個人を特定してる。
だけどね、比較対象となる“魔力データ”がなければ意味がないし、雨や風で魔力が劣化すると精度が落ちる 。この鑑定も補助的な証拠としてしか使われないんだよね…」
少し残念そうにセラフィーナは説明した。
しばらくすると、セラフィーナの持っている魔法鑑定機が赤く光っている。
アウレリアが驚いている
「すごい!光ってるわ!!
それで、どうして光っているの?」
セラフィーナは説明したくてウズウズしている様だ
「これは、魔法陣の光る色で一致したのかがわかるんだよ!青は不一致、黄色は親族の可能性あり、赤は一致ってこと!
これ、発明した私すごいよね!!」
アウレリアははっとして
「すごい!てことはこの血は
リディアの血だったってこと?」
ルークが頷いて
「じゃあ……ここが犯行現場てことだな?」
セラフィーナも静かに頷いた。




