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四人は再び、ブランシェ・コートの非常階段へと向かった。
昨日と同じように、冷たい金属の手すりが沈黙している。
セラフィーナが手すりの一部を指さした。
「ここ。
昨日のうちに、この傷に付着してた微粒子を採取しておいた」
アウレリアが目を丸くする。
「もう鑑定してくれたの?」
セラフィーナは得意げに顎を上げた。
「もちろん。
魔法鑑定の結果――これは“金細工の金”だった。
しかも、ただの金じゃない。
とある有名な時計店が独自に配合してる合金だった」
ジュリアンが身を乗り出す。
「有名な時計店……?」
セラフィーナは
魔法鑑定の結果をファイルから取り出したする。
「《グラン・オルロージュ》っていう高級時計店。
上流階級や有名人御用達のブランド。
この金合金は、そこの時計にしか使われてない」
アウレリアははっとした。
「じゃあ、この傷は……
その時計が手すりにぶつかった跡……?」
ルークが静かに頷く。
「“グラン・オルロージュ”の時計を持ってる人物…… 」
そのとき、ルークがふと顔を上げた。
「待てよ」
彼はポケットからゴシップ誌のコピーを取り出し、
アリシアがミラに水をかけている写真を見つめた。
「……そうか。そういうことか」
アウレリアが首をかしげる。
「ルーク?」
ルークは少し照れくさそうに笑った。
「ねえ、アウレリア。
今回だけは――僕が探偵をやってもいいかな?」
アウレリアは目をぱちぱちさせた。
「ルークが……探偵?あなたははじめから探偵てしょ」
ルークは写真と手すり、
そして非常階段の構造を順に見回した。
「全部、繋がった気がする。
手すりの傷、時計、ミラが撮った写真、
それから……昨日の三人の証言」
セラフィーナが目を輝かせる。
「推理ショーやる!? 」
ジュリアンも静かに頷いた。
「分かった。
じゃあ、関係者をもう一度ラウンジに集めよう。
ルーク、君の推理を聞かせてくれ」
ルークは深く息を吸い込み、
手すりにそっと触れた。




