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そのとき――
バタバタッ!
撮影スタッフが、顔を真っ青にして駆け込んできた。
「ア、アリシアさんっ……! 大変です!」
アリシアは眉をひそめた。
「なによ、騒がしいわね。今取り込み中なんだけど?」
スタッフは息を切らしながら、震える手で雑誌を差し出した。
「こ、これ……!
今、ゴシップ誌の速報に……
アリシアさんがミラさんに水をかけている写真が……!」
アリシアの表情が一瞬で凍りつく。
「……は?」
スタッフは画面をアリシアの前に突き出した。
そこには――
撮影の合間、怒りに任せてミラに水をぶっかけるアリシアの姿が、
鮮明に写っていた。
アウレリアは息を呑む。
「これ……本当に……?」
レオンが苦笑いを浮かべる。
「うわ、出ちゃったか。
まあ、誰か撮っててもおかしくないよな」
ダミアンは顔色を変え、アリシアの前に立つ。
「アリシア、落ち着いてください。
これは……その、誤解を招く写真で――」
「誤解じゃないでしょ!」
アウレリアが思わず声を上げた。
「あなたたち、ミラさんにひどいことを……!」
アリシアは雑誌を奪い取るようにして画面を見つめた。
「……なんで……なんでこんな……!」
怒りとも焦りともつかない表情で、唇を噛む。
ジュリアンは静かに言った。
「アリシアさん。
あなたは“ミラを覚えていない”と言いましたが……
この写真を見る限り、かなり強い感情を向けていたように見えます」
アリシアは言葉を失った。
ルークは腕を組み、低くつぶやく。
「……これで、アリシアの証言は信用できなくなったな」
ラウンジの空気が、一気に張り詰めた。
アリシアの水かけ写真をじっと見つめた
アウレリアは眉を寄せたまま動かなかった。
「……ん〜なんか、この写真変じゃない?」
ジュリアンが首をかしげる。
「どこが変なんだ?、アウレリア?」
アウレリアは写真を指差した。
「この写真……構図が変なの。
アリシアさんとミラさんの位置関係、
背景の角度……撮った人の立ち位置が不自然」
ルークが興味深そうに覗き込む。
「不自然って、どういうことだ?」
アウレリアは立ち上がった。
「実際に行ってみれば分かるわ。
撮影された場所に行きましょう」




