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セラフィーナがアウレリアに近づこうとしたところで、ジュリアンが慌てて手を挙げた。
「ちょ、ちょっと待った! 説明は僕がするから!
セラフィーナに任せると……余談が三倍になるからね」
セラフィーナは不満そうに頬をふくらませる。
「余談じゃなくて補足よ」
ジュリアンは聞こえないふりをして、アウレリアとルークに向き直った。
「ええと……今回の件は“転落事故”として警察に通報されたんだ。
被害者は若い女性で、街でも評判の綺麗なウェイトレスだった。
働いていたレストランの非常階段から落ちたらしい」
アウレリアは眉を寄せる。
「事故……なの?」
ジュリアンは肩をすくめた。
「魔法捜査では“事故”と判定された。
残留魔力もなし、争った痕跡もなし。
魔法的には、ただの不幸な転落だ」
セラフィーナが横から口を挟む。
「でも科学的には違う。
肩の脱臼の角度、手首の圧痕、落下軌道……全部おかしい」
ジュリアンはため息をつく。
「ほら、こうやって余談が始まる。
とにかく――魔法では事故。でも、セラフィーナは“他殺の可能性が高い”と言っている」
アウレリアは息を呑んだ。
ルークは腕を組み、静かに言う。
「……だから俺たちを呼んだのか」
ジュリアンは頷いた。
「そう。
魔法が通じない視点を持つアウレリアと、
魔法捜査の外側を歩いてきたルーク。
二人なら、この事件の“盲点”を見つけられると思った」
セラフィーナが満足げに言う。
「そういうこと的。
さ、現場写真と検視結果を見せるわ 」
アウレリアとルークは顔を見合わせ、静かに頷いた。




