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二人は警察署の地下へと案内された。
階段を降りるたびに、空気がひんやりと変わっていく。
照明は薄暗く、壁には古い配管がむき出しになっている。
「……こんなところに研究室なんてあったの?」
アウレリアが小声でつぶやく。
ジュリアンは肩をすくめた。
「普通は立ち入り禁止だよ。まあ、彼女がどうしてもって言うからね」
ルークは眉をひそめる。
「彼女?」
ジュリアンは答えず、無言で歩き続けた。
地下の一番奥。
重厚な金属扉の前でジュリアンが立ち止まる。
扉には“検視局 特別分析室”と書かれたプレート。
その下には、なぜか悪魔のシルエットのステッカーが貼られている。
アウレリアは思わずルークを見る。
ルークも同じく困惑した表情を返した。
ジュリアンがノックしようと手を上げた瞬間――
ガチャッ、と内側から勢いよく扉が開いた。
「遅い。」
白衣に宇宙柄パーカーを着た女の子が、こちらをじっと見つめていた。
髪は少し乱れ、目の下には薄いクマ。
手には分厚いファイルと、なぜか悪魔学の本。
「君たちが例の探偵と……魔法無効体質の子だね。なんて、悪魔的なのかしら」
アウレリアは一瞬、息を呑んだ。
ルークは反射的にアウレリアの前に立つ。
ジュリアンは苦笑しながら紹介した。
「すまない、2人とも。
彼女は……セラフィーナ・クロウリー。
検視官だ。ちょっと変わってるけど、腕は確かだよ」
セラフィーナはにやりと笑った。
「変わってるは余計。
さ、入って。見せたいものがある。
…とっても魅惑的」
アウレリアとルークは顔を見合わせ、静かに頷いた。
そして二人は、セラフィーナの“特別分析室”へ足を踏み入れた。




