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クラリッサ目線
はぁ…私の人生はこのまま夫に愛されないまま終わるのかしら。
屋敷から庭を見おろし、紅茶を飲む。
廃れてはいるけど一応男爵の爵位をもつ家の末娘のクラリッサ。会ったこともない実業家に嫁ぐと言われ、王都に来たけれど。
夫は仕事ばかりで、話すことも全く合わない。
多分夫は男爵の爵位が目的で結婚したのだろうと思い、冷えた夫婦関係だと感じていた。
クラリッサの唯一の楽しみは、庭いじりだった。
季節の花々、特にバラがお気に入りで自分でも手入れをしていた。
夏に入ったバラは特にお気に入りだったが、世話が難しいため、夫に庭師を増やしてほしいとお願いした。
夫は、興味もなさそうに
「君の好きにするといい」
と冷たく言われた。
興味なんて持ってくれていないと思ってはいたが、態度に出されるとつらかった…
翌日から、ダリルという庭師が増えた。
お気に入りのバラに詳しくて、周りの使用人や他の庭師は滅多にはなしかけてこないのに、ダリルは違った。
ダリルの話す言葉にここが溶かされる様だった。
夫ではない男性と2人で話すことはよくないだろうが、バラの話をしているだけだからと、自分に言い聞かせて、ダリルと過ごす時間が増えた。
夫から、港建設の事業を共同で進めないかと言われ、断れず一緒に仕事をした、話すことは増えたが、逆に仕事以外の話をすることがなくなり、孤独さは増して行った。
ダリルに心惹かれる自分に罪悪感を抱きながらも、禁断の恋をしていると、自分に酔っていた。
共同で進めていた事業が成功した日
パーティーを開いた。私だけこの場所で浮いた存在に思えて、夫に体調が悪いと伝えて部屋に戻った。
部屋に戻ると、なぜかダリルが待っていた。
優し笑顔でダリルが話した
「クラリッサ様、大丈夫ですか?とても辛そうに見えました。心配でここまで来てしまいました。」
クラリッサの手を手袋越しに触れる。
ダリルの暖かさに絆され
「私は、ここに居場所はないのかもしれないわ」
クラリッサは伏し目がちに本音を漏らした
ダリルは悲しそうに、でも少し困った様な表情で続けた
「クラリッサ様、僕がここから連れ出してあげましょうか?」
クラリッサははっと顔を上げて
「な、何を言っているの??
ここから出るなんて無理よ…私は出られない」
ダリルは悪戯に笑って計画を話した。
「クラリッサ様の協力があれば僕がここから出してあげます。そして自由に生きて生きませんか?」
おもむろにダリルはクラリッサの前にひざまずいて、手の甲に軽く触れる程度の口付けをした。
クラリッサは顔を真っ赤にして、このドラマティックな展開に胸が躍って、つい言ってしまう
「私、私を自由にして!」
そこからは、誘拐を偽装してダリルの知り合いを通して、街の外れのバンガローに身を隠した。
私は知らない間に
ダリルがお金も必要だからと、夫から身代金として500万分の金塊を受け取っていた。
ときが来れば隣国に渡り、自由に過ごすと話していた。しかしダリルは変わって行った…




