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ジュリアンは気を取り直して真剣な眼差しで
「ゴホン。君の言う通り誘拐事件は時間との勝負だ。時間が経てば立つほど人質の命は危なくなる。だから…ルークがここ最近事件を解決していると聞いてなぁ」
ジュリアンはルークを横目に見て、声を震わせた。
「意見を聞かせてくれ!非公式に協力してほしい。頼む!」
必死に頭を下げ、握り拳は震えていた。
ルークはしかめっ面になり、紅茶を飲み干しながらため息をついた。
「あーわかったよ。だが、助手に聞いてから受けるか決めよう」
ルークはアウレリアを仰ぎ見た。
アウレリアは目を輝かせ、胸を張って答えた。
「ぜひ協力するわ!」
ジュリアンは驚きに目を見開き、思わず笑みをこぼした。
ルークはやれやれと肩をすくめ、うんざりした様子で呟いた。
「結局、仕事しなきゃならないのか……」
ティーセットを片付けたテーブルに資料を広げたジュリアンは事件の詳細を話した…
遡ること…1週間前。実業家ヴィクター・ハリントン氏は妻を誘拐された。すぐに身代金の要求があり500万円相当の金を用意し、指定の場所に置いておくように指示があった。ヴィクターは警察に通報することなく、指示に従い身代金を用意し、指定の場所へ置いた。金の入ったかばんはなくないっていたが、妻のクラリッサが戻ることはなかった。
身代金の受け渡しの3日後ヴィクターは警察へ通報した。
アウレリアは不思議そうに
「どうして夫は誘拐に気がついた時点で警察に言わなかったのかしら」
ジュリアンは呆れるように
「妻が誘拐されたが、ヴィクターにしてみれば世間体が悪く、内々に収めておきたかったそうだ。」
アウレリアは眉をあげて小さく呟いた
「愛しているのかいないのか分からない人ね」
ジュリアンは資料を指で叩きながら、話を戻して説明を再開した
「それが昨日、街の外れのバンガローを通りかかった男性が、中にいる女性を見たんだ。
報道されていたクラリッサに似ていたらしい。髪の色も、着ていたコートも一致していた。
だが、彼がじっと見ていると、背後から何者かに襲われ、気を失った。
目を覚ました時には女性も、襲った人物も消えていたそうだ」
アウレリアは息を呑んだ。
「じゃあ……奥さんはまだ生きているの?」




