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お昼休み、簡単にランチを済ませたセシルとアウレリアは中庭で待つルークと待ち合わせた。
ルークは恭しくセシルに挨拶をし
「お初にお目にかかります。探偵をしているルークと申します。実はお父様から依頼され、なくなった宝石の行方を追っていました。」
アウレリアは少し話ずらそうに
「私は、ルークの助手をしているの、学校に潜入して捜査していたの。内緒にしていてごめんね。」
セシルはびっくりした表情をしているがすぐに少し寂しそうに
「アウレリア、そうだったのね。お友達になれたと思っていたのに…」
「お、お友達よ!私はあなたとお友達だとおもっているわ!」
思わず大きな声が出たが、アウレリアの必死な目を見てセシルは笑い出した。
「よかったわ!アウレリアはアウレリアなのね、うふふ」
穏やかな空気に包まれたが、アウレリアが切り出した。
「セシルの宝石をとったのは犯人は、生徒の中にはいないわ。」
セシルが息を呑み、ルークが黙って頷く。
「そして宝石。昼の光では緑、夜の灯りでは赤に変わるアレキサンドライト。
セシルが価値がないと思ったのも仕方ないわ。でもある国では“皇帝の宝石”。故郷へ帰るための切符になり得る」
アウレリアは視線をゆっくり上げ、近くに立つ清掃員を見た。
「ラシード…あなたの故郷でそう言われるのよね?」
ラシードの肩が震え、やがて涙がこぼれた。
「……盗んだのは僕です。返そうと思ったけど、見つかったら追放されると思って…怖かったんです。
でも、家族が待っている故郷へ帰りたかった」
アウレリアは一歩近づき、柔らかく微笑んだ。
「分かってる。だから、一緒に戻そう」
ラシードはポケットからアレキサンドライトを取り出し、膝をついて差し出した。
「すみませんでした…」
セシルは涙を浮かべながら受け取り、静かに微笑んだ。
「宝石が戻れば私はいいのよ。あなたも帰れるといいわね」
その様子を見ていたルークは、灰色の瞳を細めて笑った。
「よくやったな、小さな探偵さん」




