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「おかえり。さて、今日の成果は?」
アウレリアは深呼吸してから、真剣な声で報告を始めた。
「セシルへの接触に成功したわ。彼女の自作自演というのはないわね!盗まれたことを本当に悲しんでいたもの。
生徒たちのセシルへの対応も確認したけど、いじめられているようにも見えなかった。
……だから、犯人は生徒にはいないと思うわ。だけど外部の人が入るのはムリ、内部の人間しか犯行は不可能だわ」
ルークは灰色の瞳を細め、口元に皮肉な笑みを浮かべた。
「素晴らしいねー。想像以上にやるもんだ」
アウレリアはルークに褒められ胸を張った。
「それほどでも…あるわね!」
「あなたに調べてほしいことがあるわ!セシルが盗まれた言う宝石はどんなものだったのかしら?セシルは高価ではないと言っていたけれど、高価でないものを盗るかしら 」
ルークはコーヒーを一口啜り、肩をすくめた。
「わかったよ。まず助手としては上出来だ。さて、次はその“内部の人間”をどう炙り出すかだな…」
アウレリアも出された紅茶をごくっと飲んだ。
「ふー、ちょっと緊張したわ。久しぶりの小学校だし、まぁまぁ楽しめたわ」
大人っぽ振る舞おうとしているが、足は床に届いていないためぷらぷらと揺れている。
言葉と態度が合っていないのが可愛らしく見えて、ルークは頬杖をついてくすっと笑った
「アウレリア嬢のお気に召した様で、僕も嬉しいね」
アウレリアはからかわれたと思い少しムスッとして
「もう、学校へ戻るわ!また明日報告にくるわね!」
とふわっと椅子から降りて扉まで歩く
扉を開けながら振り返り
「ルーク、女性をからかいすぎると、モテないわよ。べーっ」
ガタンと閉まる扉。ルークは吹き出し、声をあげて笑った。
「ハハハー。はぁー楽しいなぁ…助手がいると退屈しない」
事務所に残された笑い声だけが、夕暮れの静けさに溶けていった。




