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着せ替え人形のように着ては脱ぐを繰り返す。ルークの前に連れて行かれ、丸サインが出ると購入するという、流れ作業が終わったのは、お昼を過ぎていた。
ルークは肩をすくめ、灰色の瞳を細めて笑った。
「これで準備万端だね。あとは君が事件を解決するだけだ。僕はカフェでコーヒーを飲みながら報告を待つよ」
アウレリアはへとへとになりながらも、胸の奥に小さな期待を抱いた。
──王都の小学校で、どんな真実が待っているのだろう。
王都の小学校は、白い石造りの堂々たる校舎だった。
校門をくぐると、アウレリアは思わず背筋を伸ばした。領地の学校とは比べものにならないほどの規模と格式が漂っている。
玄関ホールで待っていたのは、校長だった。銀髪をきちんと撫でつけ、穏やかな笑みを浮かべている。が昔はイケメンだったであろうと感じ取れる顔つきだ。
「やあ、ルーク。久しぶりだね。君が卒業してからもう十年以上にになるかな?」
ルークは肩をすくめ、灰色の瞳を細めて笑った。
「校長先生、相変わらずお元気そうで。僕が優秀だったなんて、今でも言ってるんですか?」
校長は目を細め、アウレリアへ視線を移した。
「もちろんだよ。さてさて、この子が……助手さんかな? 事情は理解しているよ。転校生として迎え入れるが、表向きは普通の生徒だ。探偵の仕事だと知っているのは私だけだ、安心しなさい」
アウレリアは驚き、思わず息を呑んだ。
──校長先生が知っているなんて……。
ルークは軽く笑い、アウレリアの肩を叩いた。
「ほらね、心配いらない。校長先生は僕の恩師で、僕が王都で唯一信頼できる人だ。君の潜入は完璧にカバーできているんだよ」
校長は真剣な眼差しでアウレリアを見つめた。
「君の役目は大きい。だが、子供として自然に振る舞うことも忘れてはいけない。……さあ、教室へ案内しよう」
アウレリアの頭を校長先生の優しい手が撫でる。緊張していたから、余計に温かく感じた。




