17
王都の大通りは朝から賑わっていた。露店には焼き菓子や果物が並び、通りにはブティックや文具店が軒を連ねている。
ルークは人混みを器用にすり抜けながら、アウレリアを引っ張っていく。
「まずは制服だね。きちんとした格好をしないと」
「助手なのに、学校に潜入するのは私だけなのね……」
アウレリアは小声でぼやいたが、ルークは聞こえないふりをしている。
制服屋では、濃紺のブレザーと白いシャツ、リボンが用意された。
鏡の前で着替えたアウレリアを見て、ルークは満足げに頷いた。
「うん、立派な転入生だ。これなら誰も疑わない」
次に文具店でノートや鉛筆を買い揃える。アウレリアは真剣に選んでいたが、ルークは退屈そうに店先の菓子をつまんでいた。
「……あなた、やる気あるの?」
「もちろん。君が潜入するための準備をしてるんだから、僕は立派な保護者だよ」
最後に本屋で教科書を手に入れ、荷物を抱えたアウレリアは大きく息を吐いた。
「これで準備は整ったわね」
ルークはもう少し買い物しようと、ニコニコしながら、子供服を取り扱うブティックへ入って行った
アウレリアは困惑しつつ
「ど、どうして?ここで何買うのよ?」
悪戯な笑顔を浮かべて、お店の奥のソファに座るルーク。当然かのように、店員を呼びつける。
「いいかな?この子に似合う服をとりあえず20着もらおうかな?良さそうなものを見繕ってあげてくれる?」
何も言わないのに、店員はルークに紅茶をだす。すっと受け取り、王都ならではの上品さで紅茶を一口
「試着して、着心地の良さそうなものや君の好みの服があれば、購入リストに入れてね」
アウレリアは店員に引きずられて試着室へ
次々と服を着せられ、鏡に映る自分を見てため息をついた。
──私は探偵助手のはずなのに、まるで人形みたい。
ルークは紅茶を優雅に啜りながら、丸サインを出す。
「いいね、これも買おう。君が事件を解決する時に、見た目も大事だからね」
アウレリアは呆れつつも、心の奥で少しだけ誇らしい気持ちを覚えていた。
──王都での新しい自分が始まるのかもしれない。




