第4話「情」
大きなため息をつきメンタルが賢者モードに突入する。
ゴミ箱には使用済みのティッシュを菓子パンの袋に押し込んで捨てた形跡があり、俺はというと育ての母親をおかずにいたしてしまった罪悪感で寝そべっていた。
(粗いサンプル動画じゃ抜けなかった……)
青年誌のグラビアでは足りず、ガラケーの画質の悪いループアニメでも物足りず、本能が求める妄想の到着点がひとつ屋根の下で暮らす家族をズリネタにすることだった。
(びっくりするぐら……すごかったな……)
なにがどうすごいのか、はこの際割愛して若い肉体は思う存分思いのままに欲望を吐き出してくれた。……結果、とてつもなく疲れてしまって眠り、目が覚めた頃には窓の外はとっぷりと暗くなっていた。
(母さんの様子も気になるし見に行こうかな)
正直、脳内でとんでもないことをしていた女性に対峙するのは気まずい。顔に出さなければ分からないだろうけど、身内をズリネタにした罪悪感なんてものはこっちに来てから初めてだった。
腹も減ったしトイレにも行きたいし、と起き上がり階下に行く。明かりのついたリビングには静かなテレビの音が聞こえていた。
「あら、奏汰くん起きてきた?」
「うん。足の具合はどう?」
「大丈夫だと思うけど念のため明日、凜花に病院に連れて行ってもらうわ」
「そうか、よかった。役に立てなくてごめん」
しゅんと謝る俺に母さんは優しく微笑んでくれる。
「そういえば姉さんは? まだ学校?」
「そうね、あまり家に仕事を持ち帰りたがらないから遅くなっちゃうみたい」
「弟とはいえ、自宅に生徒がいるんじゃなぁ」
「ちょっといま大変みたいなの。でも詳しくは私も聞いていなくて……」
姉さんは母さんにべったりの甘えん坊だから、仕事の話もプライベートの話も全部母さんの耳に入っているものだと思っていた。
「凜花ちゃんも大人になっちゃったのかしら。ふふっ、寂しいけど喜ばしいことよね」
「親からすれば、いつまで経っても子どもは子どもなんだよね」
「あら? それはあなたもそうなのよ、奏汰くん」
母さんの指先が、紙に触れる。指先からいい匂いがして、ハンドクリームなのかな……母さんっぽい柔らかい花の香りに、俺はうっとりと親子の時間をかみしめた。
叶うならばこの時が永久に続きますように――
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