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ダンジョン最深部で「人類最強」のボスやってるけど、暇すぎて始めた配信がバズって勇者たちがファンになって攻めてこない  作者: 無響室の告白


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3/5

第3話:奈落の炎上請負人、目覚める

「どうしてこうなるんだよぉぉぉ!!」


配信終了から数時間後。


奈落の玉座に、バルバトスの絶叫が響き渡った。


彼の手には、先ほど即興で作ったはずの『人類滅亡Tシャツ』の売上レポートが握られている。


「『滅亡』って言ったんだよ!? 『皆殺しだ』って!! なんで『イベントTシャツのデザイン神すぎww』とか『ボス、厨二病RPロールプレイ乙』ってコメントで埋まるんだよ!」


ゴブリンADが疲れ切った顔で、タブレット端末を操作しながら答える。


「ボス、諦めてください。視聴者はボスのことを『照れ屋なエンターテイナー』だと思い込んでます。


今の発言も、次の大型コラボ配信への布石だと解釈されて、同接数が過去最高を更新しました」


「布石じゃない、本気なんだよ! このままだとあと29日で俺が『BAN(存在消去)』されちゃうんだよ!!」


赤い警告ウィンドウが空中に点滅し、『猶予期間:残り29日 23時間』という無慈悲なカウントダウンを刻んでいる。


バルバトスは頭を抱えて玉座に沈み込んだ。


「こうなったら、自力じゃ無理だ。俺には『嫌われる才能』が足りない……。ゴブAD、あれを開けるぞ」


「あれ、ですか? まさか……」


「そうだ。ダンジョン建設時に封印された、地下倉庫の『開かずの間』だ」


バルバトスとゴブリンADは、スタジオの裏手にある隠し通路を通り、埃っぽい地下倉庫へと足を踏み入れた。


そこは、先代の魔王たちが遺した


「危険すぎて使えないアイテム」


が眠る場所だ。


バルバトスの狙いは一つ。


部屋の最奥に鎮座する、禍々しい鎖で縛られた黒曜石の棺である。


「こいつは先代魔王の時代、あまりにも性格が悪すぎて味方の士気まで下げるから封印されたという伝説の悪魔……。彼女なら、俺を『ガチの嫌われ者』にする知恵を持っているはずだ」


「ボス、本当に大丈夫ッスか? 封印の札に『取り扱い注意:混ぜるな危険』って書いてありますけど」


「背に腹は代えられん! いでよ、究極の嫌われ者!」


バルバトスが魔力を叩きつけると、鎖が砕け散り、重厚な蓋が吹き飛んだ。


中から立ち上る紫色の煙。


そして、甘く危険な香りが漂う。


「……ふぁぁ。うるさいわね。数百年ぶりの目覚めくらい、優雅に演出なさいよ」


煙の中から現れたのは、露出度の高いゴシックドレスに身を包み、背中に小さなコウモリの翼を生やした少女だった。


眠たげな瞳だが、その奥には狡猾な光が宿っている。


彼女こそ、魅了と精神干渉を司るサキュバスの変異種、リリス。


かつて『精神的苦痛を与えること』に特化しすぎて、勇者よりも味方に恐れられた元・魔王軍参謀である。


「貴方が今の魔王? ……随分と間の抜けた顔をしてるわね。殺気がない、威厳がない、何より『悪意』がない」


リリスはバルバトスの顔を覗き込み、鼻で笑った。


「初めまして、先輩。俺はバルバトス。実は今、切実に『勇者に嫌われたい』と思ってまして……プロデュースをお願いできませんか?」


バルバトスが土下座の勢いで頼み込むと、リリスは目を丸くし、やがてニヤリと口角を吊り上げた。


「面白いわ。世界征服よりも難題ね、『愛されすぎた魔王』を『憎悪の象徴』に堕とすなんて」


彼女は指先で空中に円を描き、バルバトスの持つ魔導配信石を奪い取った。


「いいでしょう。この私が、貴方の『悪徳プロデューサー』になってあげる。


手始めに、その甘ったれたファン層の精神を、ズタズタに引き裂いてあげるわ」


最深部に、新たな仲間トラブルメーカーが加わった瞬間だった。



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【登場人物】

- リリス (Lilith): 悪徳プロデューサー / 元・魔王軍参謀のサキュバス


- バルバトス (Barbatos): ダンジョン最深部のラスボス兼、登録者数100万人超えの大人気配信者「まおーちゃん」。見た目は禍々しい漆黒の鎧騎士だが、中身は気さくで少し天然な性格。人類を滅ぼす気は全くなく、最近の悩みは「勇者たちがオフ会(討伐)に来てくれないこと」。 (口調: 「はい、こんまお~! 奈落の底からお届けしてます、まおーちゃんです。あ、勇者くん赤スパありがとね~! 『いつか会いに行きます』って、もう3年も待ってるんだけどなぁ……ま、いっか! 今日はレトロゲーやるよ!」)


- ゴブリンAD (Goblin AD): ダンジョンの雑魚モンスターだが、現在は配信のアシスタントディレクター兼カメラマン。機材トラブルへの対応や、ボスが炎上しそうな発言をした際のフォロー担当。 (口調: 「ボス、マイクの魔力ゲインが入ってないッス! あと、90階層に侵入者いましたけど『撮影中につき立入禁止』の看板立てて追い返しておきました!」)


【場所】

- 地下倉庫 (Underground Warehouse): ダンジョン建設時に作られた保管庫。危険すぎるアイテムや手に負えない魔物が封印されている「開かずの間」がある。


【アイテム・用語】

- 黒曜石の棺 (Obsidian Coffin): リリスが封印されていた棺。鎖と呪符で厳重に封じられていた。

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