「トランプ関税」は「消費税」の牙城を崩す大チャンス!
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回はSNSで最初知って、調べてみたところ、
トランプ大統領が2月13日「関税よりもはるかに厳しいVATを導入している国々は、関税を課しているのと同等と見なす。これに加え、他国による補助金にも規定を設ける」と述べたことについて語っていこうと思います。
VATと言うのは「付加価値税」と呼ばれていますが、日本では「消費税」と捉えてもらって構いません。
日本でもNHKの2月16日の記事で『トランプ大統領 “付加価値税や補助金も相互関税課す理由に”』で似たような内容が書いてありますね。
質問者:
どうして消費税が関税と同等の扱いなのでしょうか……。
筆者:
まず消費税の輸出企業の状況から説明したいと思います。
欧州や日本での消費税では(ちなみに批判しているアメリカでは消費税が無い州も多いです)、輸出品は、消費税の課税対象外(税率0%)となるため、輸出時の売上に対しては消費税が発生しません。
これは、消費税が最終消費に対して課される税であるため、国外で消費される製品に税負担を課すのは不合理であると考えているのです。
(実際の消費税法では消費者の預かり税では無く、法人に課せられるために“第二法人税”の性質が強いもので上記の考えは法律上の観点では誤っていると思われます)
消費税の売り上げが「課税対象外」と言うのはどういう影響があるのかと言いますと、
「現金で売上110円(税込) 仕入66円(税込)」の会社があったとします。
本来であれば売り上げにかかる消費税10円から仕入れにかかった消費税6円を控除した(引いた)4円を納めます。
これにより手元に増えるお金は110円(受取)- 66円(仕入支出)- (納付額 10円-6円)= 40円です。
売上金額の半分が国内販売、半分が海外販売のケースですと
110円(受取)- 66円(実質支出)-(納付額3円-2円)= 45円
このように、同じ物を同じ金額で売ったとしても売った先が海外であると言うだけで、全く違った様相を呈するわけです。
システムの構造上、このように消費税は輸出を推進する性質も持つことから「輸出補助金」とも言われることがあります。
※コメント欄でご指摘があったので一部訂正しますが、
全てが国内で仕入れた商品の場合でも、国内向けと海外向けに按分して、国内向け分については仕入税額控除が適用され、輸出分の仕入はゼロ税率となります。
つまり、売上の構成割合に応じて控除額が変動するために本来であれば、手元に残る金額としては変わりません。
しかし、アメリカでは消費税又は付加価値税の無い州地域も存在するために日本の消費税金額分を上乗せして(為替分は考慮しないですが)利益をプラス5円出すことも可能となります。
質問者:
あぁ~なるほど。この「輸出補助金」のシステムがあるから「輸出を推進している制度」ということで「関税」と同等の扱いをトランプさんはされているという事なんですね?
消費税の輸出補助金の要素を無くすことを求めているという事ですか……。
筆者:
そういうことです。
少なくとも国内に売るよりメリットがあるためにバンバン輸出してきます。
「輸出補助金」の要素が無ければより現地生産のメリットが上がってきますからね。
トランプ大統領はビジネスマン出身ですからこの構造を熟知されていて発言していたということですね。
ちなみに日本においては上位20社で2兆円の輸出補助金。令和5年の還付見込み額総計は10兆6981億円とのことです。
これは更に言うのであれば消費税が上がれば上がるほどプラスの額が増えていきます。
経団連が「責任ある税制のために消費税を上げろ」と言っているのは、
多くが輸出業者だからです。
つまるところ「輸出補助金を増やして僕たち大企業はノーダメージだけど、国民は苦しんでね」と言っているのと同じなわけです。
質問者:
本当に酷いですね……。
筆者:
法人が納める税のために消費税はGDPに含まれるという性質があります。
(実際は法人税に近い形で後で納めるため)
日本のGDPが初の600兆円になったというニュースが最近ありましたが、
GDPを「豊かさの指標」にすることは間違っていると僕は度々言っていますがこういった性質もあるという事です。
質問者:
消費税って話を詳しく聞くたびに一般国民に損ばかりがあり、お金持ちの方々に有利に働く税なんですね……。
筆者:
また消費税増税をすれば物価が上がる要因にはなりますが、消費減税をしても「第二法人税」であることから必ずしも物価が下がるとも限りません。
(税込みで同じ金額で実質的な値上げの可能性があるため)
正直言って消費税とは一般国民にとって「100害あって1利なし」と言っても過言では無く「存在しないことが一番」であると言えるのです。
(完全廃止をすれば公共料金や電気代などは流石に下がることが予想されます)
◇「財源」として真っ先に活躍してもらいたい
質問者:
しかも、10兆円も輸出企業には還付(返金)されるってどう考えても異常ですよね……。
筆者:
僕は「財源」は必要ないと思っているのですが、「財源論」として声高に語るのであれば、まずはこの「輸出補助金を廃止」することから真っ先に始めてもらいたいです。
「178万円の財源」とされている7兆円をここの項目だけで一瞬で確保できます。
余ったお金を少子化対策や農業支援にも充てられるでしょう。
ちなみにトヨタ自動車は2023年3月31日年間決算で法人税が5844億円なのに対して輸出還付金は6102億円と何と無税どころかほぼ同時期で見た場合でちょっとプラスになっているわけです。
(24年は法人税が1兆1788億円も還付金は現在のところ不明)
このように輸出企業にとって消費税還付と言うのは「ドル箱」であり、推進するのはある種企業利益にとって“当たり前“とも言えるわけです。
企業に利益が出ることはその会社の役員と株主だけに恩恵があり、一般国民には何のプラスにもなりません。それをまた、海外などに投資しているんですから本当にたまりません。
「応能負担」という言葉がありますが、日本の大企業は力を持ちながら納税をほとんどしていないという事は個人と比べると異常であると言えます。
そのために僕は負担増をするなら個人では無くまだまだ払える大企業であると言い続けてきているわけです。
質問者:
消費税が“第二法人税“という事なら実質的に輸出企業が無税だってことですか……。
そこまで大企業を保護して給料が上がっていないのはあんまりです……。
筆者:
また補助金制度として別に「給料を上げただけで法人税が一部免除」と言う狂った制度もあるために、法人税は大企業にとって軽減されやすい側面もありますね。
しかも消費税は仕入税額控除(消費税のマイナス)に該当しないために給料押し下げ要因にもなります。
質問者:
それなら最低でも仕入税額控除に給料も含めて欲しいですよね……。
筆者:
消費税は何度も申し上げますが、大企業に有利なだけの完全に狂った制度と言えます。
賃上げが出来ず補助金が貰えない中小企業を殲滅させて大企業の寡占市場にしたいのでしょうね。
日本国民としては最終目標である消費税廃止に向けて、取り敢えずは「輸出還付金」としての要素を無くしていくことに全力を注いだ方が良いと思います。
いきなり消費税廃止と言うのは難しいと思いますからね。
質問者:
アメリカの追い風を受けてという事ですか?
筆者:
そういうことです。正直言って「外圧」の力を借りるというのは非常に情けない話ではあるのですが、どんな論理や状況を使ってでも消費税の悪い構造を少しでも転換できればそれでいいと思います。
また消費税の「輸出還付金」の要素が無くなれば大企業も消費増税を叫ばなくなる可能性が高いので非常に大きいと思います。
質問者:
「輸出補助金廃止」となると大企業の一部の工場が海外流出する可能性はありませんか?
筆者:
確かにその点はマイナスですが、それを原資に一般国民に対する減税が出来る、増税が起きないことを思えば国民にとっては総合的に見てプラスかなと思っています。
大企業も「輸出補助金」を守りたいのであれば僕達と一緒に「減税派」に鞍替えしてくれればいいだけだと思いますしね。
質問者:
確かにみんなで一緒に豊かになるのが一番いいですからね。
筆者:
「悪い者捜し」するよりはずっと良いと思っています。ただ、敢えて挙げるのだとするなら「一緒によくなろう」という事を妨害する政治家、財務省、マスコミ、経団連の4つが”悪者”だという事です。
「輸出補助金」のことを皆さんが気付いて、それを皮切りに皆が良い世の中になってくれればなと思いますね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回はトランプ大統領の「消費税と関税が同等」であることは「消費税の還付が輸出補助金としての要素がある」という事。
輸出補助金としての要素が無くなれば大企業が黙るので、これをプッシュしていこうという事を申し上げました。
今後もこのような政治経済について個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。