渇望
「雑魚が!私の邪魔をするな。」
ムーの槍はひ弱そうな男を貫く。
ひ弱そうな男は我が身を顧みずムーの両腕をつかみ叫ぶ。
「気に食わないんだ!全部!全部!全部だ!」
現世において絶対的な権能をもつムーにとってひ弱そうな男の命がけの妨害は
ほぼ無意味であった。
ひ弱そうな男は上半身と下半身がちぎれその場に横たわる。
「貴様は何度殺されれば気が済むのだ、時間の無駄だ。」
不亜はひ弱そうな男に感化された。
共通するのは理想への渇望。ただそれだけであるが充分であった。
しかし、ひ弱な男がくれた一瞬で一手を打つことができた。
ムーは不亜を惨殺したあと、その所業に怒り狂ったが死体蹴りを
したところで時間の無駄なのでその場を後にした。
数年後、ムーの思惑とは反し、亜人は増加し続けた。
不亜は自身の権能と人格を変数化しこの世にバラまいた。相当な数の人間が宿主となっており、その中でランダムで不亜の人格が発現する。
その実態は把握不可能であり、不特定多数の根源を叩き潰すのはさすがに困難であったため、
ムーも不亜撲滅をあきらめた。
神が人類を見捨てた瞬間である。
これから人類が抵抗をするのはまた別の話である。
ー(END)ー
もう書けないですが最初の作品がお気に入りです。