妨害
不亜は異次元にこもり、自らの役目を全うする。
人間が誕生する一瞬前、それらに変数を割り当てる、ただそれだけである。
世代や地域のバランスを取りながら、有能な者、無能な者が偏らないように均等に配分する。
ただし、この方法では変数が小さいものは空白が多くなり、生後の要因に大きく左右されるようになる。
彼?は人間に限界を感じ、禁忌とされている固定数に細工を行うようになった。それにより生まれた人間とは異なる存在を亜人と呼ぶことにした。亜人は見た目は人間に似ているが中身は別物の存在である。
彼?は比較的利口で能力の高い亜人を気に入り、量産しだした。
うまく人間に紛れ込ませ、人間の淘汰を促す計画であったが問題があった。
それは上位者からの反発である。
突然、不亜は異次元異次元から放り出され、地上に叩き落される。
「貴様も神の代行者ならわきまえろ。」
半透明の白いぬのに覆われた風貌をした上位者ムーが怒りの声を上げる。
不亜は己の権能をフル活用するが身動き一つとれない。
不亜はムーの存在を知っていた。この計画が保守的なムーには気に食わなかったのであろう。
ムーは三又の槍を不亜に突き立てる。不亜も人間をやめた存在なので即死することはないが瀕死の重傷を負いかねない一撃であった。
そのとき、槍の軌道に一人のひ弱そうな男が飛び込んで身代わりになった。
「おわらせることをおわらせない。」
ひ弱な男は独り言を言った。