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#06 この作品に足りないのは、天然ロリっ子要素なんじゃないのかなという話

「うぅ……」

「あー!? 澄ちゃん泣かないでよぉ、私だって澄ちゃんにこんなことしたくなかったんだよ!?」


 秋ちゃんによって精神を追い込まれた私は、秋ちゃんの顔を見たことで、心の安堵と共に一気に涙腺が崩壊しかけてしまう。


 慌てて秋ちゃんは私の頭を優しく撫でてくれるけど、私の瞳からは今にも涙が溢れてしまいそうだった。


「はぁ、これだから余り澄ちゃんを追い詰めてはいけないって、前々から言ってたじゃないですか…・・」

「んでもさぁ……もっちゃんだってこれぐらいしないと、澄ちゃんが理解しないって分かってるでしょー」

「だからって泣かせてまでする必要は無いです。もっと穏便な方法だってあったと思いますよ?」


 二人の空気が重くなったのを感じた私は、泣きそうな弱い心をどうにか抑え込んで、二人に声を掛ける。


「ね、ねえ二人とも……け、喧嘩しないで……ね? 私が、その。あまりそういうのを理解してなかったのがいけないのに、どうして二人が喧嘩しなくちゃいけないの?」


 必死に二人を説得しようと言葉を選ぶ。


 秋ちゃんがあんなことをしたことも、もっちゃんと秋ちゃんがこうして言い合うような状況になっているのかも。


 今の流れを見ていれば、鈍感だと自覚している私でも理解できる。

 二人が私のためにこうして、色々と頑張ってくれているということに……


「さっきので、やっと理解できたの。あの嫌な視線がどうゆうものなのか……こ、これからはしっかり気を付けるから! だから……仲良くしよう?」


 今度は別の理由で、私は涙が溢れてしまいそうだった。


 私のためなんかに、どうして二人が言い争ったり、嫌な思いをしなくちゃいけないんだと。


 感謝と義憤、嬉しいけどこのままじゃいけないと思った私は、二人の手を握る。


 最初は私の行動に戸惑った二人だったけど、少しもすればさっきまでの堅い空気から一変する。

 気まずそうな表情で、視線を這わせる二人の空気が気まずさを助長させていた。


「……その、ごめんね、もっちゃんも色々考えてくれてるのに。私、ちょっとやり過ぎたみたいだよ」


 不意に口を開いたのは秋ちゃんだった。

 いつも自分の言いたいことをハッキリといういつもの様子とは違い、言葉を選ぶようにした言葉が、秋ちゃんの気持ちを如実にしていた。


 私が気付いた秋ちゃんの様子に、もっちゃんが気付かないはずもなく。


「私こそごめんなさい。秋ちゃんが澄ちゃんの事をどれだけ心配していたのか、分かっていたのに……秋ちゃんは間違ってないです、私こそ、澄ちゃんのためなら心を鬼にするべきでした」


 もっちゃんも頭を下げる。


 ……というか二人とも、私に対してどんなイメージ持ってるのかな?


「それじゃ、これからも澄ちゃんのために、お互い頑張ろうぜ?」


 秋ちゃんがニカッと、いつものような弾ける笑顔とともに、もっちゃんに手を差し出す。


「そうですね、澄ちゃんがしっかりと立って歩けるよう、二人で頑張りましょう」


 もっちゃんも、いつもの微笑を浮かべながら、秋ちゃんから差し出された手を取る。


 そこにはいつもの仲良しな二人が、映っていた。


「うんうん、二人が仲直りしてよかったよぉ」


 その光景に私も嬉しくて、何度も頷いてしまう。


「「……」」


 だけどそんな私を、二人はどこか呆れた様子で見てくる。


 ……あれ? この流れってやばいかも。


 第六感が発したアラームに、私は即座に反応した。


 ここでさっきの秋ちゃんがしてくれた事が役に立つ、危険を察知したらすぐさま逃げるのだ。


 私は二人に背を向けて、明日へ続く扉に向かう。


「……どこに行こうとしてるのかな? ん?」

「……今度は私から、澄ちゃんに伝えるべきことがあるようですね?」


 しかし、いかなる冒険章でも、旅人が強大な敵に背を向けることが許されるなんてことはなく。

 私は二つの目に見えない力を持った言葉に、体が震え、逃げ出そうとしていた足が止まってしまう。


 背中に冷や汗が流れるというのは、こういう事を言うのだろう。


 私は二人の方向を見ることができなかった。


「そもそもさぁ、澄ちゃんが自分の身を守れるぐらい、しっかりとしてたら私達がこんなにも苦労することなんてないと思うだぁ」

「確かに、人は誰しも欠点や苦手なことがあるものですが。澄ちゃんの場合は致命的すぎますよね、一度痛い目を見ればご理解いただけるのかしら?」


 優しく、私の両肩にそれぞれの手が置かれる。

 このままではいけないと思った私は、意を決して二人に向き直り、自分が今できる最高の笑顔を作る。


 いつの世でも、何かを打ち破る人というのは、決して生半可な覚悟を持たず。

 身命をとしてまで成し遂げる、そんな硬い意志がその結果を掴み取った。


 ならば、私は彼らと同じように、困難に立ち向かう勇気を持たなくてはならない。


 二人の真顔の笑みに向かい合った私は、口を開いた。


「ふ、二人とも……や、優しくしてください……」


 いや、すっごい怖いんですけど……

 わ、私……今日生きて帰れるかな……


 仲良し3人組なんだ、どこまで行ってもどこか手心を加えてくれるはずなんだ。


「ふっふっふ、任せてよ澄ちゃん、私ってかなーり優しいからさぁ」

「最近、花園にも新しい風邪が必要だと常に考えているんです……さぁ澄ちゃん、新しい世界なら貴方も楽しめるでしょう……」


 秋ちゃんはさっき以上に怪しい手つき。

 もっちゃんは秋ちゃん以上に、危険な雰囲気を醸し出しでいる。


 というかもっちゃん、新しい風って何でしょうか?

 あ、あの……私も楽しめるというのは……やっぱりいいです、だから来ないで!?


「あ、あは、あはははー……だ、誰か助けてえ!」


 二つの巨悪を前に、私は情けなく助けを求めることしかできなかった。


 だけど、助けを求めた時にヒーローが来るなんて夢物語。

 現実は非常なのだ、やるかやられるか、食うか食われるかの世界なんだと。そんな残酷な現実を目の前に、私は首を垂れ、彼女らの慈悲を期待するしか出来ないのだ。


 バン!


 しかし、そんな夢物語が現実にあるとするなら。

 それはきっと潮の満ち引きのように、満ちては引いてくような、引いた分が満ちていくような、結局はプラスマイナスなのだと思う。


 部室のドアを破壊せんばかりの威力は、開く音の大きさでその威力を物語。

 ジャストタイミングで私を助けに来てくれるヒーローは、扉を開けた時に使用したであろう、音と比較しても想像だにできない、ほっそりとした腕を突き出した状態で、不敵な笑みを浮かべていた。


「可愛い後輩の助けるひわ……じゃなかった。いやら……これじゃないな。えっと……とにかく可愛い声に私がやってきたあ!」


 そこに立っていたのは、二人より身長の低い私よりも、一回り以上小さな体格をした一人の少女。


 艶やかな黒髪ロングと、お人形のような顔立ちは、私程ではないけど、かなりの美少女っぷりだった。


 後はあの不敵な笑みが、天真爛漫なモノであれば、その少女は私同様完璧美少女になっていただろう。


 部員数最低数に現れたその少女、察しの良い人ならすぐに理解してもらえたともう。


 そう、彼女こそが、我がアナログゲーム開発部の部長にして、私以上の残念美少女と噂される先輩。


「あ、チェンジで」

「んなバカなあ!?」


 私の窮地をコミカルに破壊した、プラマイゼロのヒーロー。

 部室の怪しい空気を鎧袖一触にする彼女、金城百恵(きんじょう ももえ)先輩の登場に、私は図らずも救われたのだった。

やばい……最近思うように話が書けない……

だがしかーし! ここからはロリっ子パワーで突き進むんだ!

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