23 王の決断
「それにしてもあの飛行魔法は衝撃だった。アントニオやクルロはどう対処する?」
「まず初手は盾でかわし、相手を近づけさせぬように間合いを取ります。後は防御魔法を展開しつつ、弓と槍衾、魔法攻撃の物量で押し切ります。いずれにしても複数人で対応せねばならないでしょう」
クルロは近衛第三隊の隊長だ。儂らを守る要人警護を重視し、素早く防御することを優先した考えを唱える。
「それは相手を油断してないか? 初手が槍や剣であるとは限らない。あんな飛行魔法を使うなら、攻撃魔法も当然使うぞ! むしろ子供だから槍や剣の方が使えないだろう」
アントニオは当代きっての剣の使い手だ。初手から魔法攻撃を警戒している。
「つまり、初手は攻撃魔法の可能性があるので、それを防がなければ、その時点で終わりということか?」
「防御という点では、国宝の盾を使うのが1番でしょう。ですが、初手を防ぐというより、そもそも相手を近づけさせないようにしなければなりません。絶えず魔法障壁を展開するのは無理がありますので、発見次第、防御魔法と、攻撃魔法を使用するしかないでしょう。どうすれば最良かはもう少し考えないといけません」
国宝の盾は、ドワーフが作った魔法陣を彫り込んだ盾のことだ。盾に当たった魔力を無効化する効果があるが、使用者は魔法陣に魔力を注ぎ続けなければならない。一方の魔法障壁は詠唱魔法の1つで、障壁に当たった魔法を無効化させる効果がある。儂が民衆の前で演説するときや、王都を馬車でパレードするときに使っているが、詠唱に時間がかかるので、事前に詠唱展開しておかないと、いざというときに使えない。
近衛騎士はこの魔法障壁を使える者が多いが、効果は15分持てばいい方なので、絶えず誰かが展開しておく訳にもいかないのだ。基本はクルロの言うように、初手は盾で物理的に防ぐか、アントニオが言うように、国宝の盾で初手を防ぎ、防御魔法か魔法障壁を展開する時間を稼ぐしかないだろう。
「しかし、飛行魔法もそうですが、レオンの魔力は相当多いです。魔法を使っていたのはわずかな間でしたが、恐らく、大人でもあれほど魔力を持っている者はそういないでしょう。うちの研究所が謹んでレオンの身柄を引き受けます。そして、飛行魔法を早期に解明し、他者が利用できるよう改良や、有効な利用法について検討します。もしかすると、別の珍しい魔法を持っているかも知れません。それらも合せて研究したいと思います」
王家直轄の研究機関である、王立魔法研究所の所長エセキエルがレオンに興味を示し、身柄の引き受けを主張する。エセキエルは魔法研究における国内第1人者だ。研究ばかりでなく、もう少し政治に興味を持って欲しいが、望みすぎというものだろう。
「何を言っている、陛下がレオンを排除せず利用すると決めても、あの魔法が危険であることには変わりがない。近衛の監視下に入れたほうが良い。近衛の監視下で魔法研究所と共同で研究を進めれば良い」
すかさずクルロが近衛で引き取ると言い返す。アントニオも頷いているので同意見なのだろう。
「いや、魔法研も近衛も陛下に近すぎて危険だ。ここは軍が引き受けよう。東部方面軍の魔法師団付将校で遇するなら、グラセス領にも近いので彼も安心するだろう。軍の運用も含めた、より実践的な研究が可能だ」
今度は将軍のエクトル公爵が軍に入れろときた。エクトル公爵は先代国王の弟、つまり儂の叔父だ。彼を戦力として見るならそれも妥当だが、3者がそこまで取り合うのは、やはり飛行魔法が与えた衝撃が強かったのだろう。
「待て待て、何でレオンの引受先の話になる? 今は飛行魔法の対処と、どう活用するかだ」
「陛下のおっしゃる通りです。飛行魔法は国益のために活用しなければなりません。つまり、飛行魔法を戦争の抑止力として活用します。対外的には、我が国は新たに飛行戦力を保有し、地形に関わらずどこでも攻撃できる能力を得たと、公にします。相手が信じようと信じまいとこの際どちらでも構いません。相手が我が国との戦争を躊躇えば良いのです。ただ、飛行魔法が今のところレオン個人の能力なので、ここにいる者たちと、トレド侯爵を含め飛行魔法を見た者は、レオンに関する一切の情報を秘匿とし、絶対に外部に漏らさないと約束して下さい」
「待て待てミゲル。子供を戦争抑止に使うのか?」
「子供ではありませんよ。飛行戦力です。今のところ魔法ということと、レオンのことは秘匿にしたいと思います」
「だが、実際にどのような戦力か知らなければ、相手は信じないのではないか?」
「確認のために戦争を仕掛ける国などありませんので、疑わせとけば良いのです。こちらも手の内を全て晒す必要はありません。でもそうですね、予め見せておくと、より効果があるでしょう。レオンにどこか人目につくところで飛んでもらって、王家の新戦力と噂されるようにするのも悪くありません」
「それではレオンのことがばれるし、各国の諜報活動が増えるではないか」
「諜報活動はいつものことです。レオンには鎧でも着せて、誰だか特定できないようにしましょう。大事なのは飛行戦力を持つと、国内外に思わせること、そして飛行魔法の使い手がレオンしかいないことを、如何に伏せるかです」
「いまのリエルタ王国にそのような抑止力は必要ないだろう。ガレス以外の周辺国との関係は悪くない。帝国もだ」
「そのガレスに使いたいと思います。事態打開のきっかけとして」
「ガレスの打開策にだと?」
「ガレスの国王がどのような状態であるか分かりませんが、飛行戦力をどのように捉えるかは興味があります。ガレスが暴発して我が国の国境を侵せば、堂々と戦争で片をつけます。撤退すればそれでも構いません。ガレスが動かないのであれば今と変わりません。どのみち我が国に不利益になることはありません」
「お待ちください。興味本位で使えない戦力を使おうというのですか!」
ガレス担当の将軍の1人、ニコラオが、降りかかる火の粉を払い除けるように、ミゲルに食って掛かる。
「そうです。きっかけでも与えなければ事態は動きません。軍も、いつまでもガレス対応に煩わされるのは嫌でしょう?」
「ですが、以前の会議では、ガレスは勝手に疲弊させとけばよい、このまま静観が良策だとおっしゃったではありませんか」
「あれはガレスの国王が噂通りならの前提です。そうは決まっておりません。あの後、ガレスに密偵を放ちましたが、事実確認は取れなかったそうです」
「そうは言っても、実際にどのようにガレスに飛行戦力の保有を伝えるのですか? 結局、どこかであの魔法を見せなければ相手も本気で戦力とは信じないでしょう?」
「そうですね。やはり一度王都を飛んでもらいましょう。もちろん王家の新戦力という宣伝付きで。帝国や周辺諸国の大使、正教国の聖職者にもご覧いただきましょう。各国に見せればガレスにも伝わるでしょう」
ミゲルはもう決定事項であるかのように、レオンを使ったデモンストレーションを考える。各国大使や正教国にも披露する大掛かりなものだ。これはもうガレスに対するものではなく、飛行戦力を戦争抑止に使うという、ミゲルが最初に言っていた考えそのままだ。
「ミゲルの考えも悪くはないが、やはり子供を戦力と見るのは、国としてどうかと思う。万が一情報が洩れたらレオンの身に危険が及ぶし、各国に何を言われるか分かったものではない。正教国にも子供を戦争に利用するのかと要らん疑念を持たれるだろう」
「どのみち今ここにいる者が情報を漏らせば、レオンの身に危険が及びます。ここは飛行魔法と彼のことを、絶対に秘匿事項にしましょう」
儂がレオンの利用に待ったをかけると、ミゲルはあっさり方向転換し、秘匿事項の件だけに話を絞る。レオンを守るというより、あの魔法を何としてでも国益に活かしたいのだろう。今のところ飛行魔法を使うのはレオンのみなので、儂もレオンのことを秘匿するのは賛成だ。
「そうだな。皆もそれで良いな? 絶対にレオンのことは漏らすな。その上で、レオンの処遇だが……」
「ここはやはり研究所でお預かりいたします。研究所は秘匿事項の扱いに慣れておりますので、情報漏洩はあり得ません」
「そもそもレオンが嫌がったらどうするのですか? まさか無理やり研究所に連れて行くのですか? そんなことをしてレオンが王家に反感を持ったり、暴れたりしたらどうするのですか」
エセキエルが再びレオンの身柄引き受けを口にするが、すかさずクルロが反発する。まるで危険物扱いだ。
「説得するしかないでしょう。とにかくあのような魔法を持つ子を野放しにはできませんよ。それを分からせるのです。このままなら自分の身に危険が及ぶ。それだけ飛行魔法は危険だから、誰かの庇護下に入ったほうが良いと」
「魔人を見つけ出し、飛行魔法が使える子ですよ、不意を突かなければ殺せないかも知れません。それによく考えれば、情報を持っている我々が誰かに漏らさなければ、レオンの身に危険が及ぶことはありません。身に危険が及べば、それは我々の誰かがそう仕向けた以外にありえないと考えるでしょう」
先ほどは危険物扱いと思ったが、それは魔法能力を高く買っている現れのようだ。それにしても、先ほどの取り合いといい、今度といい、エセキエルとクルロの相性は悪いな。
「念のために聞くが、レオンの魔法攻撃力はどれくらいだ?」
「そもそも攻撃魔法を見た者はいません。ですが、近衛騎士で最も魔力があるラモンが、飛行魔法を試しましたが、浮きもしなかったそうです」
アントニオが事実を述べる。ラモンは近衛騎士第二番隊の隊長だ。魔力は近衛一だ。早速、近衛が飛行魔法を試したのは優秀だな。
「私の父、トレド侯爵も飛行魔法は使えなかったと申しておりました」
クルロもそう答える。トレド侯爵も確か魔力量に定評があった。飛行魔法に慣れていなかったとはいえ、2人が使えなかったということは、やはり並の魔力では無いということだ。となれば魔法攻撃力もそれなりに高いと考えるべきだろう。直感で魔力が高いと見たララにも、何か気になる点があったか聞いてみるか?
「陛下、それなら特例で爵位を与えるのはどうでしょう。彼の家と同じ男爵位辺りなら妥当かと」
「8歳の子供にか? 前例はあるのか?」
「前例については調べる必要がありますが、子供といえども爵位を持てば王国に貢献するという義務が生じます。国のために協力するでしょう。もちろんこの国に生まれた者なら誰でも義務はありますが、相手は子供ですので強くは言えません」
ミゲルが今度は爵位を持ち出し、レオンに協力させることを提案する。
「しかし爵位とはな……」
「レオンの場合、まだ確定ではありませんが、魔人発見という功績があります。飛行魔法も秘匿事項にはなりますが、人類初の魔法です。あの衝撃は忘れられません。これも功績だといえます」
そう考えると8歳とは思えないな。大人なら褒美に爵位を与えても十分な理由になるだろう。
「レオンに王国への協力を求めるなら、爵位を与えるのも1つの手ではあるな。王家が功績を正当に評価していると示すこともできる。だが受けるか? 子供でも面倒ごとと引き換えだと分かりそうだぞ」
「それなら絶対に断らない方策ならあります。陛下が許可すればですが」
「何だ。爵位以外に褒美を出せというのか?」
「ある意味褒美になりますが。聞きたいですか?」
聞きたくない。これはろくな提案ではないと儂の勘が警告する。だがミゲルが確実だというのだから、勝算があるのだろう。
「飲むかどうかは分からんが申してみよ。一考はする」
「第五王女のララ様と婚約させるのです。これなら断れないし、王家の身内になれば協力も惜しまないでしょう」
やっぱりろくな提案じゃなかった。申してみよと言った先ほどの自分を恨みたい。ララに婚約はまだ早い。8歳だぞ! それに王族であることは変わらないが、結婚したら男爵夫人だぞ。そんな降嫁があるものか!
「それは突飛な提案だな。聞かなかったことにする」
「そうですか。ですがそれだけの価値はあると思います。たとえ男爵位でも、史上初の貴重な魔法の持ち主ですから。まあ、身分の壁はありますし、婚約は少し早いと私も思いますが」
ミゲルも強引に婚約を進める気はないようだが、レオンはララと婚約させる価値があるとみているのか。この合理主義者め!
「よし、慣習や法律上問題がなければ、魔人の件を確認のうえ、爵位を与えよう。男爵位かどうかは引き続き検討する。それと、協力が得られた場合のレオンの所属先だが、ここは魔法研が妥当だろう。やはり軍や近衛の施設に子供が出入りするのは目立つ。外国の諜報員でなくともし怪しまれる。エセキエル頼むぞ! 何としても飛行魔法の解明と実用化を急ぎ、飛行戦力を実現させるのだ。必要なら、爵位に応じた報酬以外に、レオンを研究員または特別研究員に遇して役職手当を出しても良い。それと、もし研究所に入ることになれば、親元から引き離すことになるので、身の回りの世話などを行う者も必要だな。相手は8歳の子供だから、こちらですべて取り計らうのが良いだろう。あと、早急にレオンの攻撃魔法能力を確かめたい。近衛の練兵所とか人の目が集まらない場所で確認せよ」
「承知いたしました」
アントニオが了承すると、皆の顔が一気に緩む。会議が終わりに近づき緊張感が和らいだのが分かる。すると、クルロが再び口を開く。
「陛下、今の身の回りの世話の件ですが、トレド家で引き受けましょう。レオンの能力や身柄が秘匿事項であるなら、それを知っているトレド家に寄宿させれば、これ以上秘密を知る者が増えずに済みます。王城の隣の砦を改装した研究所からも、そう遠くない場所にありますので、人の目に触れるのも少なくて済みます」
「それは確かに良い提案だ。侯爵は了承しているのか?」
「実は、レオンが王都で暮らすことになるなら、侯爵邸を使って構わないとの言を受けております。それと、先ほどは言い難かったので控えましたが、将来的にはトレド侯爵の孫娘、私の兄の娘と婚約させようと考えております。歳も近いので、私も似合いだと思います。グラセス家は男爵家ではありますが、半ば親戚のような付き合いでもありますし、爵位の壁はそれほど気にしません」
「だったらなお良いな。解った。レオンが了承すればトレド家に預けることにしよう」
トレド家がレオンを取り込もうとしているのは癪だが、良い提案なのは事実だ。それにしても、侯爵の孫を男爵家の跡取りでない息子に嫁がせても構わないとは……。ミゲルが爵位を与えるのを予測していたのか? そうでないと、レオンは成人後、平民だぞ。
飛行魔法は確かに衝撃的だったが、それほどの価値を見出しているのか? ララは飛行魔法を見てない筈だが、直感でなんとなくそれが分かったから、気になったのか? 親としては複雑だ……。
◇ ◇
レオンの処遇についての話が終わり、今日の予定は全て終了したので執務室に戻ろうとすると、魔人を捕らえに行った先遣隊からの一報が届いたとの報せが入った。再び小会議室に戻る。
「して、魔人らは捕らえたか?」
「魔人捜索は、今から3日前に行われましたが、1人を除いて逃亡いたしました。捕らえたのは一族の長だと申す者です。ディエゴに騙されたが、王都襲撃に加担したのは事実なので、けじめだと申しております」
「他は逃げられたのか。追って捕まえられるか?」
「他の魔人は森の奥へ逃亡したようです。部隊長からは引き続き捜索いたしますが、人数が限られるのと、森が深いので、難航するかも知れないとのことです」
「数を増やせば何とかなるのか?」
「森は南北約30キロ、東西約20キロはあります。沢筋1つでも違えば、見つけるのは容易ではありません。それと、捕らえた長の話によれば、魔人たちは複数に分かれて森の奥や森を伝って他領に逃げたとのことです」
「目撃証言には確か子供が含まれていたが、一体何人逃げたのだ」
「長の話によれば、逃げたのは20人ほど、子供数人が含まれるとのことです」
「捜索は難しいか……長を捕らえただけでも良しとするか? だが、なぜ逃げられた?」
「魔人の住処まで行く道がなく、辿り着くまでに時間がかかったのもありますが、捕らえた長の話によれば、自分たちが飼っている大蛇の魔物を見た人間が、領都で騒いでいることを知ったそうです。山狩りされると食料である獣が獲れなくなるので、住処を捨てることにしたそうです。長は足手まといになることと、15年が経ち、いい加減けじめを付けたいので残ったそうです」
逃げられたか。でも間違いなく反乱事件に加担した魔人一族だったようだ。魔人の長も長い逃亡生活で疲れたのだろう。1人で罪を背負う覚悟は殊勝だが、なるべく全員捕らえて後顧の憂いを断ちたい。
「そうか。魔人は引き続き捜索せよ。何日前に逃げたか分かれば、凡その捜索範囲は知れるだろう」
「長は、逃げてからもう10日以上経っていると言いました。グラセス男爵が魔人を発見した数日後になります。確かに魔人の住処は慌てて逃げ出したようでした」
「ところで、子供がいるのに本当に複数に分かれて逃げたと思うか? それでは足手まといを切り捨てることになるだろう」
「部隊長もそう考えていました。ですから、魔人たちは故郷がある北の地を目指し、全員で山岳地帯に向かったのではないかと予想し、私を伝令に遣わす前に、真っすぐ山に向かうことを決めました」
「山岳地帯とは、王都からも見えるあれか? あんなところを越えると考えたのか?」
魔人の故郷は北の地だ。地続きなので北を目指せば行けるが、手前に6000メートル級の山がひしめく山岳地帯が、壁のように遮っている。実際に向かうには、西に迂回して帝国領をかすめるように北に行くか、東の正教国を経由しなければならない。子供もいるので山越えは無理だと思うが、魔人は人よりも強靭な肉体を持つというから可能かも知れない。
「はい。ですから急いで山岳地帯に向かい、そこで魔人の山越えの痕跡を探し、痕跡がなければ森に潜んでいると判断、引き続き森の中を捜索する方針です。10日前に逃げたという魔人の長の話しが事実なら、魔人らはもう山の近くまで辿り着いている可能性があります。一方で、慌てて逃げたならそろそろ食料が尽きるのではないかとも考えています。山越えの痕跡があるかどうかが1つの判断材料になります」
「分かった。儂も部隊長の判断を信じよう。ご苦労だった。戻ったら捜索は引き続き部隊長に一任すると伝えよ。魔人が既に山岳地帯に行ってしまったなら、無理に追わなくても良い。アントニオ、念のため森を捜索する兵と補給部隊を向かわせるよう軍と協議せよ。500~1000人規模だ。魔人の長は王都の軍本部に連れてこい。そこの牢に入れろ。尋問は任す」
「すぐに手配いたします」
森の中を逃げ回っているなら何としても捕らえたいが、北の地を目指して山岳地帯を越えるなら、捕縛部隊では追いきれないかも知れない。みすみす逃がすのは癪だが、山岳地帯を抜けるのなんて自殺行為だ。そこまで付き合う必要はない。これで終わりにしよう。まったく、ディエゴは馬鹿な弟だった。




