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15 おばけ騒動


 盗賊討伐の翌朝。

 

「皆さんおはようございます‥‥え、エマ!?」


 カタリナが教室に入ってきて早々驚きを露わにする。

 まぁ無理もないか。こんな朝っぱらからエマが起きているんだからな。

 昨日は帰ってきたのが夜遅かったからな。午前は学校を休みにしておいたんだが、俺がいつも通りの時間に起きたら既にエマが起きていた。

 俺も明日は雨どころか雪が降りそうだと思ったさ。いや、火の矢だな。

 因みにカタリナは真面目すぎるが故、何があっても毎日同じ時間に起きてくる。今日も例外ではないらしい。


「どうしてこんなに早いのですか!体調不良ですか?寝ていなさい!」 

「エマは寝てても起きてても怒られるのね‥‥」

「なんでもお化けが怖いらしんだよ」

「は?お化け?」


 まぁ、普通はそんな反応になるだろうな。

 

 話は昨夜士官学校に帰ってきて、解散した時まで遡る。

 俺達は食堂で軽食と共に、簡単な宴会のようなものをしていた。

 暫くすると夜も遅くなってきたので、眠くなった人から寮に戻っていくことに。 

 エマは馬車酔いが治まらずに机に伏せたまま唸ってたな。

 

 リオニーが出て行ったことで、俺とエマが二人きりになったんで宴会はお開きになった。

 その後エマは気持ち悪いからトイレに行くとか言ってたな。だから俺は先に寮へ戻った。

  

 エマが寮に戻る道中でそれは起こったらしい。

 墓地の前を通った時だった。

 夜中なのに墓地から明りを感じることに疑問を持ち、墓地に目をやると‥‥

 ゆらゆらと燃える鬼火と、こちらを睨む生首があったではないか!


「ぎゃぁぁぁぁぁあああ!!!お化けぇぇぇぇえ!」

 

 そして恐怖で一睡もできませんでしたとさ。

 お前の睡眠欲って割とデリケートなのな。


「そういうこと!今すぐにでも襲ってくるかもしれないし、もうずっとカタリナの側にいる!」

「はぁ、お化けなんてそんなまさか‥‥まぁご自由にどうぞ」 

「おはようだよ‥‥ってエマ!?」

「あリオニー、これにはかくかくしかじかあって‥‥」

 

 といった感じで、誰かが教室に入ってくる度に説明をする羽目になったエマであった。

 

 そうして一日の授業は終わった。あぁ今日も疲れた。

 

「お願い英雄様!お化け退治して!」

「だから俺は英雄じゃない!」

「面白そうだな!俺も着いてくわ」

「おいバナン、俺は一言も行くとは言っていない‥‥」

「なんだ?塩とか持ってけばいいのか?」


 ダメだ、まったく聞く耳を持たない。

 まぁどうせ見間違えか何かだろうからな。暇つぶし程度に付き合ってやるか。

 バナンも同じような考えみたいだし。

 

 日は沈み、士官学校内も静かになった頃。俺たちはお化け退治を決行することとなった。

 俺の隣にはカタリナに震えた腕を絡ませ進むエマと、頭の後ろに手を組んで着いて来るバナンがいる。

  

「怖いなら寮で待ってろよエマ」

「お化けの最期をこの目で見届けないと安心して寝れないよ!」


 まったく我が儘なこった。

 ささっとお化けがいない事を確認して寝るぞ。

 

「あぁそう言えばエマ。この前の盗賊退治の時にエマに魔力水は無意味だって言ってたが、どういう意味なんだ?」


 道中、ふとバナンがエマに問いかける。

 魔力水?魔力を回復する水だろ?

 因みに俺には魔力という概念がよくわからない。俺に存在しているのかもな。

 ランスさん曰く、ゲームのように数値化されるわけではなく感覚的なものらしい。簡単に言うと魔法疲労ってとこだそうだ。


 で、それに意味がないってことか。


「理由はエマも知りたいんだけどね。エマには一般人並みの魔力量がないみたいで、しかも魔力水じゃ回復しないんだよね。回復方法は唯一、睡眠」

「ははっ、そりゃ意味わからんな」


 そうか、魔導の天才にも弱点は存在したんだな。

 一般人同様の魔力ってことは高等な魔法も打てる数が限られてくるんだな。


「魔力って普通はどうすれば回復するんだ?」

「先生はそんなことも知らないのか?魔法使わずに休めば回復するに決まってるだろ」

「体力と同じようなものですよ」


 ふーん、ってことは睡眠でしか回復しないってのも致命的なわけだ。

 だからいつも寝てんのか?少し納得だな。


 そうして歩いて行くこと数分。例の墓地に辿り着いた。

 見た感じなにもいなさそうだけど‥‥

 まぁ夜の墓地ってだけで雰囲気はあるな。


「ほら、大丈夫だったろ?帰るぞ」


 そう言いながらエマの方を振り返る。 

 すると、エマが手をワナワナと振るわせて俺の後ろを指を差した。


「い、いるぅ‥‥」


 そんなまさか‥‥

 ゆっくりと目線を移す。同時にカタリナとバナンも顔を向けた。


「「「ぎゃぁぁぁぁ!でたぁぁぁぁぁぁああ!」」」


 そこには話に聞いた通りの鬼火と生首が、ゆらゆらと宙を舞っていた。

 生首に関してはこちらを睨んでいる。

 

「え、エマ、適当に魔法を!」

「寝てないから魔力が足りないの!」

「じゃ、じゃあバナン塩を!」

「もうやってる!」


 お化けに塩ってのは効果抜群じゃないのかよ!

 おかしい!まったく効く素振りを見せないぞ!


「に、逃げろぉぉおお!」


 そうしてなんとか俺達は生きた状態で寮に逃げ帰ることができたのだった。



【シグレ先生の生徒名簿】

 エマ・バルシュミーデ

・趣味・・・睡眠、魔導の研究

・得意武器・・・魔法

・好物・・・甘い物

・苦手な物・・・幽霊、乗り物、野菜

・特徴・・・無造作な赤い髪、眠そうな半目

・備考・・・魔導の天才で、努力の天才。面倒臭がりだがやるときはやるタイプ

     

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