表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

絵本原作

こころのばんそうこう


 ぼくはむねをケガしているの。


 でも、ママにいってもばんそうこうを、はってくれない。


 ぼくが

「いたいよ」

 ていっても、

「そこにははれないよ」

 だって。


 むねがズキズキいたむのに、おいしゃさんも

「きにしすぎだよ」

 といってぼくのはなしをまじめにきいてくれない。


 なんでいたいのか、かんがえてみた。


 たしかこのまえ、おともだちのあっちゃんとあそんでいるときにケガしたんだよ。


 なかよく、ふたりでこうえんでいっしょにあそんでいたのに。

 あっちゃんがほかのおともだちとあそぶから、ぼくとはあそばないっていったんだ。

 ぼくがめのまえにいるのに、あっちゃんはほかのおともだちと遊んでいたの。

「ひどいや!」

 あたまがカンカンになっていた。

 おこったぼくはひとりでおうちにかえった。


 でも、かえりみちにむねがきゅうにズキズキいたくなってきたの。

「なんでだろ?」

 ぼくはくびをかしげる。


 ママにいそいで、

「むねがいたいよ!」

 とないた。


 ママは

「みせてごらん」

 といってぼくのシャツをめくった。

 でも、ケガどころかキズひとつない。


「ケガなんかしてないじゃない」

 ママはわらった。

「でもいたいよ!」

 ぼくはおこった。


 それからまいにちずっとぼくのむねはいたくてしかたなかった。

 ほいくえんにいってもいたいし、こうえんであそんでいても、いたい。

 ずぅーっと、いたみがきえない。


 あるひ、ぼくはあっちゃんにこえをかけられた。

「あ、このまえはごめんね。これからはいっしょにあそぶから……」

 あっちゃんがあやまってくれた。

 

 すると……。

「いたくないかも……」

「え?」

 あっちゃんはふしぎそうにぼくをみていた。


「またあそんでくれるの? あっちゃん」

「もちろんだよ」

 そのとき、ぼくのむねはズキズキしなくて、ウキウキしていた。

 うれしかったんだ。

 まるで、こころのなかにばんそうをはられたように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 私はあなたの話が本当に好きでした、あなたのロマンスはとても良いです。 私はまだ新人です。 いつかあなたと同じくらい良くなることを願っています。 私はブラジルに住んでいます…
2021/03/13 16:37 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ