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巡る恋の終わらせ方  作者: aono_Rio
5/9

5.良くない事は大体被る



ついていない時は、とことんついていないもので…。




※※※※※※




ピピピッ、と着信を知らせる電子音が鳴った。

ーーーあ、病院からだ。


珍しいな、と思いながら出ると、馴染みのある声が聞こえてきた。


「もしもし、私神津と申します。花緒さんの携帯電話で間違いないでしょうか?」


電話をかけてきたのは神津先生だった。


『はい。合ってますよ、先生。』

「あ、花緒さん。間違えてなくて良かった。よく僕だって分かったねー。」

『いや自分から名乗ったでしょ!じゃなくて、わざわざ電話してくるなんてどうしたんですか?』

「あのね、検査結果の事なんだけど…」


ーーー検査結果!おお、もう出たんだ!

これで少しはスッキリする。と思っていたのに、告げられたのは意外な事だった。


「明日伝える約束だったと思うけど、少し解析に時間が掛かっていてね…。悪いんだけど、結果報告が1週間延びます。」

『え!?』

「ごめん☆」


ーーーこいつ絶対悪いって思ってないな…!

つい先生の事をこいつ呼ばわりしてしまった。(心の中でだけど)



『1週間後だと完全に仕事被ってくるんですけど…。』

「いや本当に、申し訳ありません!」

『はぁ…。わかりました。』


シフト表を見て1週間後辺りで行ける日を探した。

ーー1番早くて…10日後しかないやないかい!


『…先生、その辺りだと10日後が最速ですね。』

「10日後ね、ちょっと待ってこっちも確認するからー」


電話越しに紙を捲る音が聞こえる。


「…10日後…10日後…うん、大丈b…あ、」


ーー何だ最後の、あ、は。


「…すみません、学会で出張です…。」

『………』

「………」

『………』

「……すみませんすみません!」

『…先生その次は?』

「スルーはやめて!泣いちゃうから!」

『良いから早く』

「はい!ふざけてすみません!」


ーーー本当にこういう所が医者らしくないよなぁ(良い意味で)


「に、2週間後で!」

『…うーん、あ、大丈夫そうですね。早上がりなので。』

「本当に?!グスッ…ありがとう!!」

『先生なんで涙声なの。』


最早何の話をしているか分からなくなってきた。


「じゃあだいぶ空いて申し訳ないけど、2週間で。」

『わかりました。』

「本当にごめんね!今度ケーキでも奢るから!」

『大丈夫ですよ。』

「じゃあ2週間ねー。」


電話を切ると、どっと疲れが襲ってきた。


ーー2週間かぁ…。とりあえず、仕事に専念しますか!


軽く頬を叩いて気合いを入れた。明後日からは仕事に本格復帰である。

ーーあと今日中にやるべき事は…

と考えながら歩いていると、



「あ、花緒さん。」

『え?…あ、音海さん。』



今1番会いたくない人に出会ってしまった。

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