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巡る恋の終わらせ方  作者: aono_Rio
4/9

4.先生と検査




『……ふがっ?!』

ーーーハッ!寝てた?!




※※※※※



不覚。まさか玄関前の廊下で寝てしまうとは…。

ーーまぁ疲れてたし、30分位だし!

誰にするわけでもない言い訳を心の中で呟いた。


『いてて…、やっぱ板の間に直はダメだわ…』

体を擦りながらふらふらと部屋に入った。


ふとカレンダーが目に入る。

『あー…』

ーー明日病院だ…。

電話で先生には少しだけ伝えてある。

ーー検査って言ってたよなぁ……めんどくさ。



『……寝よ。』


こういう時は寝てしまう方が良い。私は早々に布団に入った。




※※※※※※※※※※※※※




「花緒さーん、診察室にどうぞー。」

『あ、はい!』


朝一で検査に来たが、相変わらず大学病院は待ち時間が長い。何時来てもこんなに人が居ることに驚く。



「お、花緒さん。元気そうだね。」

『先生、お久しぶりです。と言っても1週間しか経ってませんけど』

「そうだよねぇ」


私達はどちらともなく、ふふ、と笑いあった。


担当の神津(かみつ)先生は、入院時にとてもお世話になった先生だ。比較的歳が近い事もあって、まるで兄のように接してくれた。リハビリが辛かった当時の私にとっては、癒しそのものだった。

あと若くてイケメンで、腕の良い評判の先生らしい。(入院中に看護師さんから耳タコになる位聞かされた。)


ーーうん、確かに目の保養だわ。



「何か1人だけ思い出せないんだって?」

『そうなんですよねー。

まぁ別に困らないし良いかなぁ、と思ったんですけど、上司が検査受けて来いって煩かったんで来ました。笑』

「もー、笑って言う事じゃないでしょ。相変わらず変なとこドライだねぇ。」

『そうかなぁ?』


久々に話せたのが嬉しくてついはしゃいでしまったが、先生は少し悲しそうな顔でこちらを見た。


「そうだよ。

花緒さんは、困らないから別に良い、って言うけどね、…記憶ってさ、大事なんだよ。

僕は、記憶や経験はその人を作るベースだと思ってる。

なにより、自分自身の人生を覚えてないなんて、寂しいじゃない。」

『………寂しい…?』

「うん。」


何故か先生の言葉がスッと胸に入ってきた。

私があの時感じたのは、寂しさだったんだろうか。


「とにかく、原因を調べてみよう。思い出さなくても良いかどうかは、それから決めても遅くはないよ。」

『…はい。』



それから、問診、血液検査、MRI、脳波、etc…。丸1日かけて検査をした。





「お疲れ様!これで検査は全部終わり。」


ーーつ、疲れた…!


「結果が出るまで少しかかるから、3日後にまた来てくるかな。」

『…はい。』

「帰ったらゆっくり休んでね。」

『はい、ありがとうございました。』



お礼を言って、診察室を後にした。

朝一で来たはずなのに、外は夕焼けだった。



ーーまたこのパターンか……!……自分へのご褒美でも買って帰るか…。




そしてお家カフェ時間を想像して、ニヤニヤしながら家路に着いた。

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