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巡る恋の終わらせ方  作者: aono_Rio
2/9

2.本当に?



「花緒さん、本当に覚えてないんですか?」


あの後、病院に電話したり総務に行ったりで、忙しなく復帰1日目が終わってしまった。

家路に就こうと会社を出た所で後輩の橘君に捕まり、近くの喫茶店に連行された。


ーーこんな予定じゃ無かったのに…!



『…え?』

「いやだから、音海さんの事ですよ!」

『あぁ、うん、知らない。』

「…知らない、って……。花緒さん、後輩では音海さんが1番仲良かったじゃないすか。」

『…そうなの?』

「そうっすよ!よく、ご飯行ったって聞いてましたよ。」

ーーー…………あかん、全然覚えてない…!

『……………?』

「なんでそんな顔で見るんですか…」


ーー……どんな顔だ。


『いやだってさ、知らないもんは知らないよー。

そもそも!忘れたふりする方がめんどくさいでしょ。それにそんな事してなんかメリットある?』

「…まぁ、確かに…?」

『なんで疑問系。』

「…うーん、いや、なんか、釈然としないんですよね。あんだけ普段仲良かった訳じゃないですか。

いくら事故に遭ったとはいえ、2年近く一緒に働いてた人の事、ーーしかも1人だけ、忘れるもんですか?」


ーー確かに、橘君の言うことも一理ある。


周囲の人間がここまで言う程近しい間柄だったのなら、何故私は彼の事だけ覚えていないのか。

他の人の事は全て覚えているのに。

彼だけが、私の記憶から抜け落ちてしまっている。




“……だ……う………よ”


ーー…ん?


“…だい……う………だよ”


ーー…んん?


考え込んでいたら何か聞こえてきた。店内のBGMにしてはおかしい。



『………?』

「…すみませんでした。花緒さんが1番混乱してますよね…。」

『!いや、大丈夫!ちょっと考え事しちゃって…。

…気遣ってくれてありがとうね。』

「…いえ。自分は、花緒さんとまた一緒に仕事が出来て、嬉しいです。」

『…橘君…!』

若干うるっと来た。

ーーなんて良い子なんだ…!


「そういえば花緒さん、」

『ん?』

「ずっと気になってたんですけど、その橘“君”てなんですか?」

『?え、なんで?』

「今まで呼び捨てでしたよ。」

『……え?』

頷く橘君。

『まじすか。』

「まじっす。」

『…なんか……まだあったね、覚えてない事……。

……すみませんでした!!』

「いえ。とりあえず前の呼び方でお願いします。花緒さんに君付けで呼ばれるとか気持ち悪いんで。」

『酷い!』



とりあえずさっきの感動を返してほしい。


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