~確信~
この最高難易度のダンジョンの名前は「ガディのダンジョン」というなんの捻りもない名前である。
このガディのダンジョンは『 ガディスタの丘 』のダンジョン以外で現れる魔物のレベルが一番高いエリアの村の近くにある。その村はガチプレイヤーはわんさかいて、そこらじゅうでPVPがおこるほど人がいる。いい装備ならガチプレイヤーは大金をはたいて買ってくれるので生産を中心にプレイしてる人もたくさんいて、もともとの村の規模はとても小さかったが、プレイヤーによって村が発展してきた場所だった。
もちろん俺もその場所を利用しまくってたし、拠点にもしていたのでそこまでいけば仲間を見つけられるかもしれない。なによりたくさん集めたドロップ品や大会を優勝したときに貰ったトロフィーなどを回収したい。
というわけで俺は外にでた。
太陽が眩しい。ゲームをやってた時にはない感覚だ。
「やはりこれは…」
俺も薄々勘づいてはいた。魔物を倒したときの感覚がリアルすぎるし、走っていた時に風も感じた。ただ村に行くまでは俺も信じきれない。
だから俺はダッシュで村の場所に向かっているが、そろそろ見えるはずの塔が見えない。その塔は12時と6時を知らせてくれる高い塔だ。そして俺が頻繁に利用していた生産を中心にプレイしていたプレイヤーの武器屋がなかった。それだけではない。あったはずの店や闘技場も無くなっていて、あったのは木造のこじんまりとした家が数十軒あるだけだった。
この光景は見たことがある。この村に初めて到達したのは全プレイヤーの中で俺である。それはプレイヤーが村を発展させる前の状態の村であった。
「やはりか…」
あの馬鹿げた考えが確信にかわった。
正直自分がガディになることは別にそこまで嫌ではなかった。
西川大輝は現在23歳。就職で決まった職場が究極のブラック企業だった。4ヶ月で退職し、次の職場を見つけると親には言っていたが働くことが半分トラウマになっていたのもあり、だらだらだらだら生活し、ゲーム三昧。
家にとっても要らない存在だっただろうし元の世界に戻っても特に出来ることもない。
だが、今まで必死になって集めてきたクタンのアカウントでのアイテムが無くなったのに納得がいかない。
だから叫ぶ。
「俺の数百時間を返せぇぇぇぇぇぇ!!!」