~ダンジョン~
規格外のステータスに慢心していたが、それをいきなり制御出来るだろうか。いくら馬鹿げたステータスをもってしてもここは最高難易度のダンジョン。そこら辺にいる魔物が下手なボスよりも強く、知能が高い魔物もいることで果てしなく厄介なダンジョンになっている。
俺のクタンのアカウントでは賢者をやっていたため、魔法による攻撃を得意としている。だが、よく考えれば自分がガディになる前にガディと戦った時は素手で殴りかかってきていた。ガディの魔法のステータスはめちゃくちゃ高いが使えるのだろうか。自分の実力を把握しておく意味もこめて、少し戦闘の練習をしておこう。
10分後
俺の今までの苦労はなんだったんだろう。そう考えさせられるほどガディは強い。魔法を扱う職に着いた時は火・水・風・土・光・闇のどれかに特化したように育てなければ器用貧乏になってしまい、戦闘では役に立たないが、ガディの場合は全てに置いて最強になっている。
先程言った6属性の他にも回復魔法という物もあるがそれも使用することができた。つまり最強の全属性の魔法を放ちつつ、自分も回復できるのだ。
ここまで分かったら流石に慢心してもいいだろう。なってったってHP9999だ。死ぬこともないだろう。それに早く現実かゲームか見極めたい。ゲームならゲームで運営にどう報告するか考えなければならないし、現実ならここからどうするか決めなければならない。外に出ない限りは始まらないのでさくっと出てしまおう。
まずは探知スキル【サーチ】を起動しておく。不意打ちされてはめ殺しされたらこのステータスでもやられてしまうからだ。逆に言えば不意打ちさえされなければ余裕と言うこと。
幸いガディが使える【サーチ】はクタンが使っていたものよりも性能がよく、効果範囲が広いため、注意さえしていれば不意打ちはされないだろう。
よし、覚悟を決めた。
扉を広くと29階層に飛ぶ仕組みになっている。
ダンジョンというのは1階層ごとに風景がガラッと変わる。1面緑の草原だったり、入り組んだ洞窟だったり、石でできた迷路だったりと様々だが、29階層は雪山が連なり、吹雪がはげしい広大なところだ。普段ならば寒さ対策をして行かないと死んでしまうことから何種類もあるダンジョンの風景の中では一番高難易度と言われているが、ガディは常時発動系スキル【冷耐性】をもっている。そのため、寒さなどは全く感じない。ちなみにもう1つの最高難易度である火山地帯がきても同じように常時発動系スキル【熱耐性】をもっているためなんともない。
5人パーティで苦戦していた魔物たち相手に無双できていることで俺の気持ちは高まっている。状況に応じて魔法を変えているが、基本は風魔法で魔物の首を1発で切り落とせるため、緊張感なんてものは一切ない。
20階層と10階層に中ボスがいたが、風魔法を何発か打ち込んだらすぐに勝てた。しかしこのガディの頭のおかしいステータスから放たれる風魔法を何発か耐えるとは中ボスのレベルでさえガディじゃなかったらきつい。5人パーティで進んでいけていたのは奇跡なのかもしれない。(俺1人しか30階層に到達できてないが…)
そんな調子でもう1階層だ。行きは5時間かかった道のりが20分ですんでしまった。なにより【マップ】というスキルの存在が大きかった。28階層で気づいたが、ダンジョン全体を地図のようなもので把握できたため、上に上がる扉がすぐに見つかった。【マップ】様々だ。
ということでこの扉を開ければ外だ。