～最強ボス転生～
MMORPG『 ガディスタの丘 』
最新のVR機器を使用した超リアルな冒険が楽しめるMMORPGである。
ストーリーというストーリーはなく、物を作ってプレイヤーに販売したり、本来のRPGのようにエリアを冒険してオンラインの仲間とエリアのボスを討伐したり、盗賊のようになって物を奪うこと(ペナルティ付き)も出来てしまうぐらい自由なゲームだ。
このゲームは大ヒットゲームなだけあり、やり込み要素がとんでもない量ある。ボスはボスでもきずかないうちに倒してしまうような弱いボスも居れば、まだ攻略されていないボスもいる。
今、西川大輝(ゲーム名はクタン)がソロで挑もうとしているのがそのまだ攻略されていないボス「ガディ」である。
このガディはレベル80に行っているプレイヤーが17人しかいないのにも関わらず、レベル90のプレイヤーが5人はいないと討伐出来ないといわれている鬼畜設定である。ガディは最高難易度のダンジョンの最下層である30階層にいるボスで、西川大輝がリーダーの4人パーティで最高難易度のダンジョンを攻略していた。西川大輝のパーティの仲間は最下層に行くまでに全員やられてしまい、もう宿屋にもどってしまっている。レベル90のプレイヤーが5人必要と言われているガディにレベル86の西川大輝がソロで突っ込んでも勝てるわけがない。
半分諦めているが、ワンチャンなんとかなるの精神で戦いに挑んだ。
死んだ。
なにあれ。絶対にレベル90が5人でも太刀打ちできない。そもそもだれもガディにまで到達出来なかったのにレベル90が5人いれば討伐可能なんてことは分かるはずがない。攻略サイトは二度と見ないと決めた。
しかしおかしい。『 ガディスタの丘 』は死んだら20秒待機画面になり、そこから直ぐに一番最後に寄った宿屋にすぐ復活するはずだ。だが視界は真っ暗なままだ。
「バグなんてついてないなぁ」
と独り言を呟いて仲間に助けを求めようとメッセージを送ろうとした瞬間だった。
いきなり目の前が真っ白になる。
気づいたら俺はそこに立っていた。違和感を感じ、下に顔を向けてみる。この腕、この足、このネックレス
間違いない俺はだれも攻略したことのない最強のボスである『 ガディ 』になってしまったらしい。
