優男とチンピラの邂逅、蜘蛛とハイエナの共闘
最近改稿した時期は、2019年7月6日。
ハイエナを私の勘違いで誤って、猫科と記述しましたが、ハイエナはハイエナ科です。
混乱させるような記述をしたことを、お詫び申し上げます。
三人称視点で開始します。
10話目の前文ら辺まで、少し時間を遡ります。
舞台はどこかの建物にある会議室。
チンピラ「あ? さっきの白い炎と違ってぇ、黒い方は危ねぇだぁあ゛・・・・・・?」
魔王「ああ」
天使「うわぁあ、それは大変大変! マジ卍! モルセヌ爺ちゃんタスケテー。このままじゃこのフォルエルちゃんが~、黒焦げになって~、火葬場に連れてかれちゃう~♪ そしてそして二重燃焼によって灰まで残らないかも~・・・・・・そしてそして【※これから続く彼女の話が長くなりますので割愛します】」
魔王「【フォルエルの長話を聞き流しながら】いや・・・・・・お前が焼けてくたばる光景なんて想像できんぞ。怪物天使」
法王「わかり申したぞフォルエル様・・・・・・わしの出番ですな」
魔王「やるなら早くやれ、スカイエルフ神道のトップ。住民共が骨になろうが知ったことではないが、急いで回復させた方がいいだろう。
それと一宗教のトップがその崇拝の対象から頼られるとか、力のバランスおかしくなりすぎだ!」
剣聖「ツッコミ役今日も頑張ってますね。ダーティー様~」
魔王「貴様はさっさと自分の娘から嫌われたまま死ね!! 加齢臭製造人間!!」
魔王が叫んでいる時に、法王が、自ら身に着けているダイアル式国宝をいじって起動し、それから通常人の耳では聞き取れない、特殊な回復音波を発することによって、住民登録を済ませてある人々は一人残らず、炎などによって死ぬことも怪我を負うことも後遺症を残すことも無くなった。
音波が放出されている間には、常に彼らの全状態異常と傷が自動で治癒されるから。
ただし特殊な音波の恩恵を受けない者が、王都に三人。
二人程は魔王軍の幹部で、もう残りの一人はこの世界出身ではない者。
チンピラ「ちょいと席外すぜ」
※次からは、人鳥の サイソウ に語り手をやってもらいます。
「ああっくそ。全然白い炎が消えやしない!!」
今、私は雨が滝のように降りそそる中、噴水で水浴びしていた。
遊んでいたわけではないのよ!!
あの黒髪モブが発動させたと思しき白炎を、私に点けたからだわ。
その焚いている魔法を水中に浸からせれば、さすがに消失するようだけれども、空中まで戻せばまた発火してしまう。
白火の灯りのせいで、せっかく周り暗闇にしたのに、隠密行動できないじゃないっ!
豪雨も降っているのに、私の体から噴き出す魔法が消える気配なし!
ん・・・・・・?
止んだ? 私の頭上だけなんか水滴が落ちなくなったような・・・・・・。
真上に視線を向けた・・・・・・。
何よあれ?
楕円形に、虫の足みたいな針を左右それぞれの側に四本付けたような物体が・・・・・・。
こちらまで迫って落下してくるっ!!?
こんな重量そうなので押しつぶされたら、噴水で溺死してしまうっ!
とっさに私は真横に避ける。
その得体のしれないものは衝突の瞬間、水しぶきを高々にぶちまけ、波を激しくうならせ、叩きつけるような水滴音が響く。
「なっ、なんだなんだなんだってゆうのよぉおおっ!!?」
落ちてきたものを振り向いて確認すると、
「ふん。貴様が灯りを奪った犯人ということは先程の上空戦で分かっているぞ。黒髪の男がどこにいるか教えろ。まさか殺したとほざくつもりではないだろうな」
下半身が蜘蛛の体で構成されているアラクネ族と、そちらの蜘蛛背中に、
「どちらがおいしいですか? 塩かたれ、あなたの味付け方法についてです」
大ノコギリを得物にしている獣人が乗っていた。
ああくそ。白い炎から出てくる光のせいで、ばれてしまったわよ。
獣人は、戦闘慣れしている私の目にも捉えにくい程に素早く飛翔し、ノコギリで攻撃しようとするけれども。
「なめんじゃないわよ!!」
翼を羽ばたかせて私は空へと回避し、距離をとる。
飛んでいる高度は、周囲に建てられている家屋の屋根より少し高い。
敵二人同時、一瞬で爆破させることも私にはできないこともないが、繰り出せれるのは、通常の轟音が鳴り響いてしまう爆発だけ。
こちらが戦っていることを、できることなら他人にばれたくない。
ここら辺、そんなに一酸化炭素溜まってないから『消音爆破』は、使っても弱威力・・・・・・。
それなら、他人に気づかれないように彼女らを確実に撃破するためには、私は高度を保ったまま、彼女らの体に『暗染炎』を点けて、一酸化炭素が溜まっている時に『消音爆破』を使え・・・・・・。
なんか獣人が、またアラクネの蜘蛛背中まで乗って・・・・・・。
その蜘蛛女が、こちらと同じ高さまでぶっ跳んだぁああっ!!?
十五メートルくらいも私は飛んでいるというのにっ、どんなジャンプ力してんのよ!!
とっさに私は距離をとろうとするも、獣人も蜘蛛の背中から突進するようジャンプし、私の首元まで武器であるノコギリを近づけて・・・・・・。
「だから、なめてんじゃねえっつってんだよっ!!!!」
炎ほど得意ではない闇の魔弾を私は虚空に創り出し、その獣人にぶつける。
攻撃を受けた彼女は、弾き飛ばされ、落下するも・・・・・・チッ! そちらは猫みたいに数回宙返りをして、無事に着地しやがった・・・・・・!!
まあ私の闇魔法は、威力はそんなにないから、あの獣人をひるませることくらいしかできなかった。
あはは、地面に這いつくばって、呻いているよあのロリ。ざまぁないわね。
蜘蛛女の方も高いとこから落ちてきたにもかかわらず、ノーダメージっぽく石畳にその八本の足を着いているんだ~・・・・・・まったく疲れる。
さてそれよりも、明るい昼でも『暗染炎』を効果的に使えるように、発動した場所の光を遮る、闇魔法習得しといてよかった~。
・・・・・・・・・・・・そうだ、自分の体に魔力の闇を包ませれば、白火の光が外に漏れずに、私は夜空に隠れられるのでは・・・・・・?
そうだ、そうしよう。二人の雑魚と闘っている暇はなかったわ・・・・・・ね・・・・・・。
風がうなる・・・・・・風切り音がする方を向くと、こっちに何かが猛スピードで、急接近してくるっ!!!??
※次からは、語り手を主人公に変更いたします。
先ほど点けた白い炎・・・・・・見えたぜ。あそこに飛んでいることがまるわかりだ・・・・・・サイソウ!!
オレは敵を見据えながら『ムササビマント』で滑空する。
こちらに気づいたサイソウは、
「あんたやはり生きていたのね!! あ~も~ばれるのやむなしっ、仕方ないわ・・・・・・そんなに魔王軍幹部のとっておきが見たいようなら・・・・・・。
良いわっ! 闇炎属性混合魔法・・・・・・『貪闇焔』っ!!!!」
自信満々に言い放った。
カナネさん「属性魔法を二種類同時に発動だと!?」
アード「う~・・・・・・焼き猫にされるっすか? おいら」
サイソウの足の、一・二本目の先からは、見たこともない黒い霧みたいな物体が、オレに向かって拡散するように激しく放出した。きっとあれが闇魔法なんだろうな。
そして三本目の足から、黒炎とも白炎とも違う、銀色の火炎が放たれる・・・・・・。
その銀炎が、闇魔法を呑み込み、瞬時にその火のてが広がった。
オレの視界には銀色の炎に埋め尽くされ、聞こえる音は、鼓膜が痛くなるような燃焼音のみ。
だが怯んでられるかっ!
こっちも新技繰り出すぜっ! 氷属性・・・・・・『寒喩』!!」
拡散している銀炎の周囲に、寒風を発生させた。
その風を受けた銀色の炎はすぐに弱まり、そして短時間で消えていった。
「な・・・・・・なんで、あんたが私の『貪闇焔』は、冷気に弱いってこと知っているのよ・・・・・・」
オレは宙を旋回しながら答える。
「まあな。それと『貪闇焔』とかやらは、闇属性の魔法を燃料にするというのも知っていたぜ・・・・・・」
その言葉に、サイソウは傍から見てもわかるような、驚愕の顔を浮かべた。明らかに動揺している。
「・・・・・・まさか、・・・・・・メイちゃんが? いやいやありえない・・・・・・あの後輩が裏切るなんてことをするはずが・・・・・・」
なんだかすごく気の毒に思えてきた。
こんな状態の相手を倒すのは気が引けるが、街の灯りを取り戻さないとな!
行くぞ!
サイソウと出会う前、オレが前もって発動していた・・・・・・。
「『増速』でっ、滑空の推進力を爆発的にアップさせる・・・・・・!!」
ムササビマントに魔法の烈風で煽らせ、そして・・・・・・。
「あっあっ・・・・・・来るな・・・・・・」
サイソウに、オレは体当たりを一発、ぶちかましたっ・・・・・・!!!!
爆裂な衝突音。
こちらにも猛ダメージを受けるほどの膨大な衝撃。
攻撃をもろに受けたサイソウは、ショックで気を失った。
その瞬間に、街中の灯りが、黒炎から、光を放つ通常の火へと戻っている。
・・・・・・勝った・・・・・・だが、終わってない!
彼女は、羽ばたかせてあった翼の動きが止み、そのまま地面に向かって真っ逆さまに落下しようとする・・・・・・。
「・・・・・・ことは予想できてたぜ!」
死なせるかっ!
彼女の方に寄って、空中でキャッチしようと・・・・・・。
・・・・・・っ!!?
自分の体が、さっきの衝突でできた痛みで、動けないっ!!??
やばい・・・・・・このままじゃ、サイソウが死んでしまう!
ああ・・・・・・もう、彼女は助からないのかっ・・・・・・!!!!
「よぉ。また会ったな人鳥の嬢ちゃん。たしかレストラン店内でだっけか?」
なんか見知らぬ男性が、落下してくるサイソウを両手で受け止めた・・・・・・!?
どうやら彼女は、怪我をしてない様子・・・・・・ほっ、良かったよ。
オレも『増速』を解除し、彼の近くに降りる。
「ふ~ん。グライダーか、かっけぇじゃねえか。今度おれにもやらせろよ。 ん゛?」
そう、オレに話しかけてくる見知らぬ男。このムササビマントが褒められるとは・・・・・・皮肉か?
サイソウをキャッチした彼についてだが・・・・・・。
第一印象は、とにかくガラの悪そうな男だった。
年齢はオレと同じくらいか? 瞳は獰猛さが滲み出る三白眼、口元は侮蔑と嘲笑と余裕を含むよう軽く曲がっている。
それと少し筋肉質な体つきをしている。
髪色は赤紫、髪型はオールバックで、その上にカチューシャを装着していた。
服装は、一見でもわかるような安物のボロボロ布服を羽織っていて、ずんだれたズボンを履いている。
革製の靴もそうとう傷んでいるようだ。
そして彼は亜人である。
肌は灰色で、耳は普通の人間のと同じ。
右頬に、タトゥーみたいな大小二つの形が三角な紫紋章? が浮かび上がっていた。
そんな彼が自己紹介をする。
「おれの名は タイガ っつうんだ。まあみんなからはチンピラヤンキーだのと、偽善者だの、サンドバッグだとか呼ばれてんだなぁ。てめぇも好きに呼んでいいぜぇ?」
「そ、そうか。オレは トライ イナリ だ。
あんたがいなかったら、サイソウは死んでたかもしれない・・・・・・助かったよ。
危うくオレは、人殺しになるところだった・・・・・・」
オレの言葉にタイガは、物珍しそうな視線をこちらに発しては、
「ふ~ん・・・・・・闘った相手に情けね・・・・・・『あいつら』とは違うっつうことだな。
じゃあおれは今んところは、とらいをディスらねえよ。
こののびている嬢ちゃんが、事件の犯人だろ? 知っているぜ?
任せてくれ、役人に突き出すが、拷問も死刑も免れるように説得してみるからさっ・・・・・・安心してくれや」
そう答えて、オレに背を向けたところで、
「・・・・・・ずっとてめえは『そのまま』でいろ。おれにディスられるようなことはすんじゃねえぞ?」
という言葉を残して、サイソウを抱えたまま颯爽と去っていった。
「イナリ! 大丈夫か!?」
「トライさ~ん。なっていませんか、焼き肉に?」
そのタイミングで、カナネさんとアードがこちらに向けて駆け寄ってくる。
「ああ、カナネさんに、アード・・・・・・勝ったよ。オレは疲れた・・・・・・」
「そうだな・・・・・・今夜は私がチェックしている宿にみんなで向かおう。途中でなにか食べ物を買っていこう。とにかく思う存分休むぞ」
そう、カナネさんが言った瞬間に、オレの緊張は即座に緩んだ。
「食べ物・・・・・・そうすっね。焼き鳥なんかいかかでしょう?」
・・・・・・いや、そんな気分には・・・・・・。
※次からは、三人称視点に、舞台をどこかの建物にある会議室へと戻します。
チンピラ「ただ今帰ったぞ~」
魔王「遅いぞ。どこで道草食っていたんだ」
チンピラ「てめえの部下を役人に渡しといた。安心しろよ、拷問も死刑もさせねえよう煽ってやった」
魔王「ふん。私としては、そちらの方が良かったんだけどな」
チンピラ「なんだぁあ? つれねぇえな」
国王「あなた達、無駄話も終わりですわ。黒炎騒動も終わり、やっと作戦会議に戻れますわ」
魔王「わかってるぞ、お偉いさん」
剣聖「んで、どこから何の話してたんだったかな・・・・・・?」
天使「・・・・・・ZZZ」
法王「侵入してきた異世界出身者が、この世界に災厄をもたらせるというから、どうやってその者を討伐するのかという内容ですな」
チンピラ「女神サマからのお告げでぇすぅ~のあれか。幻聴じゃねえのん?」
剣聖「そんなわけないでしょう。法王自らが法具で聴き取った天啓で、天使ちゃんにもちゃんと例の女神さまから確認とってもらったでしょう?」
チンピラ「わぁっーてるよ。んで、どうするんだい?」
魔王「こういうのはどうだ? 魔王と国王と法王と天使と剣聖とチンピラで、袋叩きにするというのは?」
次からの投稿は、相当後になる予定です。
申し訳ございません。
ご覧くださりありがとうございました。