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なろうテンプレを装ったなろうテンプレでないチーレム小説  作者: 大錦蔵
ジャンクフード店~首都『トックホルムス』
11/23

眼鏡女子の恋慕、主人公の罪悪感

  語り手は魔王幹部の メイ から始まります。

 最近改稿した時期は、2019年3月15日。

 「・・・・・・(申し訳ありません、サイソウ先輩)」

 そう、私は信頼して尊敬している大切な人を裏切ってしまった・・・・・・。


 いくら、一番犠牲者を出さない選択肢を執っているとはいえ、やはり恩義のある方を騙すというのは本当に・・・・・・心苦しいものですね。

 まあ私が行動を起こした際に、私欲は皆無と言えば、嘘になっちゃいますけど。

 

 ・・・・・・ああこの時を幾度となく待っていたことやら・・・・・・。

 うわあぁああ・・・・・・私の頬が、どんどん熱くなってきていますぅ。


 激しい雨が降っている夜空を見上げます。暗視魔法で、先輩とあの方が今も戦っているのを確認できました。


 ・・・・・・すごいですね。

 やはりあの方、魔王幹部のサイソウ先輩と対等に渡り合っていますよ。


 

 サイソウ先輩の『暗染ステルスファイア』の特徴ですけど確か。


 ①『暗染炎』以外の炎を、上記の魔法に変えることによって、制御権を奪える

 ②生物の炙った部分の感覚を麻痺させることができる

 ③周囲にどれだけ要生風(酸素)が多くても、その炎から出る排気ガスは全て燻炎毒風(一酸化炭素)のみ【二酸化炭素は出ない】

 ④輝くことがなく、周囲にある光を急速に吸収する

 ⑤その炎に燃やされて生まれた灰は、生物の嗅覚・味覚を麻痺させる

 ⑥上記の灰に近く寄れば、異能を使った探知に発見されることはなくなる ただし五感【視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚】に依る能力は例外。【『γ線探知』・『暗視魔法』等】


 ・・・・・・だったと思います。ちなみに追ってきています魔王軍の方々が、裏切り者の自分達と未だに出会ってない理由は、『暗染炎』の灰を、私と先輩が所持しているからでしょう。



 

 ・・・・・さて、もうそろそろですか・・・・・・。




 ※次からは、語り手を稲荷に変更いたします。


 「ぐわぁああぁああああああああああっっっ!!!!???!!!!!」

 目が回る目が回る目が回っ・・・・・・!!

 早く態勢を整えないと、石道路に激突してしまう!!!



 なんとか『ムササビマント』をオレが広げなおした時には、地面と体の距離はもう目と鼻の先。

 純白の爆破で上昇する時間もなく、ついにオレは石階段に強打するよう着地した。

 痛みで転げ降りるオレだが、なんとか生きている・・・・・・。

 うわぁあ、頭がくらくらするし、体中擦り傷だらけだ。

 もしも、那賀からオレの生命力の最大値を、規格外に上げてもらえなかったら死んでただろうな。身震いしながら、彼女を少しくらい見直そう。


 先程オレが繰り出した『浄魔』の豪雨が、オレを借りた服と下着ごとずぶ濡れにする。

 黒炎を消すためとはいえ、外にいる人びしょびしょだろう・・・・・・。

  

 さて、あの人鳥ハーピーが犯人だってこともわかっていることだし、なんとかしないとな。


 「・・・・・・(ごにょごにょ)」

 ・・・・・・え、誰かオレを呼んだ?

 周りを『墨色光』で照らしてみると、路地裏から眼鏡の角を持った女の娘が、そわそわしながらこっちに手招きしているのを発見できた。


 オレは少し警戒して尋ねてみた。

 「おい、オレになんか用か?」

 彼女は焦るよう激しく首肯した。

 ちょっと寄ってみよう、助けを求めているかもしれないからな。


 ・・・・・・なんかオレが彼女に近づくほど、彼女の顔が真っ赤になってる気がするのだが・・・・・・すごくたじろいでるようにも見えるんだが。

 もしやオレに一目惚れ・・・・・・。


 ・・・・・・いや、ないない。

 もう学習しろよオレ。懲りてるだろ? 三度苦い思いしてきたんだぞ!?

 那賀がオレをストーカーした理由だって、執筆するための小説のモデルに、オレが最適かどうかを調べるためだったし、

 カナネさんは、カナネさんの両親から結婚の催促を受けていて、何とかそれを解決したいという理由で、親しみやすいらしいオレと付き合い始め、

 アードにいたっては、オレの子供を食べる目的があって、ハーレムの一員になっているんだから。

 


 ・・・・・・・・・・・・うん、状況を言葉で整理してみると、本当にひどいもんだな!


 はいはい、もう騙されませんよ。オレにはもう一生誰からも恋慕なんて抱いてくれないに決まってんだよちくしょぉおおおおぉぉおおおぉおおおぉおおおおおおお!!


 眼鏡っ娘が口を開く。

 「・・・・・・(もにょもにょ)」      

 ・・・・・・なんて言ったの?


 再び彼女はしゃべりだす。

 「・・・・・・(ヒソヒソ)」


 流石にオレもしびれを切らした。

 「いや、あのね、こっちは急いでいるんだから、用がなかったら引き留めないでほしいなぁあもう!!」


 それに対し彼女はビクリッと慄き、終には・・・・・・。


 むぜひ泣き出すのであった!!?


 「すまねえ! 荒く言い過ぎちまった! 怒ってないから、許してくれぇっ」

 ・・・・・・やばい、今オレが持っているハンカチを渡そうとしたけど、それ雨で濡れてたんだ。

 こんなの渡せない・・・・・・。

 

 オレの言葉に対し、首を横に振る彼女は、泣いているからなのか、次にむせてしまった。

 次第にその咳がひどくなってきている・・・・・・・。


 もうなんなんだよ!? 泣きたいのはこっちだよ!! ほんのちょっと前まで慣れない戦闘していて、今はすぐにでも奴の悪事を止めないといけないのに!! 

 ・・・・・・うわぁっ、今の自分にある罪悪感がひっどい!!


 とにかく彼女を落ち着かせないと

 「お、おい大丈夫か!?」

 ・・・・・・オレは彼女の横まで近づき、背中を軽めにさする。

 

 「・・・・・・っ!?(!?!??!)」


 これで咳の症状が、軽減できたらいいな・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・。


 あ~、服越しで触っていてもわかる。彼女の肌、すべすべだ~・・・・・・。

 あれ? 今オレ、初対面である少女の背中を触っている・・・・・・? 

 おいこれって・・・・・・わいせつ・・・・・・だよな・・・・・・。


 眼鏡少女の俯いている顔を、横から覗き込んでみたら、やはり真っ赤になっていたのが、オレにはわかってしまった。


 「う、うわぁあああっ! 悪ぃ!」

 オレは急いで、少女の背中から手を離す。

 彼女は、体を震わせ、顔と耳たぶを真っ赤にし、頭頂部から湯気が出ていた・・・・・・やばい・・・・・・めちゃくちゃ怒らせてしまった。


 「い、嫌な思いさせちまって、申し訳なかった。けど通報するのは待ってくれ! オレはさっきまでこの暗闇騒動を起こしている相手と戦っていたんだ。そいつを捕まえたら、自首でも何でもするからよ・・・・・・だからっ!」


 その言い訳に対し、彼女は返答する。

 「・・・・・・(ブツブツ)」

 やっぱりめちゃくちゃご立腹であったか!!


 うわぁあどうしよう・・・・・・眼鏡少女、俯いたまま呆然として・・・・・・。


 


 

 『パンッパンッ』

 いきなり自身の頬を、おもいっきり両手の平で叩くぅううぁあっ!!!??

 ぶたれたのはオレではないぞ! なぜかいきなり、少女が自分のほっぺたをひっぱたいたんだ!

 せっかく彼女は可愛いらしい顔をしているのに、ほっぺたが少し赤く腫れてしまって、とても痛々しく変わっている・・・・・・。


 「お・・・・・・おい大丈夫か?」


 眼鏡の少女は下を向いていた顔を急に上げ、眉毛をきりっと傾け、瞳に熱意の光を宿し、

 

 「先程まで、醜態をさらして失礼致しました。もう大丈夫です!」

 

 はきはきと語りだした・・・・・・!

 

 「あ、うん。ところでオレに何か御用でも・・・・・・?」


 「はい。あなた方が戦っていた八咫ヤタガラスタイプの人鳥ハーピー・・・・・・サイソウさんについての情報を提供するために、私はあなた方に接触致しました」

 そう、彼女は、不慣れなように大きめな声で言葉にする。

 あいつと知り合い・・・・・・?


 「いや、それはありがたいけど・・・・・・君はどうやって、自分がこれから伝える情報に信ぴょう性を持たせるんだ? 

 君はサイソウとかいう人鳥とグルではないと、どうやってオレに証明する?」

 少し冷たい言い方かもしれないが、もし彼女がサイソウの味方で、オレを不利にするような情報を掴ませようとしているかもしれないじゃないか。それは困る。


 オレの疑問に対し、彼女は一回深呼吸を入れる。

 「たしかにそれはごもっともかもしれません。

 いきなり現れて、信じろと強制しても無理というもの・・・・・・。

 では少しでもあなた方に私の信頼を得るために、正直に私の身分を申し上げたほうがよろしいですよね・・・・・・」

 そして改まって彼女は続きを語り出した。 

 

 「私はサイソウ先輩と同じダーティー魔王軍幹部の一人、 メイ クリスタルホーン と申します。

 感知系の魔法に特化しています。戦闘に関してはからっきしですけどね」


 「っはっ・・・・・・魔王軍・・・・・・幹部??」

 え?? ・・・・・・こんなおとなしそうな少女がっ!!?? 



 「いやまぁ・・・・・・信じられないんのは確かなんだが・・・・・・」

 確かにメイさんは、オレとカラス人鳥と闘っていることについて知っているよな・・・・・・こんな真っ暗な中。

 しかし、もし本当に彼女が、魔王軍幹部なら、オレに疑問が浮かび上がるのだが・・・・・・。


 「サイソウってのは君の仲間じゃなかったのか? なんで敵であるオレの手助けをする」


 「そ、それは・・・・・・」

 メイさんは再び俯き始め、拳に胸を添え、少し言いよどむも、答える。

 「実はサイソウ先輩は、魔王様を裏切って、一人でこの都にいる国王を独断で始末しようとしているのです。私は彼女の暴走を止めるために追って参りました。

 ・・・・・・不快に思われますでしょうけど、私はあなたを利用するために接近しました」


 そうなのか。

 「で、アドバイスを教えてくれるのか?」

 とりあえず聞いてみよう・・・・・・信じるか疑うかはその後だ。


 メイさんは頷き答える。

 「はい。サイソウさんの術『消音サイレント爆破ブラスト』は、燻炎毒風が溜まっている場所でしか発動できません。

 風の流れが強い上空で闘った方が有利ですね。

 逆に建物が密集している場所や黒い炎が長時間灯っている所には、できるだけ避けた方がいいでしょう・・・・・・」


 「燻炎毒風・・・・・・一酸化炭素? 炎から出る有害ガスのあれ? え? 分子とか知ってるのか!?」

 

 メイさんは驚愕し、怯えながらも答える。

 「え? は、はい。学園の化学や神話学で学びましたけど・・・・・・」

 こんな中世ヨーロッパみたいな国に住んでいる人達に、分子の存在が魔王軍にも知れ渡っているのか・・・・・・そういや、ジルコニーも当たり前のように放射線だのガンマ線だの口にしてたな~。

 あと、神話学で理系の単語教えてんのかよ??


 そして少しの間、オレとメイさんはサイソウについての情報や、またいろいろな役に立つ事も教えてくれた。


 「サイソウさんは今、公園の噴水で入水し、白い炎を消そうと苦戦しています。・・・・・・感知系の能力で捕捉できました。私の示す先です」 

 この前アードが指を星空にさしたように、手の平でメイさんはオレに向かうべき先を教えてくれた。


 「わかった、ありがとう。このお礼はいつかするから」


 「あ・・・・・・あの!」


 「ん? まだ何かあんのか」


 彼女は革服のポケットから、手の平で収まる布袋を取り出し、こちらに差し出してきた。


 「・・・・・・これは?」

 袋を握ってみると、粉が入っている感触がした。

 なんか、魔王軍側から渡されたものだから、正直、罠かもしれないが、断ろうものなら、またメイさん泣いてしまうかもしれない・・・・・・その時にオレの心から湧き出る罪悪感は凄まじいものである。


 メイさんは答える。

 「お守りです。灰が入っています。ぜひ受け取ってくださいね。きっとどこかで役に立つ時が来るでしょう」


 「いや、いいのか貰ってよ?」


 「報酬の代わりだと思ってくださいね。本来サイソウさんを止めなければいけないのは、私なので。戦闘が苦手な自分の代わりに闘ってくれていることに助かっているのですよ。」


 「じゃあもらっとくよ。サンキューな」

 そういや、こっち名乗ってなかったな。

 「オレは 虎威 稲荷 ってんだ。またどこかで会えるといいな!」


 オレは受け取り、ポケットに入れる。次にすかさず助走をしながら『ムササビマント』を拡げ、うつ伏せ状態でジャンプし、メイさんに当たらないと判断したタイミングで『非酸爆発ナイトロージョン』を繰り出した。


 再び上空を駆けるオレは、ふと今の自分の様を思い浮かべる。

 ・・・・・・ムササビみたいに飛んでいるオレを、メイさんが見上げている様子を・・・・・・。


 今、

 オレの恰好は、

 ひょっとして、


 めちゃくちゃダサいんじゃねえか?



 ※次からは、語り手をメイに戻します。


 「ふふふ・・・・・・イナリさんイナリさん、トライ イナリさん。やっとあの方の名前が判明いたしました」

 夢のような時間でした。

 憧れの方との出会い。


 私は、戦地に向けて去っていくイナリさんを、激しい雨音を聞きながら見送っていました。

 モモンガみたいに滑空している彼は、とても勇ましく見え・・・・・・。


 ・・・・・・贅沢を申してよろしいのでしたなら、もしも彼の飛空方法が、モモンガの物まねではなくて、こう・・・・・・堕天使を連想させるような漆黒の翼を背中にはやして颯爽と舞う方でしたなら、私好みでもっと格好良くなると思いますけど・・・・・・。


 はぁ・・・・・・。

 こんな体たらくなことを考えていては、私はイナリさんに恋慕を抱く資格すら無くなってしまいますよね。

 彼はこの都の人達を助けるために、命を懸けているにもかかわらず、私は不埒な望みを持ってしまって・・・・・・こんな自分が嫌いです。


 いやいや、

 予知能力で発見して恋してしまったイナリさんと、せっかく直に会えてお話できたんですから、もっとポジティブにいきましょう・・・・・・!


 まあ、先輩どころか憧れのイナリさんにまで、大嘘を口にしてしまったのですから、もう自己嫌悪がひどいことになっていますけどね・・・・・・。

 



 ・・・・・・さて、もうそろそろですか・・・・・・。


 私は振り向かずに挨拶します。

 「お久しぶりですね。ダーティー様」


 「ふん。いけしゃあしゃあと・・・・・・メイ」

 知っていましたけど、後ろから声が響きます。よく存じているその声を。


 私は背後に振り向きます。

 振り向いた路地裏先には、センザンコウの鱗ドレスを着こなしている見た目幼い女性がたたずんでいました。

 もちろん知り合い。

 私がイナリさんに索敵妨害の効果を持つ魔法灰を差し上げましたから、自分の居場所が魔王様の探索魔法に引っ掛かってしまったんです。


 「お前みたいなバカ正直者の頭には、嘘をつく回路なんか無いと思ってたんだが、まんまと私は出し抜かれたよ」


 「私の場合は、ただの臆病者。正直者が魔王幹部になれるわけないですよ」


 「言ってろ。そんな臆病者のお前が、この魔王ラスボスを裏切り、仲間を利用した程の理由はなんだ? 何を予知した?」


 「フフフ・・・・・・残念ながら、申せれるわけないでしょうに・・・・・・」


 「さてそのセリフ・・・・・・拷問しながらでもほざけるかな?」


 ・・・・・・・・・・・・。


 「いやいや、曲がりなりにも私はあなた様の軍の幹部ですよ? たかが苦痛ごときに屈する・・・・・・」


 「いや、屈すると思うから言っているんだが? お前、人一倍痛みに弱いだろ」


 ・・・・・・・・・・・・。


 私は俯きむぜひ泣きます。

 「うっうっ・・・・・・もう終わりです。もう私の光輝く人生は・・・・・・」


 「魔王軍に入っている時点で、そんな概念的な輝きは失ってんだぞ。あとこれからの自分を予知しない方がいい、拷問始まる前から絶望するかもな・・・・・・ところで・・・・・・」


 「はい・・・・・・なんでしょう・・・・・・」



 ダーティー様は目を見開き、呟きます。

 「・・・・・・いつ、そんなはきはき喋れるようになったんだお前??」


 


 

 


 

 


 

 


 

 

 

 

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