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03 初めての合戦

あくまで予定ですが、3日毎に更新できればと思います。

 さて、屋敷に戻ると小谷町子さんがお出迎えしてくれた。

 おぉ、実際に見るとなかなかの美人じゃないか。

 好みではないが、良い感じではある。

 まあ、自分は女なので、どうこう出来るわけでは無いが。

 では、さっそくたたら場の棟梁と会ってみよう。

 棟梁がどこにいるのか聞くと、裏門の外で待たせてあるという。

 そりゃあいくら立場が違うとは言え、外は失礼なんじゃないか?

 立ち話も何なので、上がってもらいなさいと言うと、それでは領主としての示しがつかないとか言うので、こっちが門の外へ出て行くことにした。

 だが、棟梁の持って来た話で、ウチの屋敷は大騒ぎになった。

 話というのは、棟梁が砂鉄をいつものように採っていたところ、黄色い粒が沢山採れたという。

 実は最近になり黄色い粒が混じるようになったので、もしかしたらと思い持って来たと言うのだ。

 ここで鑑定スキルが活躍することになるとは思いもよらなかった。

 そう、金の粒だったのである。

 砂金1もんめで金100の価値があるそうだ。

 木曽川で砂金が採れるなんて聞いたこと無いぞ、と思いつつ、棟梁にはぜひ上がってお茶でも飲んでもらって、何なら風呂でも入ったらどうだと、大歓待で迎えられた。

 仮にこれが本当なら、上流に金山ないしはそれに準ずる地層があるに違いない。

 こういう時、ゲームだと知略の高い武将がアドバイザー的なサジェスチョンをくれたりするのだが、俺以外だと町子ちゃんの74が最高で次が錦之輔の72なので、到底信用に値するアドバイスは期待出来ない。

 こういう領内の資源を探す場合の内政コマンドで、探索とか無かったかな?

 おでこを叩き内政コマンドを出してみると、確かに探索という文字があるが、ブラックアウトしてて選択出来ない。

 理由がどうやら知力と政治ともに70以上あり、今仕事をしていない家臣がいないとダメらしい。

 錦之輔には港の建設をやらしていたんだったな。

 領主は探索に出ちゃダメなのか。

 そうかぁ、先に人材か。

 と言うことで、もう一度人事コマンドで、って人事コマンドってどうやるんだ?


 ※人事コマンドはまだ設定されてませんよ。

  新規コマンド設定でアクションを登録してくださいねー。


 はーい。

 どうするかな、人だから掌に人でいいや。

 はい登録完了。

 さて、領地も広がったし、新たな人材がいても…あれ?

 人材がいない。

 ん?人口が減ってる?

 どういうことだ?


 ※合戦があった場所の近くでは、再び合戦が起こると考え、人々が出て行ってしまうことがあります。

  それを防ぐには、早めに縄張りを決め、人々に城下町としての発展を見込めると思わせる必要があります。

  縄張りを決めるのに、金4000が必要になりますので、頑張って稼いでください。


 4000かあ。

 2回ぐらい依頼こなさないといけないな。

 月末まであと10日。

 どっかへ出かける依頼は無理だな。

 簡単に済むヤツだと報酬が少ないしな。

 まー、うだうだ言っててもしょうがないか。

 まずは、清洲まで行くとしよう。


 町子ちゃんに留守を頼んで、俺は再び外へ出た。

 と、その時清洲の方から500騎を超える騎馬軍団が猛スピードでやって来る。

 何だ何だと思っていると、頭の上にちゃんと名前が書いてありました。

 「木下秀吉」

 あいつ、いつの間に秀吉になったんだ?

 まあいい、あの慌て振りはただ事では無いな。


 「おーい!」


 おっと女らしく…って今はそれどころでは無い。


 「藤吉郎!!」


 それでようやく俺に気づいたようで、隊列を一旦止め、馬に乗ったまま近づいてきた。


 「おう吉子!斎藤がまた攻めて来よった」


 相変わらず呼び捨てだな。

 それはそうと、早くも墨俣を取り返しに来たってことか。


 「もう来たの?速いな」

 「ワシはこれから墨俣に行くところじゃ、吉子はどうする?」

 「こっちには兵がいないからな、部下達と信長様の本隊に加わるとしよう」

 「分かった、気をつけろ、敵は多勢らしいぞ」

 「多勢はいつものことでしょ」

 「違いねぇ。じゃあな」


 そう言うと木下君は騎馬隊の先頭に戻り、騎馬隊を率いて川の方へと向かって行った。

 やれやれ、金を稼ぐ暇も無いな。

 俺は屋敷に戻ると3人の侍大将たちを呼び戻し、戦の支度をさせた。

 なかなかこいつらに良い武器を買ってやれんなぁ。

 そう思いながら、再び町子ちゃんに合戦に向かう旨を告げ、屋敷を出た。

 彼女の心配そうな顔が、何とも言えんなぁ。

 さて、こちらは隊列を組まなくて良いので、木下君たちより速い。

 途中で秀吉の騎馬軍団に追いつき、先に行くぞ、と挨拶を交わすと信長の待つ本陣へ向かった。

 信長は何処にいるかと思えば、墨俣よりさらに先に砦を作り、斎藤軍を迎え撃つ構えのようだ。

 我々が墨俣に着いた時は既に日付が変わり、午前2時になっていた。

 信長本隊は稲葉山城から出撃した斎藤軍に向け、既に出撃したという。

 間に合わなかったか。

 しかし4人でここに居てもしょうがないので、信長本隊に向け出発する。

 秀吉軍はまだ来ないな。

 どっかで休憩してるのかな?夜だしな、夜明けを待つのかも知れない。

 それとも情報通の木下君のことだ、墨俣に寄らずに、直接向かうのかも。

 戦略マップによると、信長本隊はさらに北の十四条という村に向かっていると思われる。

 信長本隊は斎藤軍と間もなく接敵しそうだが、ここからその十四条まではあと2〜3時間ぐらいはかかりそうだ。

 とにかく急ぐとしよう。

 北上を開始しておよそ2時間、ゲーム上ならものの10秒ほどなのだろうが、ここでは実時間しかないからキッチリ2時間走り続けた。

 ようやく空がうっすら明るくなってきたと思った時、数百メートル先だろうか、鬨の声が聞こえてきた。

 あー始まっちゃったか。

 間に合ってくれよ。

 そう思って走っていると、新九郎が左の方を指さし、「あれは信長様では?」

 と聞いてきた。

 間違いない、どうやら敵に囲まれているようだ。


 「みんな!行くぞ!」

 「おうっ!」


 俺たちはたった4騎だが、俯瞰から戦場を見れる利点がある。

 マップを表示しつつ、敵の足軽隊の後ろに回り込み、馬上から鉄扇をお見舞いしてやった。

 ハリセンみたいだな、と思いつつ、一列に並んでいる足軽たちをなぎ倒す。

 そうだ、チュートリアルさん!

 あの炎が出るやつ、どうやんの?


 ※エフェクト攻撃

  持っている武器の親指に当たるところに、ボタンがあるはずです。

  それを押しながら攻撃してください。


 ボタン?

 おお、これか。


 「エイヤッ!」


 ズボボボボーンと、鉄扇から火の玉が飛び出し、足軽たちにぶつかり着物に燃え移る。

 こうなってはもはや足軽隊は隊列を維持出来ない。

 後ろに続く三騎もそれぞれの武器で、足軽隊を駆逐していく。

 こうして信長の本陣に相対している部隊を蹴散らすことに成功する。

 さらにマップには奮戦する信長本陣の北から迫る100騎ほどの騎馬隊が確認出来たので、急いで本陣に合流することにした。

 我々を見た信長は、顔色1つ変えず何か言ってきた。


 「大谷吉子!大義である!軽海かるみまで行けるか?」

 「カルビ?」

 「吉子様、西にし軽海かるみ城のことでございます」


 錦之輔は偉いなぁ、それで知略72だなんて。

 俺なんて91なのにどうなってるんだろうね。

 ちょっと待って、軽海城って、あーここか。

 ここからさらに西だな。

 およそ5kmってとこだ。

 敵はいないようだし、問題無いな。


 「大丈夫、行けます!」

 「よし、案内せい!」

 「あ、はい」


 俺たちはマップの示す方向に向かって、進み始めた。


 「ものども!吉子に続け!」

 「おぉ〜!」


 あらま、案内役になっちゃったよ。

 初めての道だけど、大丈夫だよね、いちおうナビがあるし。

 しかし、この道がほとんど獣道のような細い小道で、馬は縦1列に並んでしか通れない。

 この状態で横から攻撃されたらひとたまりもない。

 伏兵が居ないことを祈るしかないところだが、ちょっとチュートリアルさん!

 伏兵を見破る方法とか無いの?


 ※戦場スキル:看破

  豪雨と濃霧の時以外に、敵の罠や伏兵を見破ることができます。

  知略90以上の武将で、技量が60以上あれば、戦闘経験を積むうち、習得できることがあります。

  大谷さんは技量が50ですので、もう少し頑張れば、習得できるかも知れませんね。

  技量は、道場などで修行をすることで、上げることができます。

  また、道場で上げられる能力は、技量以外にも武力、体力、腕力も同時に上げることができますので、積極的に利用しましょう。

  家臣の中に剣術のスキルを持つ武将がいれば、師範にすることができます。

  その武将が自分より能力が高いと、能力の上昇率がより高くなります。

  ただし、修行には金200と1ヶ月間掛かり、その間ほかの仕事はできなくなるのでご注意ください。


 いろいろやることが多くて当面は無理だわ。

 幸いにして伏兵に遭うことも無く、およそ一時間ほどで西軽海城と思しき城、というより砦に毛が生えた程度の物が見えてきた。

 まーここは俺が行って調べないと、いけないんだろうな。

 そう言おうとしたところ、先回りされてしまった。


 「吉子!物見に行って参れ、恒興つねおきを付けてやる」

 「御意」


 そう言って一歩前に出たのは、織田家の譜代武将、池田いけだ恒興つねおきさんであった。

 立場は向こうの方が全然上なので、付けられたのはこっちなんじゃないかと思うが、ともかく池田さんともお近づきになるチャンスである。


 「よろしくお願いしまぁす」と、かわいく挨拶する。

 む?心なしか顔が赤くなった気がするが…

 まあいい、俺たちは連れだって城らしきものを見に行った。

 板塀と櫓がある以外は、ただの砦と言って良い感じだ。

 いちおう屋形のようなものも有るので、籠城っぽいこともできなくはなさそうだが、それほど防御力は高くない感じだ。

 斎藤方の者も誰もおらず、もぬけの空だ。

 OKの合図を見届けるまでも無いと思ったのか、我々が砦に入った段階で既に信長さんは移動を開始していたようだ。

 砦から出るともうそこに信長さんが待っていた。

 こちらには言わなくても分かるとばかりに、「うむ」と言っただけであったが、一緒に退却してきた軍勢には、大声で命令を発した。


 「夕刻までこの砦で一時休息とする」


 夕刻までということは、夜にはここを出るってことか?

 まさか、このまま墨俣に帰るわけじゃ無いよな。


 「夜襲か」


 と、ポロッと独り言を言った時、隣にいた池田さんが口に指を当てて、余計なことを言うなと合図してきた。

 なるほど、間者が紛れてるかも知れんってことか。

 そんなことを考えていると、すぐ後に信長様が来ていた。


 「吉子よ、先ほどの働き見事であった。其方には何度も助けられたな、また褒美をやらねばならんのだが、これ以上知行を増やすと他の者に妬まれるであろう、何か物で済ますことはできぬか?」


 おやおや、これはいたく気に入られたもんだな。

 褒美と言ってもなぁ。

 そうだ。


 「これは恐れ多いお言葉、有り難きことにございます。それならば我が部下3人により良い武器を与えとうございます。此度の働き、あの3人の手柄によるもので御座いますゆえ」

 「なんと、自分にではなく部下に与えたいと申すか」

 「あ、あの、ダメでしょうか?」

 「まさか、これ程部下思いの良き将はおるまい、許す、好きな武器を選ばせよ」

 「ははぁ!有り難き幸せ〜!」


 そう言って信長さんは池田恒興を連れて、こちらの様子を遠巻きに見ていた佐々成政なりまさと砦の中に入っていった。

 褒美ねぇ、それもこれもこの戦いを生きて帰ってからの話だな。

 それにしても木下君は何をしてるんだろうねぇ。

 墨俣に行くって言ったって、そのままそこにいるわけじゃないだろ。

 ん?墨俣?一夜城?ってこん時の話だっけ?

 あースマホで調べたい!


ここまでお読みくださりありがとうございます。

史実と違うやんけ、と言う方もいらっしゃるかと思いますが、あくまで仮想のゲームという前提ですので、ご理解ご協力のほど、よろしくお願いします。

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