表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/336

01 有名戦国シミュレーション

はじめましてTANK-KONGと言います。

かなり趣味的な作品で申し訳ありません。

また、きちんと結末も考えずに見切り発車で御座います。

それでもお付き合いいただける奇特な方がいらっしゃるなら、大変嬉しく思います。


※2018/01/06、パッケージアート風イラスト、アップしてみました。


2022/09/27:一部文言修正しました。

挿絵(By みてみん)



 俺は大谷おおたによしつぐ

 1981年10月生まれの36歳。

 ニートではないが引き籠もりだ。

 職業は一応Webデザイナーなどと言っているが要はパソコン便利屋だ。

 仕事はほとんど自宅で出来るので引き籠もりみたいなものである。

 無論結婚はしていないし、その予定もない。

 彼女居ない歴=年齢の、典型的オタクである。

 何のオタクかと言えばPCとゲーム、あとプラモデルから派生した兵器関係も少々という感じで、アニメ、アイドルといった王道からはちょっと外れた路線を歩いてきた。

 要するに機械いじりが好きだったわけだが、俺が中学生の頃、PCの自作ブームが起こり、学校でもパソコン部に入って、この時自作PCにどハマリしたのが今に続いているという感じだ。

 ゲームの方は小学生の時に買ってもらったスーパーファミゲーが最初で、当時はみんなと普通にワイワイやる程度だった。

 どちらかといえばアクションが苦手なので、パズルとかRPGが好きだったが、特にハマると言うこともなく過ごしていた。

 MSXというパソコンに出会うまでは。

 言わば、PCとゲーム機の中間みたいなもので、パソコン並の性能を持ちながら、画面表示はゲーム機並という不思議な存在で、小学生にも使えるパソコンとして、親を説得しやすいのも良い点だった。

 ここで俺は初めて戦国シミュレーションという世界を知った。

 既にPCの世界では有名なタイトルだった「戦国の野望」である。

 俺がやったのは戦国の野望の3作目だったと思うが、戦国武将に能力に応じてパラメータが振られ、それが合戦や書物によって向上していくところがRPGみたいで非常に面白かった。

 大谷おおたに吉継よしつぐという武将を知ったのも、この時が最初である。

 自分によく似た名前でしかも有能ときている。

 外見も他の武将と違って、白い頭巾みたいのを巻いていて格好良いし。

 思い入れを強くしない方がおかしいだろう。

 なのでゲームでは1575年頃までに近畿地方を領地とするべく躍起になったものである。

 1576年辺りから、人材探索しまくったのは今では懐かしい思い出である。

 そんな経緯で、シミュレーションゲームの世界が好きになった俺は、その後いろんなタイプのシミュレーションゲームを制覇していった。

 時には市長になって都市経営に苦労したり、文明を1から作り上げたり、鉄道経営を通じて都市を育成したり。

 共通して言えることは、その世界の中で何かを作り上げる事が好きなのだ。

 「戦国の野望」も最初は単なる国盗りだけだったが、最近は城下町の建設など、都市育成的な要素が強くなってきたので、俺としては願ったり叶ったりで、更にどハマリする結果となってしまった。

 仕事はチャッチャと終わらせ、あとの時間はほとんど戦国時代にいるような、そんな状況である。

 なので、次回作の「戦国の野望」がVR(ヴァーチャルリアリティ)完全対応と聞いた時は、いったいどういうことかと驚いたのだった。

 次回作はどうやらゲーム会社が出来て40周年の記念作と言うことで、同社の戦国アクションバトル「信長無双」とのコラボレーション作品になるようだ。

 早い話、戦闘部分は「信長無双」、運営部分は「戦国の野望」という感じで、合体した上に良いとこ取りという、失敗しようの無い鉄板作品である。

 もちろんPC版が先に出るようだが、VRはオプション対応となる。

 俺も一応ゲームオタクなので、ゲームステーション4は持っていたが、VRはまだ持っていなかった。

 そんなおりに、ゲームステーション5の発売がつい先月発表された。

 5ではVRゴーグルが標準装備になったらしく、「戦国の野望VR」も同時発売で出るらしいとなれば、発売と同時に、別のソフトと抱き合わせでも何でも手に入れる他はあるまい。

 4用のVRは、解像度が低いのがイマイチだと聞いていたので、5では4K対応になることもあり、非常に期待して良いのでは無かろうか。


 そんな久々に期待に胸踊る日々を送っていたところ、ア○ゾンからまさかの、ゲームステーション5入荷未定の連絡が来たのがゲーム機発売の5日前。

 慌てて量販店に行っても時すでに遅し。

 俺と同様にアマ○ンから裏切られた同士と思われる荒くれ者どもが、秋葉原を駆けずり回っていた。

 だが、有るところにはちょこっとだけ有るのが秋葉原。

 定価より少し割高だが、5台だけ入荷予定と書いてあるショップを見つけた。

 俺は迷わずその店で予約を取り付けた。

 少々日本語が怪しい店員が気にはなったが、さすがにパチモンを予約取ってまで売らないだろう。

 最悪のケースも考え、アマゾ○の予約は取り消さないでおこう。

 俺としては、金よりも当日手に入らないショックの方が大きいのだ。


 そしていよいよ発売当日、予約を取ってあるとは言え何があるかわからないのが秋葉原。

 開店より少し早めの時間にそのショップへと行ってみると、既に6〜7人の大きいお兄さん達が並んでいた。

 俺と同年代か少し若いぐらいだろうか、入荷台数は5台と書いてあったので、何人かはグループなのだろう。

 ヨンドバシでは建物を2周していただの、ソブマップでは当日販売を諦めただのといった話をしている。

 ヤミダでは30万円のエアコン買ってくれたらゲーステ5プレゼントなどという不届きなチラシが俺の家にも入っていた。

 思わずフラッと釣られそうになったが、すんでの所で踏みとどまった。

 大人だからな。

 とまあ量販店の久々の活況振りに、○マゾンの罪がいかに大きいかを物語っていた。

 さて、ようやく店が開店し並んでいたお兄さん方が店に入っていく。

 先頭の2人はやはりグループだったらしく、1台のゲーム機を2人で大事そうに抱えて帰って行った。

 そのあとは皆、お一人様で俺のすぐ前の奴らが2人組だった。

 あれ?数が合わなくね?

 嫌な胸騒ぎがする。

 そして予感的中。

 あろう事か、前の2人組で売り切れとなってしまった。

 どういうことなんじゃい!

 と戦闘態勢で挑むと、片言の日本語でイロイロ謝っていたが、要は予約番号をダブって取ってしまった、と言うことらしい。

 日頃は大人しい引き籠もりだが、こういう時は非常戦闘モードに切り替わるのがオタクというものだ。

 俺はその、浅黒い顔をした30ぐらいのお姉さんに食ってかかる。

 どうにかしてくれと。

 今から、どこへ行こうと買えやしない。

 あんたらはこの予約券で、俺から他の店で買う機会すら奪ったんだぞと。

 責任取れやこらぁ!とゴロまいていると、奥からちょっと可愛いポニーテールの女の子が出てきて、深々と頭を下げた。


 「オオタニ様、大変申シ訳アリマセンデシタ。失礼ナオ申シ出デスガ、私ノ買ッタモノデ、一部箱ヲ開ケテシマッタ物デスガ、ソチラデヨロシケレバオ譲リイタシマス」


 おおっ!

 話の分かる娘じゃないか!

 君と一緒に暮らせるなら、俺に渡さなくても済むんだぜ…。

 なんてことを一瞬考えたが、口に出して言う勇気はない。

 ちょっと目が離れて口が大きいのが、逆に可愛いな〜などと思いながら、俺は彼女居ない歴を更に延長すべく、標準小売価格+税=10万円を置いて店を出た。

 「戦国の野望VR」は、2周も列が出来てた店では既に売り切れで、一瞬焦ったがその側のヤミダで無事買うことが出来た。

 こういう時は、家までの道程がホントにもどかしい。

 何でこういう時には各駅しか来ないんだ?


 ソミー「ゲームステーション5」

 本体の大きさはゲーステ4とほぼ同じくらいだが、ボディにアルミ素材を多用し、4より軽く全体的にシルバーで統一されたシャープなデザインだ。

 メインRAMは8GBと少なめだがVRAMが16GBと必要にして十分なメモリ、さらに新設計の8コアプロセッサで処理能力はその辺のパソコンを大きく上回る。

 1TBのSSD採用で、高速でしかも省電力と、VRゴーグルも標準装備で本体価格89800円はちっとも高くない!という素晴らしいハードウェアだ。

 家庭用としての売りはUHDディスクに対応したことだろう。

 BDは前機種でも対応していたが、フルの4Kコンテンツを供給するにはUHDが必須なのだ。

 専用のプレーヤーはまだ高価な物が多い中、9万で買えるのは大きい。


 早速本体を設置し、去年買ったばかりの40インチ4Kテレビ(MADE IN TIWAN)に繋ぐ。

 おおっ!

 さすが4Kフル対応。

 画面がきれいだ。

 このテレビもようやく本来の性能を発揮出来るわけだ。

 続いて、ガイダンスに従ってVRゴーグルの調整を行う。

 同じようなVRゴーグルを付けたCGのオネイサンの指示どおり、ゴーグルの調整をしたあと、ちょっとしたVRツアーを楽しんで360°3Dでデジタルな世界にちょっと感動をおぼえながらも、気はそぞろと言うか、早く次の手順に移りたくて仕方がない。

 言うまでも無く、早く「戦国の野望VR」がやりたくて仕方がないのだ。

 チュートリアルが終わり、ゲームステーションネットワークの認証やら、4のゲームデータの移行やらをすべて終わらせ、ようやくゲームソフトのインストールである。

 予想通りというか当たり前というか、メディアがいきなりUHDディスクである。

 なにしろ「戦国の野望」と「信長無双」を合わせたゲームと考えれば、そのデータ量はハンパではない。

 およそ20分ほどシルバーの棒が左から右に届くまで待たされた。

 その間に軽くカップ麺とサンドイッチを食べ、昼食を済ませる。

 さあ、いよいよゲーム起動である。

 「エーコー・ドグマ・ゲームス」

 ゲーム会社のロゴが表示され、いつものようにCGムービーが流れるが、そこはVRである。

 いきなり360°戦国時代真っ只中に放り出される感じは、これまでのCGムービーをただ眺めるよりはるかに刺激的だ。

 最初は足軽同士のぶつかり合いの中にいたが、そこを切り裂くように現れた騎馬武者こそ、織田信長。

 それと真っ向から斬り合っているのがどうやら今川義元か。

 そのすぐ脇で武田信玄と上杉謙信がやり合っている。

 その刀と槍の間を縫うように画面は進んでいき、金色のヒョウタンを担いだ豊臣秀吉と思しき武将と、どうやら徳川家康らしき武将が大軍同士でぶつかり合っている。

 その後も有名武将が次々と現れ、最後に製品のタイトルがバーンと目の前に出てムービーは終了した。

 完全に気分はアクションゲームである。

 すでにVRで少々疲れ気味であるが、この調子で長時間に及ぶはずの国盗りゲームにはたして耐えられるのだろうか。

 ここで周囲が暗くなり、目の前にメッセージが出てきた。


 「あなたにあてはまる項目にチェックマークをしてください」


 なになに?

 俺にあてはまる項目とな。


 □戦国シミュレーション「戦国の野望」をプレイしたことがある

 □戦国アクションバトル「信長無双」をプレイしたことがある

 □「信長無双」以外の戦国アクションバトルをプレイしたことがある

 □シミュレーションゲームが得意

 □アクションゲームが得意

 □VRゲームをやったことがある


 なるほど〜。

 俺は上4つだけチェックをして次に進んだ。

 すると、また選択肢が出た。


 □チュートリアルをはじめる

 □ゲームを始める

 □ゲームを終了する


 ここは素直にチュートリアルである。



ここまでお読みくださりありがとうございます。

ご意見、ご感想、評価、ブックマーク大募集中で御座います。

皆様よろしくお願いします。


書いている最中に某社から、某ゲームの次回作が発表されてしまいました。

内容的には被る点も有るように見受けられますが、コンセプトが違うようなので一安心です。


追記2021/09/21

導入部の書き始めが2017年5月ということで、ゲーム機のスペックや秋葉原・量販店をめぐる状況など、だいぶ現実とかけ離れた内容が書かれていますが、この時点ではあくまでも予測でしたので、あしからずご了承ください。

(まさかゲーム機でもダウンロード販売が主流になるとは思いもよりませんでした)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ