01 有名戦国シミュレーション
はじめましてTANK-KONGと言います。
かなり趣味的な作品で申し訳ありません。
また、きちんと結末も考えずに見切り発車で御座います。
それでもお付き合いいただける奇特な方がいらっしゃるなら、大変嬉しく思います。
※2018/01/06、パッケージアート風イラスト、アップしてみました。
2022/09/27:一部文言修正しました。
俺は大谷吉続。
1981年10月生まれの36歳。
ニートではないが引き籠もりだ。
職業は一応Webデザイナーなどと言っているが要はパソコン便利屋だ。
仕事はほとんど自宅で出来るので引き籠もりみたいなものである。
無論結婚はしていないし、その予定もない。
彼女居ない歴=年齢の、典型的オタクである。
何のオタクかと言えばPCとゲーム、あとプラモデルから派生した兵器関係も少々という感じで、アニメ、アイドルといった王道からはちょっと外れた路線を歩いてきた。
要するに機械いじりが好きだったわけだが、俺が中学生の頃、PCの自作ブームが起こり、学校でもパソコン部に入って、この時自作PCにどハマリしたのが今に続いているという感じだ。
ゲームの方は小学生の時に買ってもらったスーパーファミゲーが最初で、当時はみんなと普通にワイワイやる程度だった。
どちらかといえばアクションが苦手なので、パズルとかRPGが好きだったが、特にハマると言うこともなく過ごしていた。
MSXというパソコンに出会うまでは。
言わば、PCとゲーム機の中間みたいなもので、パソコン並の性能を持ちながら、画面表示はゲーム機並という不思議な存在で、小学生にも使えるパソコンとして、親を説得しやすいのも良い点だった。
ここで俺は初めて戦国シミュレーションという世界を知った。
既にPCの世界では有名なタイトルだった「戦国の野望」である。
俺がやったのは戦国の野望の3作目だったと思うが、戦国武将に能力に応じてパラメータが振られ、それが合戦や書物によって向上していくところがRPGみたいで非常に面白かった。
大谷吉継という武将を知ったのも、この時が最初である。
自分によく似た名前でしかも有能ときている。
外見も他の武将と違って、白い頭巾みたいのを巻いていて格好良いし。
思い入れを強くしない方がおかしいだろう。
なのでゲームでは1575年頃までに近畿地方を領地とするべく躍起になったものである。
1576年辺りから、人材探索しまくったのは今では懐かしい思い出である。
そんな経緯で、シミュレーションゲームの世界が好きになった俺は、その後いろんなタイプのシミュレーションゲームを制覇していった。
時には市長になって都市経営に苦労したり、文明を1から作り上げたり、鉄道経営を通じて都市を育成したり。
共通して言えることは、その世界の中で何かを作り上げる事が好きなのだ。
「戦国の野望」も最初は単なる国盗りだけだったが、最近は城下町の建設など、都市育成的な要素が強くなってきたので、俺としては願ったり叶ったりで、更にどハマリする結果となってしまった。
仕事はチャッチャと終わらせ、あとの時間はほとんど戦国時代にいるような、そんな状況である。
なので、次回作の「戦国の野望」がVR(ヴァーチャルリアリティ)完全対応と聞いた時は、いったいどういうことかと驚いたのだった。
次回作はどうやらゲーム会社が出来て40周年の記念作と言うことで、同社の戦国アクションバトル「信長無双」とのコラボレーション作品になるようだ。
早い話、戦闘部分は「信長無双」、運営部分は「戦国の野望」という感じで、合体した上に良いとこ取りという、失敗しようの無い鉄板作品である。
もちろんPC版が先に出るようだが、VRはオプション対応となる。
俺も一応ゲームオタクなので、ゲームステーション4は持っていたが、VRはまだ持っていなかった。
そんな折に、ゲームステーション5の発売がつい先月発表された。
5ではVRゴーグルが標準装備になったらしく、「戦国の野望VR」も同時発売で出るらしいとなれば、発売と同時に、別のソフトと抱き合わせでも何でも手に入れる他はあるまい。
4用のVRは、解像度が低いのがイマイチだと聞いていたので、5では4K対応になることもあり、非常に期待して良いのでは無かろうか。
そんな久々に期待に胸踊る日々を送っていたところ、ア○ゾンからまさかの、ゲームステーション5入荷未定の連絡が来たのがゲーム機発売の5日前。
慌てて量販店に行っても時すでに遅し。
俺と同様にアマ○ンから裏切られた同士と思われる荒くれ者どもが、秋葉原を駆けずり回っていた。
だが、有るところにはちょこっとだけ有るのが秋葉原。
定価より少し割高だが、5台だけ入荷予定と書いてあるショップを見つけた。
俺は迷わずその店で予約を取り付けた。
少々日本語が怪しい店員が気にはなったが、さすがにパチモンを予約取ってまで売らないだろう。
最悪のケースも考え、アマゾ○の予約は取り消さないでおこう。
俺としては、金よりも当日手に入らないショックの方が大きいのだ。
そしていよいよ発売当日、予約を取ってあるとは言え何があるかわからないのが秋葉原。
開店より少し早めの時間にそのショップへと行ってみると、既に6〜7人の大きいお兄さん達が並んでいた。
俺と同年代か少し若いぐらいだろうか、入荷台数は5台と書いてあったので、何人かはグループなのだろう。
ヨンドバシでは建物を2周していただの、ソブマップでは当日販売を諦めただのといった話をしている。
ヤミダでは30万円のエアコン買ってくれたらゲーステ5プレゼントなどという不届きなチラシが俺の家にも入っていた。
思わずフラッと釣られそうになったが、すんでの所で踏みとどまった。
大人だからな。
とまあ量販店の久々の活況振りに、○マゾンの罪がいかに大きいかを物語っていた。
さて、ようやく店が開店し並んでいたお兄さん方が店に入っていく。
先頭の2人はやはりグループだったらしく、1台のゲーム機を2人で大事そうに抱えて帰って行った。
そのあとは皆、お一人様で俺のすぐ前の奴らが2人組だった。
あれ?数が合わなくね?
嫌な胸騒ぎがする。
そして予感的中。
あろう事か、前の2人組で売り切れとなってしまった。
どういうことなんじゃい!
と戦闘態勢で挑むと、片言の日本語でイロイロ謝っていたが、要は予約番号をダブって取ってしまった、と言うことらしい。
日頃は大人しい引き籠もりだが、こういう時は非常戦闘モードに切り替わるのがオタクというものだ。
俺はその、浅黒い顔をした30ぐらいのお姉さんに食ってかかる。
どうにかしてくれと。
今から、どこへ行こうと買えやしない。
あんたらはこの予約券で、俺から他の店で買う機会すら奪ったんだぞと。
責任取れやこらぁ!とゴロまいていると、奥からちょっと可愛いポニーテールの女の子が出てきて、深々と頭を下げた。
「オオタニ様、大変申シ訳アリマセンデシタ。失礼ナオ申シ出デスガ、私ノ買ッタモノデ、一部箱ヲ開ケテシマッタ物デスガ、ソチラデヨロシケレバオ譲リイタシマス」
おおっ!
話の分かる娘じゃないか!
君と一緒に暮らせるなら、俺に渡さなくても済むんだぜ…。
なんてことを一瞬考えたが、口に出して言う勇気はない。
ちょっと目が離れて口が大きいのが、逆に可愛いな〜などと思いながら、俺は彼女居ない歴を更に延長すべく、標準小売価格+税=10万円を置いて店を出た。
「戦国の野望VR」は、2周も列が出来てた店では既に売り切れで、一瞬焦ったがその側のヤミダで無事買うことが出来た。
こういう時は、家までの道程がホントにもどかしい。
何でこういう時には各駅しか来ないんだ?
ソミー「ゲームステーション5」
本体の大きさはゲーステ4とほぼ同じくらいだが、ボディにアルミ素材を多用し、4より軽く全体的にシルバーで統一されたシャープなデザインだ。
メインRAMは8GBと少なめだがVRAMが16GBと必要にして十分なメモリ、さらに新設計の8コアプロセッサで処理能力はその辺のパソコンを大きく上回る。
1TBのSSD採用で、高速でしかも省電力と、VRゴーグルも標準装備で本体価格89800円はちっとも高くない!という素晴らしいハードウェアだ。
家庭用としての売りはUHDディスクに対応したことだろう。
BDは前機種でも対応していたが、フルの4Kコンテンツを供給するにはUHDが必須なのだ。
専用のプレーヤーはまだ高価な物が多い中、9万で買えるのは大きい。
早速本体を設置し、去年買ったばかりの40インチ4Kテレビ(MADE IN TIWAN)に繋ぐ。
おおっ!
さすが4Kフル対応。
画面がきれいだ。
このテレビもようやく本来の性能を発揮出来るわけだ。
続いて、ガイダンスに従ってVRゴーグルの調整を行う。
同じようなVRゴーグルを付けたCGのオネイサンの指示どおり、ゴーグルの調整をしたあと、ちょっとしたVRツアーを楽しんで360°3Dでデジタルな世界にちょっと感動をおぼえながらも、気はそぞろと言うか、早く次の手順に移りたくて仕方がない。
言うまでも無く、早く「戦国の野望VR」がやりたくて仕方がないのだ。
チュートリアルが終わり、ゲームステーションネットワークの認証やら、4のゲームデータの移行やらをすべて終わらせ、ようやくゲームソフトのインストールである。
予想通りというか当たり前というか、メディアがいきなりUHDディスクである。
なにしろ「戦国の野望」と「信長無双」を合わせたゲームと考えれば、そのデータ量はハンパではない。
およそ20分ほどシルバーの棒が左から右に届くまで待たされた。
その間に軽くカップ麺とサンドイッチを食べ、昼食を済ませる。
さあ、いよいよゲーム起動である。
「エーコー・ドグマ・ゲームス」
ゲーム会社のロゴが表示され、いつものようにCGムービーが流れるが、そこはVRである。
いきなり360°戦国時代真っ只中に放り出される感じは、これまでのCGムービーをただ眺めるよりはるかに刺激的だ。
最初は足軽同士のぶつかり合いの中にいたが、そこを切り裂くように現れた騎馬武者こそ、織田信長。
それと真っ向から斬り合っているのがどうやら今川義元か。
そのすぐ脇で武田信玄と上杉謙信がやり合っている。
その刀と槍の間を縫うように画面は進んでいき、金色のヒョウタンを担いだ豊臣秀吉と思しき武将と、どうやら徳川家康らしき武将が大軍同士でぶつかり合っている。
その後も有名武将が次々と現れ、最後に製品のタイトルがバーンと目の前に出てムービーは終了した。
完全に気分はアクションゲームである。
すでにVRで少々疲れ気味であるが、この調子で長時間に及ぶはずの国盗りゲームにはたして耐えられるのだろうか。
ここで周囲が暗くなり、目の前にメッセージが出てきた。
「あなたにあてはまる項目にチェックマークをしてください」
なになに?
俺にあてはまる項目とな。
□戦国シミュレーション「戦国の野望」をプレイしたことがある
□戦国アクションバトル「信長無双」をプレイしたことがある
□「信長無双」以外の戦国アクションバトルをプレイしたことがある
□シミュレーションゲームが得意
□アクションゲームが得意
□VRゲームをやったことがある
なるほど〜。
俺は上4つだけチェックをして次に進んだ。
すると、また選択肢が出た。
□チュートリアルをはじめる
□ゲームを始める
□ゲームを終了する
ここは素直にチュートリアルである。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
ご意見、ご感想、評価、ブックマーク大募集中で御座います。
皆様よろしくお願いします。
書いている最中に某社から、某ゲームの次回作が発表されてしまいました。
内容的には被る点も有るように見受けられますが、コンセプトが違うようなので一安心です。
追記2021/09/21
導入部の書き始めが2017年5月ということで、ゲーム機のスペックや秋葉原・量販店をめぐる状況など、だいぶ現実とかけ離れた内容が書かれていますが、この時点ではあくまでも予測でしたので、あしからずご了承ください。
(まさかゲーム機でもダウンロード販売が主流になるとは思いもよりませんでした)