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竜王の息抜き

やっと、建国祭に関わる書類の、最後のサインを終えた俺は、背伸びをして開放感を味わっていた。さて、少し出かけてくるか!またクロウドに捕まると、仕事を増やされたら面倒だ。執務室から私室に行き、身を改める。今日はさて何処へ行こうか、城下の様子でも見に行くか。


よし、これでいい。中庭に行き城の裏側に回り込んで行くと、城の外に出れる隠し扉がある。これは、俺とクロウドと護衛官のダグラスしか知らない秘密の場所だ。薄暗い道を歩いて居ると、横から何かが、ぶつかってきた。俺の周りは、野菜のクズだらけだ。一体、なんなのだ。


「すいません!ゴミ捨て場が、解らなく迷子に成りました。ごめんなさい!」

その娘は、その辺に散らばった野菜クズを、拾い桶に入れている。俺は、面倒だと思いながらも、手伝ってやる事にした。これでいいだろう


その、女の子は頭に被っていたスカーフを取り、頭を下げてお礼をした。

黒い髪。あのときの子か?向こうもびっくりして、そのうち満面の笑顔で話しかけてきた。そうか、クロウドが食堂で働いていると。

「逢えて良かった!私、アルさんに助けて頂いたのにお礼も言えず。」

「その節は、ご迷惑をお掛けしました。それにここに置いて貰えるようにお願いして下さり、本当にありがとうございました。感謝しています。」

「あの場所に、置いて行かれたら、たぶん今頃は獣の餌になっていたはずです。」

「貴方は私の命の恩人です。」

「私にも、ここで出来る仕事があり、友達もできました。」

「私は、帰る希望は持つています。捨てたら、自分自身で無くなりそうで、悲しいでしょ」

「でも、本当に貴方に逢えて、話が出来て良かった。もしかして、アルさんも、お城の竜王様に仕えているの?」

「もしそうなら、またきっと逢えるわよね!」遠くの方から声がする。

「あっ!トムが呼んでる。私戻らなければ。アルさん!またあいましょうね。」


町へ逃亡しようと思ったが、なんだか行く気が薄れて、来た道を戻った。しかし、不思議な娘だな・・あそこまで前向きに考えて、此処の世界に馴染もうとしている。あんな娘には今まで会った事が無い。あのキラキラ光る漆黒の瞳と、くるくる変わる表情にどうしてか目が離せなくなる。


この世に一人だと言うのに、屈託のない笑顔で、明るく接してくる。

何故かまた顔を視たくなる。あの娘の気持ちが知りたくなる?????

一緒に居ると、心の中が暖かくなる。何なんだこの気持ちは?

まだ、アルフレッドは心の奥底にある光が、小さく震えて居ることに、気が付いていない。

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