明菜とアルのデート
明菜はベットの上で目覚めると、もう横のベットは空だった。ヤバイ!!私寝過ごした!!跳び起きる。ああ・・アンリは今日は早番で、もう仕事に出かけたのね。窓のカーテンを開けると、朝の光が目に飛び込んできた。昨晩は、初めての外出に興奮して眠れなかった。
いけない!早く支度をしなければ遅刻だわ!クロウゼットの中から、お気に入りの水色のワンピースに着替える、鏡の前に自分が映し出される。
この、服もアンリが、妹のお下がりだけどといって、貰った服。
アンリには、とても感謝してる。家族が多く、下の姉妹や弟の面倒を、母親代わりに、世話をしてたそうだ。家族も居ない私を、心配して、この国
の事を何も知らない私を、外って置けないらしいので、色々面倒を見て貰い、お世話になっている。アンリは、私の信頼する姉のような人だ。
明菜は、髪を纏めると、フードの付いたマントを着て、部屋をでた。
此処で働いてる人が通る通用門の、側に金の色に少し茶色の髪した、アルさんの姿が見えた。アルさんの装いは、白のシャツに紺のジャケット。
ベージュのズボンを膝までのブーツインしている。
イケメンは何を着てても格好いい。明菜は、アルさんに向かって走り出した。アルさんは優しく、迎えてくれた。
「ごめんなさい!遅くなって!待ちました!」
「おはよう!ございます!今日1日、宜しくお願いします。」
「アルさんとの、初めての外出、私が此処に来て初めての町!私にとって記念日です。一杯観て、楽しみましょうね!」
「私の初めてが、側にアルさんがいるなんて、とても嬉しいな!」
私の人生初のデートなのです。17歳に生るのに初めてとは、本当は私男性とお付き合いするのも初めてなんです。田舎に住んでいた事もありこの方面は奥手なのです。此方に来て自分は大胆なのだとつくづく思いました
自分から好きな人にデートに誘い?アルさんは多分デート気分じゃないと思うけど、異世界の子供を町へ案内する保護者的感覚なのかも知れない。それでも私は二人で一緒に出かけれる事がとても嬉しい!
「おはよう!いいか!君が町を観るのが、楽しみなのは解る。でも、いいか!絶対俺から離れるな!守れないならやめる。」子供じゃないよ!
明菜は、町の治安はいいと聞いてる。でも本当にアルさんは心配症なんだから。私は頷いてアルさんの顔を視た。
町の道は整備され、お店も小綺麗で、品物の種類も豊富だ。1件の店に入った、軽い食事が出来る店だ。アルさんは、私の為に、ホットケーキの上にチーズにハムが挟んであるパンと紅茶を頼んだ。アルさん自身は、お茶を飲んでいる。何で、私が朝食べて無いことが解るの?明菜は、アルさんに自分のパンをナイフで一口サイズに切ると、フォークで一つ刺して、アルさんの口元に差し出した。ビックリした様子だけど、差し出されたパンはアルさんの胃袋に収まった。少し耳が赤い。うふん~可愛い・・・
店を出ると、人が沢山出てきた、人混みの渦の中、いつの間にかお互いの手と手を繋ぎながら、歩いていた。やっぱり、迷子防止策だよね。
「彼処は何?何してる所?」
「ああ・・青空市場だな」
「行ってみたいわ!行きましょう!」
市場、活気に溢れていた。生きたままの、鳥、山羊。羊に牛まで。勿論それらを解体してお店に並べて売っている。野菜も自分たちで育てた、新鮮な物で今まで観たこと食べてない物もあり、店の人に物の名前や料理の仕方を明菜は夢中で聞き観ていた。これこそ本当の産直だ。やはりこの国は幸せなのだ。市場の活気がそう思わせる。
こんな町に住めるなら、元の世界に帰れなくても寂しくないように思える
それは私の隣に彼がいるから。そしてこの国でも大事な人が出来たから。
私たちは、美味しそうな屋台の店で、パンニュを二つに搾りたてのジュースを買い求めて少し小高い場所で、遅めのお昼にした。
「わああ~!!此処からだと、私たちが行った町が、見えるのね最高!」
「この国は、本当に豊かで美しい所ね。」
「きっと、竜王さまの御陰よね。アルさんは竜王様にはお会いした事あるでしょう?国民の人々の皆が、尊敬している人が治めているなんて、とても素晴らしい事だは、同じ人間同士で、殺し合う事がない世界。明菜の世界には、今でも貧富の差で餓死したり。テロや宗教の違いで、戦争もしている。この国にも、階級制度はあるけど、大勢の人が幸せそうだ。
私の世界には、これ程の、大陸を統治できる人は、いないもの。」明菜は、羨ましくなる。
明菜は思った、私の居る場所は、此処ではないと。いつか異物として弾かれるかも知れない。どうすればいいのか?今は、解らない。今は私にはアルさんや他の友達も出来た。少しずつこの世界に馴染んでいけば、この世界に受け入れて貰えるの?私が此処に来た意味が解るのかな?
それから、私たちは、アンリさんやトムとメアリーさんのお土産を買い求めてから、城の通用門を目指した。手は繋いだままで。
「アルさん、今日は連れて行ってくれて、ありがとう!。とても楽しかった。」アルさんの手をそっと離す。そして、恥ずかしそうに言った。
「アルさん・・・・もし、嫌じゃないのなら、私の事明菜と呼んで。」
「私も、アルて呼んでもいいかしらん?ありがとう!アル!またね!」
明菜は、顔が熱く成るのが判った。だから、アルに気が付かれる前に、その場を離れて走り出した。以前の自分だったら、言えない事をした、こんな大胆に相手に告げる自分が、恥ずかしかった。明菜はこの世界で、幸せに暮らせたら、いいなあ~と思う。<アルの側で>