宰相クロウドの憂鬱
メアリーが私に謁見を申し出た。何事かと思い、部屋に入るように執事にいい。机の書類を確認しながら待つ。
「話とは何の事だ。」
「はい、御多忙の時にお会いくださり、ありがとうございます」
「まあ・・・いい」
「お話は、明菜様の事です。」
「ああ・・・あの子か?・・・どうかしたか?」
「はい、こちらの世界に来られて半年過ぎ、城下町への興味をもたれていらしゃいます。外出許可を出して頂たいと、申し上げに参りました。」
「それは、本人が申し出てるのか?」
「はい、左様でございます。もし許可して頂けないのなら、直に本人にお話しては、頂けないでしょうか?」
「了解した。本人に会ってみよう・・・」
「ありがとうございました。失礼します」
城の外へ出たいだと、全く何を考えているんだ!いくら異世界の人間でももう少し緊張感を持つはずだ!まあ、他の者の報告では、上手く回りに馴染んできてるようだが。
最近、おかしな報告があったな?アルが城の食堂で見かけると?あのお方にも困ったものだ。一日も早くお相手を見つけて戴きたいのに、私もいやこの大陸の人々も安心できる。あのお方しか、この大陸を統治できる人間はいない。御本人が、積極的に行動されて王妃を迎えて下されば私も、安心出来ると思うのだが、一向に前向きに考えては下さらない。だから何としても、私は絶対あのお方に、<つがい>と成られる方を探さなければならない。<迷い人>など御気にしている場合ではないのだ。これはこの国を与る宰相としての役目なのだ。