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明菜とトム

「ごみを捨てに、いつまでかかるんだ?」

「お~い!またトムが心配してるぞ。トムは明菜の事となると何をやっていても何時も気になるんだな。親のつもりだな」

「何!せめて兄貴だろ!」

「ごめんね!トム。ほら前に話した事あったでしょう?私がこの世界にきた時に助けてくれた人の話。」

「ああ~・・・たしかアルとか言う人か?」

「それがね、ゴミ捨て場で迷っていたら、偶然会ったの!お礼の言葉を言って、それから新しい職場で友達もできた事を話していたから、私は大丈夫よ!此処に連れてきてくれてありがとう!」

「心配かけてごめんね。」

「まあいいさ。しかし宮殿の中でも、あまりうろちょろするなよ」

「お前は、大体目立つからな・・・・・・気をつけな。」


トムが心配してる意味が今一理解出来ない。目立つって何が?この世界の人の方が綺麗な人が多いのに、私が目立つ事など無いと思うのだけど?

トムもアンリも心配症なんだから!私は大丈夫なのに。ここは素直に返事をする。

「は~い!私は、トムダチの言う事を守ります。」

「なんだよ?そのダチは?」

「私の国ではね、仲良くなった友達だけにダチをつけるのよ。」

トムは複雑な気分だが、嫌ではなく、心の中がほんわり暖かくなるようだ


明菜、この厨房が好きだ。野菜を洗い、皮をむき、切ったりと自分にも出来ることで、皆の役に立てるから、そして、他の調理人達も少しずつ、明菜を仲間として此処での働きを、認めてくれるようになった。

「さあ!もう仕事は、終わりだぞ!15日後は、いよいよ建国祭だ!今の内に、精々スタミナをつけて、休んでおけ!お前達1週間は、まともに休めると思うんじゃねえぞ!」

「全く、人使いが荒いぜ!鬼だよな!」

そんな事を言っててもコック長の事を、厨房の皆が尊敬している。

「お前達、4カ国の王や要人方々が、このグランシャルにおみえになる。俺達の力を見せようではないか!」

コック長は、自分の胸を叩いた。

「コック長!!俺らは裏方ですぜ。見せ場なんてありませんよ!」

「まあ。それもそうだがな・・・・・」あはははははは・・・・・!!

「皆、とても楽しみにしているのね。」

「3年に1度の盛大なお祭りなんだ。最後の1日は、うまい物も出るし、酒も用意して、無礼講で凄く盛り上がるんだよ。明菜は初めてだよな。」

「そうね、来てからまだ半年も立ってないもの。私も楽しみだわ!」

「なぜ?凄く忙しいぜ。頑張って倒れるなよ。」私、軟弱ではないよ。

「トムダチは優しいね!」トムは照れ笑いをして、顔が赤い。 

「別に、優しくしてる訳ではない!お前に倒れられたら、迷惑だからな」

「トムダチ!照れてる?」トムは、とても素直な性格だ。

「ばか!ごちゃごちゃ言わずにもう休め!」


私が住む、寄宿舎は3階建てで、1階は洗濯や掃除をしている人。一部屋に4人位で住む。2階は、大体3人部屋だけど、今は、アンリさんと二人で、使用している。3階は、侍女の方の部屋で一人部屋なのだ。

侍女の方は、お家が裕福で、礼儀作法も厳しく躾られた、名門のお嬢様方が、結婚までの期間、過ごされるそうだ。宮殿仕えの侍女は、元々貴族のお嬢様ばかり、爵位のある男性のお目に留まり、お嫁入り。侍女の方は、宮殿の中では、婚活の場所なのだ。中には、城勤めを、選択される、お嬢様もいて、それなりの地位に、就くことが出来る。キャリアウーマンを目指すお嬢様もいらしゃるとか。私には関係の無い話なのだ。


明菜は、同室のアンリと一緒に、笑いながら、自室に向かった。

アンリは、私より5才上で、知らない世界に来た事を知ると、色々教えてくれて、何時も優しくて、私のことも姉妹の様に、面倒を見てくれてお世話になっている。私が何も持ってないと聞くと、何処からか必要な物を持ってきてくれる。お金が無いのでと、返そうとすると、妹のお下がりだから、気にしないでね。でも、何だかどれも新品の様だけど。妹さん、きっと大事に着た服よね。明菜は自分も大切にしようと素直にアンリさんの好意を受ける。この国の人は、おおらかで、親切な人が多い。豊かな国だからかな。


それに、スタイルはボン!キュ!ボン!のプロポーション、それに綺麗な人、仕事も出来る。私は、そんなアンリさんの事を尊敬し憧れている。その事をアンリに話すと、自分の方が、私に、憧れるんだって・・・・・・何処見て?自信無い体を、見て私はため息がでた。この国の人は、優しい人たちなのです。私たちは、お互いにアンリ・明菜と愛称で呼んでいる。私が最初、先輩で年上なので<さん>付けで呼んでたら、同僚だから、愛称で呼んでねと言って其れからは、お互いの事を愛称で呼んでいる。何だか、とても嬉しい。家族に成れた気がする。


私たち二人部屋がある場所は、2階の階段を、上がり一番奥の部屋が、私たちの、憩いの場所だ。今では、この世界での、私の居場所。

8畳位で広さで、ベットが2台置いてある。それぞれのクロウゼットの中には、今は、私のお気に入りの、3枚のワンピースが入っている。引き出しには、下着類を入れている。

下着類は、城の外から来るお店で、購入したもの。此処は、城の外にいかなくっても、品物を運んで、売りに来てくれるので、特に、不自由な事は無いけれど、仕事が、休みの日は、町へ外出したいと、アンリに訴えると「無理だわね。」一言で、駄目出しされた。どうして?と尋ねたら、

貴女はこの町では目立つので、許可して貰えないの、特に黒い髪は、駄目だと言われた。じゃあ!髪を染めると話しても、無駄だった。これではいわゆる軟禁されているの私?だから、お休みの日は、アンリが、図書室から借りた、この国の歴史。それに料理本。小説を読んで、過ごしている。同じ休みの時は、アンリに刺繍を、教えて貰うんだけど。町への願望が募る。そうよ!私の仕事場を紹介してくれた。宰相様に、直訴しよう。偉い人だし、影響力も在るから、お願いしてみよう。直接に会う事は、出来ないから、誰かに、宰相様に会わせて貰うには、メアリーお嬢様に、相談して、外出の許可を貰える様に、頼んでみる。我ながら名案よね。

それが駄目なら、直々に宰相様に、お会いしてくださるか?聞いてみる?駄目もとでいいから!当たって砕けろよ


まあ、砕けてしまったら、前に進めないから、何とか頑張って、頼んでみよう。私の休憩時間に、最近アルさんが、会いに来てくれる。二人でいると楽しく心が浮き立つ様だ。私は日本の話しをしてアルさんは、城下町の出来事を、話してくれる。アルさんの側に居ると、とても心が安らぐ、穏やかな気持ちなり安心できる。それに、会う度に、美味しいお菓子を、持ってきてくれる。私の事は、まだ子供扱いなの?まあ当然の扱いよね。この胸の無さは,母ゆずりの血筋だ諦めよう。アルさんも、巨乳が好き?男性なら憧れるわ。私も憧れて居るもの。そうだとしても仕方ないわ。今度アルさんに会ったら、一緒に、城下町へ連れて行ってと、頼んでみよう。アルさんなら一緒に、行ってくれるかもしれないわ。一度お願いしてみよう。何時アルさん来るかな?アルさんの姿を思うと、胸の奥で、暖かい何かが疼いている。明菜はそれが初恋だとは今は感じていない。

アルさんが来る、その日を、明菜は、待つことにした。


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