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初めて出会ったのは龍神様!?

明菜は、月明かりの中、静かな湖畔にたたずんでいた。

周りを見ても外灯らしき明かりも見えず、湖の周りは暗闇の森があり、目の前には、大きな湖が満月の光を浴びて、キラキラと輝き水面はまるで鏡のように澄んでいて、何も寄せ付けない様に静寂に包まれている。

辺りには、水鳥達が羽を休めている。なんて美しい場所なんだろう。

.明菜は不思議に思った。(私は、何故こんな所に?)

先ほど迄の行動を思い出してみる。

(確か、香織の家に行くつもりで、近道に何時もの神社の階段を駆け上り途中で・・・そうだわ!階段から足踏み外して落ちた・・・・・)

もしかして、私?死んだの!嫌な予感がしてきた。

此処は、あの世?天国なの。(天国といえば、お花が一杯咲いて居る所なんじゃないの?)呆然と湖を観ていた・・・水鳥達が、何かの気配を感じて一斉に飛去る。(えっ!何?)明菜は不安になり、耳を研ぎ澄まして周りを見回してみる。遠くの方から何かが段々近づいてくる異様な物音が聞こえてくる。(何!何の音?)

耳を澄ますと、その音が徐々に、大きくなる。此方に来るようだ・・バサ!バサ!バサ!バサ!・・・・・・大きな鳥の、羽ばたきの様な音。

(隠れなければ)と木の陰に身を潜めた。その瞬間に大きな水音が?湖面に目を向けると、大きくさざ波が立っている。(うあああ〜!)驚愕し、あれは何?ドラゴン?恐竜?伝説の竜?祖父の昔話しに聞いた。<龍神>銀の鱗に包まれている。<銀の竜>月光に照らされて、キラキラと鱗が宝石の様に煌めいている。明菜は、余りにも竜の神々しい姿と美しさに、呆然として見取れていた・・神の使い?私を天国連れて逝く為に現れたの。祖父が話してくれた龍神様。本当に居たのね。祖父は竜神を御本体として崇められている神社の神官をしている。橘家は代々其処で神官をしている家系なのだ。明菜の母の生家である。小さい頃より祖父の昔話を聞くのが好きで、何時も祖父の話の中には龍神様と人間との悲恋の話が出てくる。

今、自分の眼の前に、物語に聞かされた想像の竜がいる異常な光景だ。しかし、明菜には初めて見た銀の鱗に感動していた。(なんて!綺麗なの!)

銀色の鱗を月の光に映し、気持ちよさそうに、泳いでいる。余りの美しい姿に、恐怖も薄れて、呆然として見とれていた。でも変だ。私を無視して水遊びしている、龍神様でも怠慢だよ。(天国へ連れて行くのなら、水遊びしてないで!それでも神様の使者なの!)(まさか?私はまだ死んで無い!)(私が死ぬのを待っているの?)だとしたら自分は、今夢をみてるんだ。自分が神竜の供物に成るのは、嫌だ夢だとしても、食べられる状態を、想像するだけで悪夢変わる。明菜は、目を閉じて、願った。(私、早く覚醒しろ。目を覚ませ。起きろ。)目を開けて回りを見た変わらない。(何?私どうして目覚めないの。)そうか、階段から落ちた時、頭の打ち所が悪く、昏睡状態で眠ったままなのだ。(お医者様!早く治してよ!)夢の中で心臓麻痺になる。それこそ心臓停止。明菜はもうこの現状が何なのか良く解らない。ファンタジーな世界だけどとてもリアルすぎる。もう一度試す。(覚醒して私、早く、起きて!竜の餌になる!)駄目だ!何度しても私目覚めない。

明菜は今目の前に、映る光景は夢の中の出来事だと自分に暗示をかける。ただ呆然として美しい竜の姿を見つめて佇んでいた。銀の竜の紺碧に輝く目が、明菜を捉えた。その瞬間に竜の姿が消えた。(あれ?竜がいない)「お前は!誰だ!」

明菜の目の前に一人の男性が現れた。(何時のまに?何処から?来たの)金色に茶色がかかった髪に、紺碧の瞳、若い男性。(外人なのに何故日本語を話してる)鳴き声馬!黒い馬!

「お前は、誰だ!何処から来た?」

「お前、言葉が解らないのか?」

「いいえ!言葉は解ります。」

「日本語ですよね?」相手は私の問いに不思議そうな顔をしている。

「此処は、どこですか?」

「グランシャルのファレン湖」(?????)

「お前、変わった服を着てるな!」

「えっと?いつもと一諸ですが?」ブルーのシャツにジーパン姿。相手の服装を眺める、白のシャツに黒のズボン姿同じよね。別に変わりはないよ。ブーツ履いている、それも膝下迄ある変よね、今時そんなスタイルお目に掛かれないよ。嫌な予感が!(夢だよね?でも嫌にリアルだよ。)明菜はまだ自分は夢を、観てるのだと思いこもうとした。嗅覚が香しい花の匂いを感じた。側にある物を触ってみると、手に木の感触が、よく見ると足下には白い可憐な花が咲いている。それにこの爽やかで甘い香り。明菜は驚愕した。(駄目よ、早く起きろ明菜。目を覚ませ。眠ってる場合じゃない。)嫌だ。夢なんかでない!明菜は自分の頬を抓ってみた。(いったあああ!)痛い!(どうして?)明菜は混乱し精神は攪乱して頭の中が爆発寸前!大声で喚いた!

「教えて!何故こんな場所いるの、私の状況を説明してよ!」

ああ〜。誰か教えて、一体全体私、どうなってるのよ!

「お前、まさか?迷い人か?」

「何ですか?その迷い人って?」

「この国では、時々現れるらしい。」(私何でこんな処に迷い込んでるの?余所の世界なの・・まさか!異世界!どうして・・元に帰りたい!嫌だ!嫌だ!帰りたいよ!嫌!絶対戻る。)明菜は恐る恐る尋ねる

「あの〜私、戻れますよね。元の場所へ」

「解らん!」(なんて無神経な人だ。解らんだって!)この状況に混乱してる、乙女に対して言う言葉!帰りたい!次々に家族の顔が浮かぶ、父さんも母さんも兄や祖父。みんな、会いたいよ。今頃私を探して心配してるよ。親友の香織にも会いたい。戻る事が出来ないと思うと余計に愕然とした。体の奥底から悲しみが涙となり、目から溢れて出てきた。喚き、大声で泣き出した。自分を知っている人、今はもういない、一人知らない所に、放りだされた。喪失感と孤独と絶望が、明菜を襲う。17年の人生での最初であり最悪の状態を今向かえる。

この知らない、訳の話からない所に、一人取り残された喪失感に打ちしがれて悲嘆した。そして、いつの間にか泣き疲れて記憶が・・・・・・・・

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