装甲ケイタイ小説
高校2年の夏。
服剛草子の平和な日常は脆くも崩れ去るかと思われた。
ことの発端は父親の不倫だった。真面目で仕事一筋だとばかり思っていた父が、いつの間にか外に女を作り、その相手と共に駆け落ちしようとしたのだが、玄関ドアの分厚い防壁に阻まれ適わなかった。
落ち込んだ母親は酒に溺れる日々を過ごしたが肝臓が頑丈だったので大事には至らなかった。そこに追い討ちをかけるように新興宗教の勧誘が襲い掛かり、高価なお布施を要求されたが財布の紐が堅かったのでびた一文支払わなかった。
そんな両親を見て荒れた草子は、同級生の不良グループと付き合うようになり、同級生の男子と一線を越えそうになったが身持ちが堅かったのでそんなことにはならなかった。
しかしそれでも問題は持ち上がった。高校生の夜遊びを見咎めた担任により、草子はあわや退学というところまで追い詰められる。担任の頭も固かったのだ。
だがその時、追い詰められるわが子を目にした両親が結束した。
父親は職員室のドアを硬い拳でぶち破り。
母親は言葉によって手堅く担任を説得した。
草子の退学は取り消しとなり一度バラバラになりかけた家族は再び一つにまとまった。その結束は固かった。
こうして服剛草子の平和な日常は脆くも崩れ去らなかった。
彼女の日常は極めて堅牢だったのである。