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第五十七話 主人公、異世界格闘大会で戦うのこと。その八 準決勝

「ダンってさ、格闘技とかをどうした?」

ここは単刀直入にいこう。


「どうした?」


と思ったら通じなかった。あはは。


「どうしたっていうのはさ、誰から教わったのかとか、そういうこと」


「ああ、教えてもらったっていう意味でいえば、お前から教わったぞ」


ああー、そうなのか。


「でもほら、受け身ぐらいしかやってないだろ?パンチとかキック、スウェイとかどうしたんだ?」


「パンチ?スウェイ?」


あ。


「いや、拳で殴るのをパンチ、足で蹴るのをキック、上体を後ろに反らして避けるのをスウェイっていうんだよ」


「へえ。知らなかった」


ある意味すごいな。

「あれは自分で工夫したの?」


「そうだね。なんかお前に受け身を教わったろ。お前はそれで格闘技の一番になったのに、なんでそんな簡単にみんなに教えるのかなって思ってさ」


「はあ・・・」


「同期全員受け身ができるようになって、思ったんだよね。これはレオにはもっと先があるんじゃないかって。投げられても受け身で勝てる。でも全員受け身ができたら、誰も勝てない。でもレオは全員に受け身ができるようにした。だったら、レオは受け身ができる奴にも勝てる方法を知っているんじゃないかとさ」


マジか。格闘技の鬼かこいつは。


「投げても受け身で勝てる奴に勝とうと思ったら、投げたら駄目って事なんだよな。今日、実際にそれが分かった訳なんだけど。そこで思いだしたのが餓鬼の頃の喧嘩でさ、殴ったりすればいいんじゃないかって。殴られたら受け身できないだろ」


「そうだけど」


「そこで今日は敢えて挑戦してみたんだけど、やっぱお前凄いな。あんな殴り方があるなんて思ってなかった。パンチって言うのか」


そんな風に言われると気まずい。何しろダンと違って俺には元の世界での予備知識があるんだから。もちろん実際に習っていた訳ではないから、達人の動きにはほど遠いんだけれども、イメージの有る無しは大きいな。


「あとあれだ!あの最後にみせた受け身のとれない投げ!あれ凄いな!」


「お、おう」

あれもゲームか何かでやってたんだよな。投げるというイメージとはかなり違うけれども、格好良かった。


「今度はあれを教えてくれよ」


んー・・・。俺もまだあれは工夫している途中だからなぁ・・・。


「ま、気が向いたらでいいからさ」


「そうかい?それじゃ気が向いたら」


俺はもう戦わないから煮込んだ肉をガッツリ食ったが、ダンは周りの付け汁をパンに付けて食べただけで、肉は角をちょっと囓った程度だった。


「おばちゃん、これからやるから肉、残しちゃった。ごめんね」なんて言いながら、食器を返す。


それにしても話して分かったが、ダンはやっぱり格闘技の鬼だ。俺も教官はしてみたいが、奴にもやって貰いたい。午後はダンに勝ち残って欲しいものだ。


桐のみんなと合流して、再び練兵場に出る。今度は俺も観客側だ。



少しして午前のような試合場ができあがる。ただ、午前と違って中央には誰もおらず、場所だけが空いている。


「午後、第一試合!ゴーラとサンダ!前へ出ろ」

ガッハ軍長の声が響く。全然関係ないけど、「サンダ対何とか」ってなんかあったな・・・。何だろう。今回はゴーラ対サンダだけど。


始めの合図で二人が向き合う。何となく同時に二人が会釈したのが微笑ましい。


ゴーラは確か打撃対策をしてた奴だが、どうだろうか。


うむ。結果から言ってしまえば、サンダにゴーラは倒せなかった。多分、投げられてしまえばどちらも受け身がとれて互角だったのかも知れないが、ゴーラは投げられなかった。そもそも投げられない様にする事が出来た。一方でサンダは既存技術に受け身を追加しただけのもので、他の同期と同レベル。同郷?の誼で贔屓をしてやりたいが、これでは駄目だ。


双方ダメージ無しという点では、先ほどの戦いと大差ないが、片方が一方的に投げられているという点で、明らかな差がついている。


「やめ!勝者ゴーラ!」


まあ、ガッハ軍長でなくても、みんなそう思うだろうな。


サンダはもっとやらせてくれれば絶対勝てるなんて喚いちゃいるが、ここにいる誰もがそんな事に耳は貸さない。こりゃ駄目だ。

同じ隊の奴に退場させられる。


「次!ベンとダン!前へ出ろ!」


あー、ウルクはせっかく俺が推したのに軍長推薦は得られなかったのか。

またも軽く会釈を交わし、始める。


今回は第一試合と異なり、かなり決定的な差がついた。ベンはこう言っちゃ悪いが、サンダ同様の「ヴルドスタンダード」だ。力任せの投げに受け身。サンダとの違いはほぼ膂力だけ。一方のダンは予選で見た通りの空手っぽいスタイル。力任せのベンにはきつかろう。


力任せに掴みかかるベンに、ダンが冷静に突きを打ち込む。何にしてもベンが掴むという隙をダンは与えない。引き手を取ろうとしてもあっさり切られる。襟を掴みにいけば、ボコボコ殴られて外される。


勝敗は最初から見えていた気がするが、やはりダンが勝った。ベンはたくさんパンチを貰って沈没してしまった。


まあ、ダンの予選を見ていた俺には分かっていた結果ではあるが。が、大方の観客はダンの予選を見ていない。俺以外の打突を見てちょっと引いている。


ああ、そうか。基本的に掌打を使って意識を刈り取ったり、一発で沈黙させる俺と違って、ダンの打撃は言ってみれば泥臭いからな。ベンなんて殆ど御面相が変わってしまっている。あれは引くわ。


「次!準決勝戦!ゴーラ対ダン!前へ出ろ!」


いよいよ今大会のメインイベントか。って言うか、最後の試合?二人はどんな戦いをみせてくれるんだろうか。

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