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第五十六話 主人公、異世界格闘大会で戦うのこと。その七 優勝、そして。

最後の対戦者となったギリー。結果からいえば、「期待はずれ」だった。ここは最強の相手が登場というのが少年マンガの王道だが、そうはならなかった。サンダ達と同様に、「受け身だけで勝ち上がった」だけの奴、それがギリーだった。


一応試合経過だけは記録しておこう。


気合い十分に立ち上がったギリーに対して、俺としてはここで全て出し切っていいぐらいのつもりだった。

奴の構えは普通。他の奴同様に両腕両脚を開いて掴みかかってくるスタイルだった。俺がまず、様子見に放ったのが掌打のワンツー。ジャブで距離を測ってストレートだが、ギリーはこの両方をまともに食らって、そのままダウン。立ち上がれずに決着してしまった。


俺はもちろん拍子抜けだが、おそらくその場にいた人間全てが同じ気持ちだったに違いない。


「勝者!レオ!」


と宣言されても、全くと言って良い程勝った気がしなかった。

少なくとも、二回目以降が開催されるのならば、全員受け身の習得は必須なんじゃないだろうか。こんな受け身ができるだけで勝ち上がれるようでは、格闘技大会の名が廃る。


軍長が前に進み出て、結果を宣言する。

「最後の戦いでレオが勝利したので、優秀な勝者、優勝者はレオ・ヤマザキとする!


「賞金の金貨、賞品の新式武具の授与はおって行い、優勝者であるレオには新兵訓練の格闘技教官の地位を与えるものとする!


「この決定は軍としての決定で、異論は認めない」


そんなこと宣言しても、後で絶対うだうだいうのが人の常なんだな。


「恐れながら申し上げます!」


お、ここで物言いでもついたか。観客席から声が上がる。

誰だ?


「優勝者がレオであることに異論はありません。しかし、『次』は誰でしょうか?」


立ち上がったのはどこかの十人隊長のようだ。それにしても『次』とは?


「次とはなんのことだ?」


軍長の疑問はごもっとも。


「レオの次に強い奴のことであります」


ははあ、準優勝のことか。確かに、トーナメントといいつつ、実際には途中で両方負けてしまったり、勝ち抜き戦になってしまったりしたものな。半分は俺のせいだけど。サンダあたりは「引き分けで負け宣言されただけで、実際にやったら自分の方が強い」とか絶対に思ってる。

試合みていた奴には説明するまでもないんだけどね。逆にいえば試合を見ていない奴には分からない。


同じ事を十人隊長に言われて、ガッハ軍長が詰まった。


「準優勝決定戦したらどうですか?」


ここは共犯者として助け船を出そう。


「ゴーラとサンダ、ウルクとこいつとでどっちが強いかやらせればいい」


と、俺が予選の最後に倒した奴を指す。名前知らないんだよな。トールは桐にも同じ名前の奴がいるのでやめておく。


「勝ったもの2名が更に準優勝を競えばいい。

「ただ、その前に食事にした方がいいんじゃないだろうか」


正直、お務めご苦労さんで、ムチャクチャ腹減った。多分朝昼飯の時間は過ぎてるぞ。


「よし解った。まずは食事をとり、その後に準優勝決定戦をおこなう。組み合わせはゴーラとサンダ、ベンとダン。更に勝ち上がった者同士で準優勝を競う」


あー、ウルクではサンダと引き分けているから、順位はつかないのか。あの強いのはダンっていうのか。ダンも教官できたらいいだろうな。

俺なんかは元の世界にいた頃にみていたアクション映画やマンガ、アニメやドラマのイメージで格闘技を組み立てていったけれども、そういうもののないここヴルドであれだけの打撃を工夫できたダンとは少し話をしてみたい。


そう思って、食堂ではダンの前に席を取らせてもらった。


「ここ、良いかい?」


「どうぞ」


なんだかんだいっても、ここは同期の気安さだ。

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