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第五十五話 主人公、異世界格闘大会で戦うのこと。その六 勝ち抜け戦〜力比べと打撃、投げ

ゴーラとがっぷり四つに組むが、上背があるので俺の方が有利なはずだ。が、奴め、普通に堪えやがる。力では負けてるって事か。ぐぐぐ。手首を捻ってみるが、潰れない。奴の顔が真っ赤だが、俺も負けず劣らず真っ赤だろう。腕を左右に開いて、下から捻り上げるようにしてみる。


ぐぐぐ


くそ。堪えるか。


なんにしても、このままではらちあかんな。


しょうがない。前蹴りで距離をとる。


仕切り直す。


ゴーラはやっぱり両腕を広げて掴みかかる。ここは敢えてジャブを放ってみる。


「シュシュッ」


ほほう。他の奴とは違う。ジャブにもきっちり反応する。やるな。しかも隙を見ればこちらの腕をとろうとする。これは俺も足を使うべきか。


牽制にジャブのようなローキックを混ぜてみる。ふむ。嫌がりはするが前脚を浮かして対処する。さっきの投げ膠着とは違うが、別の膠着だ。ただし、俺が打撃主体で攻める限り、ゴーラに攻め手がないように見える。一見一方的に攻めているように見えるだろう。


ただ、俺もこのまま攻め続けることはできない。ラウンド制ではない以上、いつか息切れが来る。まあ、そうそう息があがることはないが、まだもう一人やらねばならない。全力を出し切ったら負けだ。


フットワークに前後の動きを加える。蟷螂戦法だ。ポイントは組み合わせ。どうしても前進と攻撃を組み合わせたくなるところを敢えて後退と攻撃、前進と攻撃、左右の動きと防御、防御前進、様々に組み合わせる。


こちらの前進にあわせて奴がガードを上げる。そこを攻撃しないでタイミングをずらして横にずれる。こちらを目で追おうとするところにジャブ。慌ててガードするところで後退。虚を突いて前進しながらジャブ。ガードしたところで足を止めて左右にフェイント。


ふむ、いい感じに押し込めている。こちらを気にしてガードを下げればジャブが入るので、奴め、ガード一辺倒だ。ローキックへの対応も次第に疎かになっている。


実際、ガードも万能じゃない。攻め手のように衝突部位を選べるわけではないから、どうしてもダメージが蓄積される。相手をよく見てガードし切れればいいが、今のように一辺倒になったらそれも難しい。


段々ガードが下がってくる。ジャブだけではなく時折混ぜるストレートも入るようになってきた。後は正直力押しだが、軍長の手前、それなりの見せ場もいる。が、奴の目もまだ死んでいない。油断をしたら、足下を掬われる。


最後の一押しこそ慎重に、か。


ふむ。




ジャブの連打にストレートを混ぜていたところをジャブだけで止めてみる。一度目は奴も様子見だ。そこにワンツー!


ジャブで止め、フィニッシュの隙をうかがう。すかさず、奴の目が光る。かかった。


動き始めを更にジャブで止め、またも、フィニッシュの隙をうかがうと奴の右ストレートが伸びてくる。奴にしてみたら、起死回生の一発だ。



が、ここでその右手首を右腕で取り、全身を右に捻りながら引く!奴の渾身の一撃は前のめり。


状態を右に縮めた俺は体を開いて左肘を奴の胸に。同時に後ろに残した左足は大きく弧を描いて払う。足下を払われ、胸を反対に叩かれ、腕は前にとられる。


一見、胸と足下を狙った打撃だが、こちらが脚を引っかけていることで「受け身のとれない投げ」になる。体の開き方を変えれば顎を下から打ち抜く、打撃フィニッシュにすることも可能だが。



「ぐふっ!」



せめて、変な角度で落ちたり、頭を打ったりしないように右手を引いてやる。



「勝者、レオ!」


ゴーラが起き上がるのを手を引いて助け、退場させてやる。


「対戦者!ギリー!」


次はどんな奴だ。

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