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第四十七話 主人公、異世界彼女の過去話を聞くのこと。

リサを担いで龍の吐息についたのは、日が傾きかけてきた頃だった。龍の吐息は開店準備で結構慌ただしい。食事のあと、結構話し込んでいたらしい。


「ちわッス。リサを連れてきたんだけど、ちょっとトラブルで目を回しちゃって」


「あら〜〜。」


と出てきたのは女将さんだ。


「開店準備で忙しいのに済みません」


「いいのよー、それにしてもどうしたのー?」


「いやーちょっと・・・」


ばたばたしているが、リサを手近な席に座らせる。なんだか女将さんが話したそうだ。俺も腰を下ろす。


「ちょっとはいいんだけど。

「この子ね、小さい頃に襲撃でご家族を亡くしててね・・・。」


「はあ」


まあ、その辺はそんなこともあるかと思っていた。少なくとも良家の子女ということはあり得ない。


「ご両親が開墾した畑も、さすがに一人では面倒みきれないからね。そこは他の人に売って。今はうちで住み込みなんだけど。

「正直、気分悪くしちゃったでしょ?他の人と仲良くしてて」


「ええ、まあ」


嘘吐いてもしょうがない。


「この子なりに一所懸命なんだよね。いつまでもうちで料理運ぶって訳にもいかないだろうし」


ですよねー。


「少しでも条件いい人を見つけようって必死なんだよね。その気持ち自体はあたしも分からなくはないんだけど」


「自分が条件いいとは思わないんですけど」


「何言ってんのよ!ヴルドじゃ兵隊ってだけでもましな方なのよ!そりゃ上を見たら、公や貴族もいるだろうけどさ、仕事も土地もない人間だっているんだから」


リサもそうか。料理運びが一生の仕事になるとは思えんからな。


「兵隊ならば、少なくとも生きている間は生活ができる。そう思う市民だってヴルドにゃ多いのさ」


「一年生きられない奴も多い・・・」

春遠征で死んでしまった、同期もいたな・・・。まだ幼い、少年たちだった。


「そんな中で一年生き抜いた兵隊っていうのは、それなりの意味があるってものさ。そんな中であんたは目立つ。あんたみたいに体のでかい奴はまだみた事無いからね」


そういえば、アメリカの大統領とかは身長が決め手だったとか、聞いたことがある。尤も、俺が記憶している大統領はあんまり体がでかい奴じゃなかったから、嘘かも知れない。


「おまけにあんたはその目立つなりで生き残っただけじゃなくて、いろんないさおしがあるっていうじゃないか」


「怒られることも多いッスけど(笑)」


「あの時はねー。相当びっくりしてたんだよ、この子。もうあんたが軍から放り出されるみたいな話も聞いたしね」


「あー」

それはそうか。軍人があこがれなんだから、軍から放り出された俺では確かに口説いても意味がない。


「だからって誤解しないでね。あんたが軍人じゃなくなっても、この子はあんたのことは好きだったよ。

「でも、すごくびっくりしてね。もううろたえちゃってみていられなかった。そんな時にあんたの噂をしてた軍人つかまえて、根掘り葉掘り聞いてさ、逆に軍人の方が本気になっちまって」


それはそれは。俺が見かけたのはちょうどその頃なのか。色々めんどくさい話になっちまったな。。。


「でもそっちの方はもう大丈夫だろう。ちょうど今日、そいつに絡まれて。

「悪いけど伸しちまった」


「あらあらあら。それはまた。あんた、腕っ節は相当なもんなんだね」


「まあ、何にしても話は分かったよ。こいつと俺がどうなるかは分からないけれど、まあ、悪いようにはしないよ。女将さんの顔は立てる」


話し込んでいる間に店が開いて、客がちらほら入ってきた。長居しちゃ悪いだろう。


「長居して悪かったな。帰るわ。リサのこと、よろしくな」


「まいどー」



渡しを渡って、宿舎に戻る。冬の日暮れは早い。辺りはもうかなり暗い。旧市街の北門を通っていく。何だ?門衛の先輩が変な視線を向けてる気がする。



食堂で夕食をとってから眠る。




桐隊に新兵の徒手格闘訓練教官の話が来るのは、非番の日の三日後のことだった。またもや俺は悪目立ちをしてしまったらしい。


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