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第三話 主人公、異世界生物に食べられるのこと。
ハエの羽音はもう気にならなかった!
とにかくアレはヤバイ!やばすぎる。
奴は後ろだった、後ろだったはずだ。
うむ。
今の所はみえない、が・・・。
奴の足音は聞こえる。
カサリ、カサリと忍び寄ってくる。
カサリ。
枝を払ってこちらに顔をのぞかせる奴。
うわ!
やっぱりあり得ない!
身体が固まってしまう。
その有機的な曲面でありながら、無機的な光沢を放つ表面。
先端をゆらゆらとゆらす触角・・・。
その目はこちらをみているのかみていないのか。
奴が口を開いた。
グロテスクな口が上下、左右に開く。
奴が腕をゆっくりと振り上げる。
ヤバイ。
さっきはそれを喰らった。
振り下ろされる瞬間、とっさに身体が動いた。
振り返り、走り出す。
だが、奴の前肢は俺の離脱を許さなかった。
鈍い音がして前肢のとげがレザージャケットに刺さる。
「うを!」
思い切り後方に引っ張られた。
目の前が真っ暗になる。
「!?」
痛え!!
耳が削られる!?
痛え!痛え!
顔を削るな!
俺は、俺は喰われてるのか!?
この牛のような大きさのカマキリに!
頭から囓られてるっていうのか!
あ、意識が・・・・。
・・・・。