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第十六話 主人公、異世界について学ぶのこと。その二 魔法について

今回も設定解説編です、ぶっちゃけ。

村長の講義は続いた。


驚いたことにこの世界には「魔法」があるのだという。俺はてっきり・・・、いやなんでもない。


元へ。魔法があるのだ。


おおー!


「そうしたらさ、村長さん。

「偉大な魔法使いとかがいて、大軍を魔法の炎で焼き尽くすとかあるの?」


って訊いたら、村長さんだけでなく鍛冶屋の三男やザッカーさんとこの次男にまで「可哀想な人」をみる目でみられた。


え・・・・?


「そんなに何を燃やすの・・・?」

とはエンドヮさん所の四男の弁。


「え、何ってそりゃ、魔法的な何かじゃないの?」


「その何かって奴が何だって訊いてるんだろー。バカだなー」

これは鍛冶屋の三男。こいつ!


「そんなによく燃える「何か」がそこら中にあったら、僕たちはあっという間に燃え尽きてると思うんですけど」

これはエンドヮさん所の四男。


そりゃそうか。


物が燃えるためには「燃料」がいる。人体には基本的に燃料と呼べるほどの可燃物はないから、体を燃やすためには燃える温度まで加熱してあげるか、火がつく温度まで上げてから火種をあたえる必要がある。


前者の温度が「発火点」で、後者の温度は「引火点」だ。聞いたことがある。人体を直接加熱するのであれば、輻射か何かで人体の温度を上げる必要があるし、加熱性の「何か」を付着させて燃やすのであれば「燃料」がいる。


いずれにしてもそんじょそこらにある物ではないし、逆にあったらあったで危なくてしょうがない。そんな世界では文明を発達させるどころの騒ぎじゃないだろう。


また体内に「魔力」を持つと仮定すると、その「魔力」をどうやって補充するかが鍵になる。そんなに高カロリーのものを食べ続けるのも不健康だろうし、人体の基礎代謝だけでもバカにならない。「魔力燃料」なんて体内に抱えていたら、恐ろしくて火も熾せない。


これが冷却やなんかでも同じことだ。どうすれば物が冷えるかなんて俺は知らないが、ただ、水を生み出す魔法は冷却の応用でできるかもしれない。


あー・・。そういうことかぁ〜〜。


「そうしたら、魔法ってあることはあるけど、大した物じゃない?」


「まあ、そうだね。それでもそれほどバカにした物ではない。道具がなくても使える火種があるわけだし、職人の工作では魔法のあるなしで仕上がりにはずいぶんな違いが出るよ」


さすが村長、大人の対応だ。


他にも猟師が矢の当たりを修正したり、農家で作物の生長に違いが出たりとこの世界での魔法は生活に密着しているようだ。


「これは魔法使いの名誉のためにいうが、もちろん戦争で大きな働きをした魔法使いもいる。

過去に南大陸で起こった戦争では、とある魔法使いが敵国の王城に星を墜とし、戦争の行方を決定づけた伝説があるという話を聞いたことがある」


「マジか!」


これは鍛冶屋の三男も知らなかったらしく、奴の目つきが変わった。


「本当だと思うね。南大陸では星見が発達しているようだから、それを応用したのだろう。50年戦争の時だというから、落ちそうな星を星見で探し出して星の道に魔法で手を加えたのだろう。

「後は50年戦争を続けていれば、いいわけだ。

「惜しむらくは、あまりに時間がかかりすぎたために、結果が出た頃には半ば伝説化していて、魔法使いの名前はおろか、具体的な記録のほとんどが失われていたことが残念だね。何しろ戦争中のことだ、星を墜とした張本人でさえ結果はみれなかっただろうし、記録だって怪しい物だ。

「ただ、その魔法使いの最後の弟子だけが生き残り、戦争が終わったあとに師匠の戦果であると報告したということだね。

「ところが魔法使いがすでに死んでいることをいいことに、将軍達がよってたかってその弟子をつるし上げ、ついには記録から抹消してしまったのだという」


いやー、村長の話に俺たちなんだかしんみりしちゃったね。だって村長でさえ40歳代で、長老クラスでようやく50か60。そんなんで50年も戦争してるなんて、想像を絶するわ。


そういえば地球でも100年戦争とかあったんだっけ。信じられないよなぁ・・・。


「何を他人事のようにみているんだ。おまえ達はこれから村を出てヴルドでの兵役に就くんだぞ。ここ数年こそ大きな戦乱はないが、北の異民族なんかはいつ攻め込んでくるかわからんのだ。シャキッとしないか」


お、おお。

そうだそうだ、戦争は他人事じゃないんだった。


「もちろん、星墜としのような魔法は異民族防衛の役にたつものではない。だからといって、魔法を疎かにしたとき、その結果は自分に返ってくる。

「それこそ矢に炎を纏わせたり、的を正確に射貫いたりする魔法に力を注ぐことで、単に武芸に励むよりも高い成果を出せるだろう。

「特にレオ。おまえは魔法のことすら知らなかったのだから、通常の学習の他に魔法の基礎訓練も施そう。村の人間は皆それなりに使えるけれども、そのままではよくない。

「武芸はヴルドに出ればそれなりにやらされるが、魔法を教えてくれることはない。魔法学校もあるにはあるが、あれは魔法使いのような者が更に己を高めるためにいく所であって、おまえのような無知な者がいっていい場所ではない。

「大変だとは思うが、これもおまえが長らえる時間を延ばすためだと思って励みなさい。村としても兵役に就いた者があまり早く死んでは体裁が悪いし、翌年から兵役の割当人数を増やされても困るからな」


む、むう、そうか。

俺としても早死にしたい訳じゃないからな。利害は一致していると思って魔法修行に精を出すことにするか。


「あ、でも村長。そういうことなら武術の修行もした方がいいんじゃない?」

っていったら、


「私が武術の素人なんだよ」って笑って返された。いや村長、そんなに爽やかな笑顔せんでも・・・。


「じゃ、猟師さんには?」


「教えられる腕はあるだろうけど、嫌だっていうね。猟師になれないものに武術を教えるのは」


そうか〜〜〜。残念だ。武芸についてはヴルド軍に期待するしかないか。

玲央は異世界知識Lv2をえた。

魔法が使えるようになりそうだ。

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