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第十三話 主人公、初めて異世界で人と会話をするのこと。

朝なって目をさました。


昨日中にあの人達と遭遇するつもりだったが、考えてみれば俺以外はそれぞれ同じように生活しているんだ。つまり、昨日の時点ではまだ遭遇地点まで来ていない可能性が高い。


今日の昼頃にならなければ、この近くまで来れないだろう。


うむ。


すると、声を出しながら見つけてもらうつもりで居たけれども、どこから来たのか解らない以上、これ以上移動すると行き違う可能性が出てくる訳か。


いっそこの辺の目立つ場所で、ぼーっと待っていた方が良いこともある。


確か川岸に出た対岸だったか。



良し早速、と思ったが、一度ああいう経験をすると足がすくむ。


トラウマってー奴か。



とはいえ、こうしていても埒があかない。


ここは折衷案で行くか。


「おーい」


あれ?思ったよりも声が出ない。



プチショック。



「おーい」


「だれかー」


あー、あー。


でないな。


人間、しばらくやっていない事って出来なくなるんだな・・・。例えこんな簡単なことでも・・・。


そういえば不登校だったクラスメイトとかも、異様に声が小さかったな。そういう事か。

で、もっと声を出さなきゃって頑張ると


「だれかーっ!!!!」


大声になると。


わかり易・・・。



「誰かー!


「誰ぞ居らぬかー!」


うんうん


「殿中でござるー!」


「者ども出会え出会えー!」


訳解らんw。


まあでも、声が出ると体が動くな。


そうやって鼓舞しながら、川岸まで出ることが出来た。

当然だが、うっすらと朝靄の立ちこめる川岸には人影なんかない。


さすがにちょっと開けた場所で大声をだすのは気が引ける。誰かが居ると分かってるからなおのこと。



暇だ。


鎌でも振ってみる。

ブンブン。


あ、いててて・・・。勢いで先が曲がって、持っている手に刺さった・・・。

何やってんだ俺。


ちょっと座るか。



んー・・・。


陽が昇ってきたらポカポカして来たぁ・・・。気持ちいー・・・。



















はっ!


しまった、寝ちまってた!

気がつくと俺は、4〜5人の男たちに囲まれていた。彼らの作る影で目が覚めたのか。


何か言っているがさっぱり解らんw。


「攻撃するつもりはない。助けて欲しい」


あちゃー・・・。まったく通じた気配がない。

聞いたことがある言葉っぽくもない。


日本語のように音の高低もあるが、英語のような音の強弱もある。何語だこりゃ・・・。顔はみんな真っ黒で髪はぼうぼうに伸びている。


あ、真っ黒っていってもあれだ、肌の色が黒い訳じゃない。肌色は薄い。ただ、垢がひどいw。顔は洗え?


ヒゲももちろんぼうぼうだが、一人だけ生えていない奴がいて、女かと思ったがどうやら少年のようだ。


とりあえず自分を指して「玲央」といってみる。

笑顔で。



害意が無い事は伝わったのか、相手も笑顔で自分を指してウニャウニャいってる。名前なんだろうが、長すぎる上に発音が聞き取りにくい。

結局訳わからんかった。



後で言葉を覚えてから思い出してみると、俺の第一印象はそれほど間違っていなかった。


俺は「言葉の通じない異人」として彼らの村につれられ、そこで異世界ライフをスタートさせる事になった。


ひとまずは序章クリアーって所だろうか。

それにしても、東京にいた頃は異世界ファンタジーなんて結構読んだけど、あんな簡単なもんじゃねえな。


まず言葉。


後で異世界語を必死に覚えたわけだが、こんなん「魔法で通訳」とか無理じゃん?だって考えてみ。

異世界には東京にないものが山ほどあんのよ?逆もそうだ。しかも同じ様なもので名前が違ったりなんてさ。

どれだけその魔法作った奴は二つの世界に詳しいんだと。テレパシーだって同じだよな。何しろ「概念」から伝えなきゃいけないわけだ。


同じ東京に住んでたって、スマホを知らん奴に「スマホとは」って教える事を考えてみ?無理無理無理無理w。無理だって。


それからモンスターを狩る?無理だよ。あんな牛みたいな蟷螂がいるんだぞ?

牛だって本気になってかかってきたら何も出来ないで殺されるだろうにさ。

その上火を噴くドラゴンとか、悪の魔法使いとかなんて無理だって。


古代龍を一太刀で斬り伏せて「俺TUEEE!」とかってあり得ないから。


俺を拾ってくれた異世界の狩人さんなんか、腕だけで俺の股ぐらいの太さだよ?身長はそれほど無いけどさ。もう、半分ドワーフ。


とにかくそんな風にして俺はこの「山間の村」で異世界生活を始めたわけである。

ピコピコピー♪

玲央は序章をクリアした。

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