004
亜人間の大群が来た。
そして、それを倒すために人が集められて、私はオキュペテーに乗って亜人間共を倒すとことにした。
そして、班割りがあった。
メンバーは
私
男の娘ともいえる容姿の中学生、守護戦士のさふぁいあ
紺色のショートヘアがすごく似合っている、施療神官のミズキ
癖っ毛ポニーテール&お腹露出の危険そうな人物、森呪遣いのキャシー
赤色一色の服装で後ろから牛が寄ってきそうだと思ってしまう、格闘家のスカイ
古風なヤンキーヘアでキャシー並みに危険そう、暗殺者のガイト
「私は結色。<召喚術師>で悪霊遣い(ゴーストテイマー)。サモナーのレベルは89でサブは85で…あっ、肩に乗っているのは友達のアリエ。幽霊というべきやつがブライアウィーゼルに取り憑いているだけだから、あまり警戒しなくても大丈夫」
アリエとは、チョウシの街を出た後に出会った。
フルネームは<アリエラ=ゴァズ>
本当に幽霊で、最初に出会った時はゴブリンだった。その後、ブライアウィーゼルに取り憑いて、一緒に生活している。元は大地人だったらしい。
アリエがいなかったら、レベルが85まで上がらなかったんじゃないかと思う。
「みんなっ、このゴミ屑をよろしく!」
アリエが言ってみんながくすくすと笑う。
「それを言うならまだバカのほうがましだよ」
溜息のように私は言った。ゴミだと、あいつとカブるからだ。
「僕はさふぁいあ。ガーディアンでレベルは78。サブのほうはあんまり鍛えてないから、ないも同然と思ったほうがいいとおもう」
にこりと笑って紹介を終えた。
ミズキが「この子すつごく萌えるんだけど」とでも言うような目で見たせいで、さふぁいあの笑顔は少しずつ引きつっていった。
「ゲームくらい、違う顔にして欲しかったなぁ…」
みんながあはは…と苦笑いする中、全然大丈夫だよとミズキがはげましていた。
ミズキに励まされるのが嫌だったらしく、さふぁいあは口を尖らせた。
ミズキが気を取り直すという感じで首を振ってから、次の自己紹介は始まった。
「ミズキ、クレリックでレベルは90。サブは会計士」
商業高校出身で自営業をしていたらしい。そして、実際に、電卓の検定で段位を取得していると言っている。
話からすると、現在20代後半だと思う。
「さっきの目線とは違って、ちゃんとしたことやってるんだね」
先ほど、見つめられたさふぁいあが、ふと漏らした。
「言っとくけど、私は成人済みだからちゃんとしなきゃいけないの」
少しの沈黙の後、二人は笑いあった。
さふぁいあとミズキはもう仲良くなったように見える。
「ミズキさんって、ショタコンでしょ。 僕を見てくる人って、大体がショタコンなんだよね」
「違う! 腐じょs…?! あぁぁ…乗せられた…」
乗せられるとやってしまう癖があるようだ。
「キャシーです。大1女子で、ドルイドやってまーっす!ドルイドレベルは82で、サブの料理人のレベルは90!」
テンションが高く、弟に似ている。寝起きに殴られないかが心配だ。
「なんかこの班だけ単独行動になるみたいだから、料理は任せて! あと、好き嫌いあったら、遠慮なく言ってー!」
この言葉に一番反応したのはスカイだった。
「どうしたの?えっと…そうそう、スカイ」
行動からすると、自分は嫌いな食べ物があるから、嫌いな食べ物を食事に入れないで欲しいと言っているように見えた。
「俺はスカイ。レベル88のモンクであり、レベル58の追跡者でもあるっ!」
イケボ系の声で、私と仲がいい後輩のマリちゃんがキャーキャーいうタイプだ。私は好みではないが。
正義感が強めで、黄色い生物を殺す漫画の赤毛のような人だ。
本人曰く、この前はギルマスが詐欺に遭い、犯人を突き止めPKをして、衛兵に捕まったんだとか。また、ある時はギルドの仲間がスリに遭って、犯人を捕まえて成敗しようとして衛兵に捉えられるということがあったらしい。
「こんな人物が、まさかピーマンが嫌いとはねぇ…」
アリエがふふふと笑った。
会話に出てない事を言い出したので、みんながえっと声を出した。
「取り憑くことが出来ると、こんな事も分かっちゃう!ピーマ○マンに謝らなきゃだよ!」
みんな、こう思っただろう。
「アリエに弱みを隠すことはできない」
と。
「俺様の名前は、ガイトだ。Lv.91のアサシンで、裁縫師Lv.35」
見た目とは違って割と天然な人らしい。このアバターはサブらしく、主のほうがよかったなどとぼやいている。
「外観再設計ポーションができたら大丈夫だろ」
そう言うスカイに対し、呆れたようにガイトは言い放った。
「特殊な設定をしたから、あるクエストをやらなきゃいけないんだよ」
スカイは「そういう言い方はないだろ!」とか言いながら、自分の装備を確認し始めた。
ガイトは人付き合いがうまくいかないようだ。
私達に与えられた仕事はいたって簡単。
集まった人たちの中でもレベルの低い人が集まっているから、こぼれ球処理班だ。
レギオンレイドの中には入れなかった。
アリエのは襲ってきたモンスターに取り憑き、私とガイトでHPを少なくして、アリエは元の体に戻り、そして私とガイトでとどめを刺す。
さふぁいあとスカイは、さふぁいあが引きつけてスカイが倒すという単純なやり方。
ミズキの考えはとってもいいと思う。
●
「エミサー様、ユイ様が出席されるそうです」
ツボミは自分の新しい雇い主に静かに告げた。
「厄介な奴が来るのか… お前の役割は、あいつが来ないようにする事だったよな」
ペンを真ん中から握力で握り潰し、破片とインクが2人の衣服に突き刺さった。
白い目で見てくるエミサーに、ただ頭を下げることしかツボミの頭には浮かばなかった。
「すみません。以後気をつけます」
●
「散々だなぁ」
溜息のように、レイは言った。
ここはチョウシの海岸。大量のサファギンと格闘中。
かれこれ6時間は戦っていると思う。
サファギンと互角、いや、こちらの方が上回っていたはずだ。
りゅうのMPは底をつきかけて、パーティーのメンバーの先が危うくなっている。
「やめたいなぁ」
「それでやめられたら苦労してない」
そんな話をしていると、急に空が眩しくなった。好奇心で目を細めると、ユニコーンが海岸に立っていた。
「ユニコーン…?」
マリエールの声は、驚きでかすれていた。
「誰か召喚した?」
「こんなユニコーン見たことない」
次々と出てくる驚きの声に、レイとりゅうは顔を見合わせた。
「ユイ?」
「まさか、ね」
飛燕の一言が聞こえるまで、2人は友がやってくれたのだという可能性を信じていた。
「おい、MPとHP両方ともフル回復してるぞ」
という声が聞こえるまでは。
「本当だ!」
「えっ!?」
「やったぁ!」
再び顔を見合わせた2人は、信じていた可能性を頭の中で全否定した。
「こんな事、ユイはしないよね」
「ユイだったら両方回復はしない、片方だけフルにすると思う」
とりあえず、助けてくれたという事実に感謝して、2人は戦いを再開した。
●
___これで術式は完成ですか?
___ああ。これで、世界は変わる
___変えて、なにをするんですか?
___この世界を、破滅に導くのさ
___ッ!?
●
仲間とはぐれた奴を、少しずつ倒していく。
「ユイ、お願い!」
ガイトと連携し、暗殺者の技と召喚したソードプリンセスの攻撃を組み合わせてダメージを大きくする。今の技は、「プリネイト・イヴ」と呼んでいる。ここには給与術師<エンチャンター>がいないから、こんな技を使う。
「前方にゴブリン25匹!戦闘準備、リキャスト…ソードプリンセスあと40秒…」
ミズキが指示を出すのに合わせ、みんなで準備する。キャシーは引き続きヒーリング、月に代わってお仕置きするアニメに出てくるようなステッキを振り回す。
HPはまだ、半分以上残っている。でも、この戦いは気力の問題だと思う。
終わりの見えないこの戦いに、飽きてきた人もいると思うが、平和を守るため…仕方ないと思い込む。
念話の鈴の音が鳴り響く。でも、無視するしかない。戦闘の邪魔になるからだ。
鈴で思いついた。モンスターを引き寄せるのに楽器は使えないのだろうか。鈴とか、ホイッスルとか…
でもその前に、それを作れるかが問題として立ちはだかる。
「…イ、ゴミのユイ、何考えてんだ?」
ガイトが私の耳に向かって叫んでいた。
「ごめん…」
「まだきてなくて良かったけどな、戦闘中は妄想するんじゃねぇぞ」
そう言って、ガイトはアサシネイトを繰り出していた。
「待って、今気付いたんだけどさ、ゴミはヒドくない? ちょっと、ガイト? 反応してよー」