002
かなり遅れました
家庭の事情やら、受験やらがあって、
しかもDSからだと1990字しか書けないという(泣)
「りゅうっ!」
青髪で三つ編み、紫色と白の小花柄の袴を来た人……
俺と同じくエルダーテイルをアップデート数時間前に始めた、零八というユザネのレイが走ってくる。
「りゅう、どこにいたのさぁ」
「レイ、どこにいたんだよ」
二人の言葉はほぼ同時だった。
ここはアキバの中央通。人が大量にいて、今まですれ違ったのだろうけど、気付かなかったようだ。
最近、通りを歩く人が減ったおかげで、レイを見つけることができたと思う。
「ユイからなんか連絡来た?」
「きた、今どこにいる?って」
このゲームに誘ってくれた人は今エッゾ帝国にいる。
俺たちは、アキバの周りにいる低レベルモンスターたちを倒せるようになってから北海道に帰ろうと思っていた。
その数時間後にこうなるとは考えず。
ユイの方は、北海道でアップデートを迎えたいと言っていた。アップデートの後すぐに美唄市あたりにできるクエストをしたいと言っていた。
パーティープレイ用となっていたらしいが、仲間を連れずに一人でやると聞いたときにはもう驚いた。命知らずかっ!と突っ込みたくなった。と同時に、早く低レベルモンスター相手にちゃんとした戦いができるようにならなければという思いもこみあげてきた。
本人はいろいろ召喚してパーティーの人数にするとか言っていたけど…
それで、零八と二人でやって、今この状況。
「どうする?」
「低レベルのが出てくるところはなんかPKやってるらしいし、稼ぐにしても何もやれることないからね…」
初心者二人の溜息に反応してか、すごく威圧感のあるオーラを出す人が話しかけてきた。
「君たち、僕のギルドに来ないか?」
それは、救いの言葉に聞こえた。
●
ススキノを離れ、二日目が経った。
盛岡についたと思い、グリフォンから降りて走って、逃げる。
私は、ルール違反のようなことをしている。こういうことをしたら他のプレイヤーにモンスターを擦り付けてしまうからルールでだめだと言われている。でも、今はまだここに人はいないだろうから、やってしまう。早くアキバに行きたい。その一心で
そもそも、バグを使って遊んでいた時点でルール違反だ。チーター(チートをする人)だなとふと思ってしまう。
一日目は青函トンネルの上を召喚して来てくれたバグ入りグリフォン(制限時間なし&制限高度なし)に乗って渡り、そこからは午前中は馬で駆け回り、昼は召喚して来てくれたバグ入りグリフォン(制限時間なし&制限高度なし、だけどかわいそうだから半日にする)にのって駆け(飛び)回り、夜はひたすら走った。
こんな時、サモナーで、グリフォンを従者としていて良かったと思う。
食事は一日2食、ミカン一つを二回に分ける。どうせ、ゲームの中だから、食べなくてもリアルの方には関係ないから大丈夫だろう。お腹の音は最近気になるが。まぁ、ダイエットということで我慢しておこう。
寝てもいない。寝た場合、いつススキノに戻されるか分からない。ふらつくこともあるが、きっと大丈夫だろう。
ススキノを離れて三日目。
明け方から雨が降り出した。ススキノから持ってきた袋をかぶり、視界があまりよくないから歩いた。
召喚してきてくれた動物が可哀相だとも思う。こんな雨の中びしょびしょにさせたら、きっと風邪をひいてしまう。そもそもこの世界で風邪をひけるのかどうかわからないけど。
今日は雨のおかげで水を途中で飲むことができた。はずだった。
蒸留セットを持ってくるのを忘れたため、水はお預けとなってしまった。
このためにススキノまで戻るのはばかばかしいから、もう少し我慢。
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
そんな感じの生活を繰り返して一週間くらいがたったころ、無事にアキバに到達した。その時に私はかなり無茶をして疲れていた事に気付いた。
急いで寝られる所を探し、外壁に苔が大量に張り付いているビルを見つけた。東京での私の自宅の近くだったビルにそっくりだ。この事に、少し安心した。
あとは、レイとりゅうを見つけるのみ。
そんなことを考えているうちに、思考があやふやになり、目の前が見えなくなって、
夢の中に行っていた。
●
「…ユイ、ユイ、」
聞き覚えのある声がして目を開けると、隣には、頼れるお兄さん的キャラに見えるが実は大ざっぱで聞き間違いが多い私の友達、チサがいた。
そして、このレンガの道…
ここはきっと、通学路…国道沿い……男友達と帰るルートだ。
「ユイって好きな人いるのか?」
唐突に言われたその台詞に、私は対応できなかった。数秒ほど何のことを言っているのかを考えてしまった。。そして、理解したところであいつの笑顔が頭の中をよぎって、私は黙ってしまった。このせいでかなりチサに空白の時間を作ってしまった。
「え、え、えぇーっとぉ…」
きっと、私の顔は真っ赤になっているだろう。言葉にしていいのか、いけないのか、分からない。
恋愛の相談はしたことがないというか、私的に隠したいと思っているし、恋する乙女的発言をしたらきっとこの人は引いてしまうだろう。
「んじゃ、マサキはリア充だから面白くない……そうだ、シンは?」
チサの隣を見ると、シンがいた。
「えっっ」
いつも通りの、表情。
なんで私はこんな奴に惹かれるのだろう。いいとこなんか、まるでないのに。
挙げるとしたら…
笑顔がかわいいこと、天然なこと……かなぁ。
こんなことを考えているうちに私はまた顔を赤くしてしまっているのだろう。まるで足が地についていないような思考回路にチサの動く手が入ってきた。
「ユイ、何考えていたんだ?」
ああ、もう嫌だ、
なんで私はしゃべることを拒否してしまうのだろう。この話が流出することが怖いからか?流出して冷やかされるのが嫌だからか?
素直になりたい。
●
「エルダーテイルのようだな、ここ」
シャインは自分の装備を確認している。本物だと思ったからか、いつもよりも興奮気味だ。
「お前の刀振り回すことは普通にここに来るまでもできたけど、俺の魔法を使うことは現実じゃあり得ないっから」
メニュー画面を誰かが叫んだ方法で見て見ると、俺は妖術師となっている。現実で考えたら、絶対にありえない職業だ。
「ファンタジー小説をよく読む人はいいよな、この世界にすぐ適応できて」
「お前が適応できないのは彼女がここにいないからだろ」
「当たり」
何故かかわいそうに思えてくる。
「帰りたいっけどさ、なんかログアウトできないっていう人いるから不可能だと思うんだよなぁ」
試してみたいが、どうなるかが予想できない。バグを入れるという違法行為をしてしまったからだ。
もしもそれで現実世界での死を迎えてしまったら、今まで生きてきた意味がない。
●
思考回路の中に、ベルの音が鳴り響く。
目が覚めると、腰が痛い。コンクリートに寝ていたせいか。
「ユイ、今どこにいるの?」
明るい声のヒナからだった。
「もうアキバについてるけど」
「一週間以上連絡が取れなかったから、心配したよ」
ほっとしたような声が聞こえる。
「ススキノはどう?」
「今、ヤバい……しゅうのギルドよりも大きい所が暴れていて」
念話の奥で、悲鳴と何かが割れる音、金属音がする。
「なんとかできないの?PKとかやればいいんじゃない?」
「それがあった!ありがとう!さっそくやってくる」
そう言って、ヒイラギは念話を切った。
しかし、アキバに来たものの、何をしようか。情報ばかり集めることはつまらない。一応レベル上げておこうと思って、アキバの外に出ると、PKに会ってしまった。でも、出てから10歩の所だったので少しずつ後ずさりして、アキバの街に入り、衛兵に後を頼んだ。
もう一度装備を確認し、外に出る。
雑魚モンスターは5分で片付けた。召喚は楽しいと思った。召喚が間に合わない場合は、こっそり持っていた木刀で攻撃した。サムライよりはダメージが少ないが、少しは効くことが分かった。
自分は今どこにいるのだろう。
いろんなことを考えて、地図を買わずにお金を貯めている。
でも方角的には合っているはずだ。
●
急に何かの気配を感じ、ウンディーネを召喚する。
気配は冒険者だった。
「クラスティは、こっちに行ったと…」
「でも、そいつのルートが間違っていたら、どうするんだ?」
クラスティとは、確か大規模ギルドのギルマスしている人だ。
「今度こそ、あいつを仕留めて、装備をいただくぞ」
「おう」
PKだ。
何故あんな人、しかも、仲間を引き連れた人を二人で狙うのかが分からない。…と思ったら、後ろに20人くらいの人がぞろぞろとついていっていた。
アキバを離れ、狩りをする場を目指す人は多くなった気がする。数日前はモンスターの気配しかしなかったのに、訳の分からない気配が混ざるようになってきた。
とりあえず、さける。
自分を守るために。
……と言って、実は人が(慣れた人以外)苦手だったりする。本当にこれは直さないと、この後どうなるかが分からない。
召喚した時に来てくれたウンディーネは、いつの間にか寄ってきたモンスターをやっつけて、私のレベルも知らないうちに80を突破していた。
この前、いろんな人の話を盗み聞きしていると零八とダグはどっかのギルドにいるということが分かった。
そのことを思い出して、2人はどれくらいレベルが上がっただろう。ちゃんと生活しているかな?私みたいになっていたら、どうしよう……なんて考えてしまった。
少しぼんやりすると、低レベルのゴブリンに囲まれていた。
「何よ、あたし1人をこんな多くで仕留めるの?……上等じゃねぇか、やってやるぜっ!」
幻獣憑依を使い、ゴブリンへと向かっていく。
そして
わずか5分で退治。






