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竜が東洋風、龍が西洋風らしい。

竜と龍の違いとしてはまず、龍のほうには大きな翼があるのが特徴だろう。竜は比較的細長い体を持ち、嵐などの天変地異などと描かれていることが多いが、龍は渓谷に佇んでいるような描写が多くその扱いからも大きく違いがあることがあり、ユウの変化は翼があることから西洋風の龍と考えられ、

遅れてしまい申し訳ありません何でもはできませんが許してください。

ズダン!としゃがみこんだ姿勢からゆっくりと立ち上がって頭を軽く数回振る。


んで、俺の体に起きた変化をもう一回よく見下ろしてみる。


頭には後ろに流れるように2本の角。


コートをレオラに預けているからシャツだけの体に、よりはっきりと分かる、鱗っぽい何か硬いものに覆われた顔を除いた全身。


極めつけは背中から生えた、ここまでの飛行を可能にしてくれた翼と


器用にズボンを避けるように腰から生えた立派な尻尾。


翼と尻尾はフワフワとした柔らかそうなものではなくて……ファンタジーとかゲームで見るような、龍のそれ。



「……まぁ、これはこれでいいな。」


突きを軽く数回出してみると、素の状態に比べては速いけれど狼化の速度には負ける位の勢いだった。念のために体を動作確認みたいに動かして各部のチェックをしておく。首や関節を動かしているとパキッ。パキッ。と薄いプラスチックが割れるような音を立てて鱗が俺に最適化されていってるのがよく分かる。


「ユウ!」


「おお。ノッチ。大丈夫だったか?」


「ユウさん!そこは危ないですって!火炎放射?でしたか……それが飛んできますよ!」


ノッチに続いて同じバリケードからシスティまで心配そうに顔を出して俺に警告を飛ばしてくれる。


「平気だよ。あんな簡略化した筒、そこまで連続して撃てねぇって。暫く冷却とか、休ませないと撃てないんだろ?なぁ、イレウス。」


「……お前が私を呼び捨てにするな…!」


「まぁ、言ったことが違ったり、悔しかったら撃ってみたらどうだ?」


そう言うと悔しそうに顔を歪めて火炎放射器のレバーを砕かんばかりに握りしめるイレウスは予想通り。


「お得意の部下で攻めてきても良いけどな。」


踵を返して火炎で焼け焦げた地面を踏みしめてもう一人、心配していたであろう仲間のとこに歩いていく。


「悪い。少し手間取っt「ご主人ぃん!」


鱗がめり込むかと思う程の勢いでハグ(ほぼ体当たり)をかましてくる側近の肩を優しく掴んで少し落ち着いてもらう。


「なんというか、今度のは『わいるど』ですね。」


この変化をわいるどですね。で片付けて隅々まで覗いてくる側近。どうでも良いけどシャツを捲って腕を見ても外と変わらないんだけど。


「ユウ。平気なのか…?」


「ん?なんの問題もない。ああファルク、お前ブレグマ来てたぞ。危うく死にかけたわ。」


「……勝ったのか?」


驚きを隠せないようでエメラルド色の目を見開いて俺を見てくるファルク。


「……いんや。とりあえずダメージ与えて今日はかかってこないようにしただけ。」


今冷静に考えれば2回目の尻尾の一撃はどこか手応えが変だったし、あのアザミとやらの魔法でどうにか逃げたんだろう。


「……で。」


簡単に回りを見回して状況を確認してから、


「何か用ですか?」


さっきからずっと仏頂面で俺を睨んでいるアニエスに質問。


「…………別に。」


結構長めに言い淀んだってことは…何か言いたい時の典型例だな。


これはあとでこのことにツッコむとメイスが飛んでくる迷惑パターンだ。スルーで。


さて、


「まぁ、俺に任せておいてくれよ。すぐに終わらせてくる。」


後ろから誰か来てることは分かっている。


「平気?」


「何が。」


「だってほら。あれ。」


手をパキポキ鳴らしながら準備しているとアニエスが俺の正面を指差している。


そっちに目を向けてみると、大きな戦斧を掲げた屈強そうな兵士が3人。


「……私が何も知らないとでも思ったか…!お前を真っ二つにする位、訳ないことだ!」


「ははは、真っ二つってことは要するに降り下ろしだけってことだろ?かわしやすくしてくれて、どうも。」


軽く茶化してイレウスは無視。


「まぁ見てろって。」


アニエスを無視しておくと後々が面倒なので一言だけ言っておく。



「負ける気なんてしねぇし、接戦にもなりゃしねぇよ。」



翼をパタパタさせて言うと


「……!殺せ!!」


どうやら聞こえていたらしいイレウスの号令を受けて戦斧を持った内の一人が突進してくる。


俺は歩いて敵に近づいていく。


狙いからして、首か。横凪ぎに振るわれてくる戦斧は狼化だったらまず防げないだろう。多分ガードに出した腕ごと持ってかれる。


だけど、まぁ…


今なら斬られる気はしない。



バキィン!と金属が割れるけたたましい音と共に、半分になった戦斧の上半分が近くの地面に突き立つ。


少しだけ痛む首を擦りながら顔をあげると真っ二つになった自慢の戦斧と首が飛んでいない俺を交互に驚きが隠さずに眺めている。


少し悪い気がするけど呆然としている兵士に接近して軽く投げ飛ばす。想像以上に飛んでいった兵士はそのまま拠点の壁までライナーで飛んでいき、ぶち当たって止まった。


「どぉした?斬るんじゃなかったのか?」


俺の挑発を受けて残る内の一人が降り下ろして来たから、今度は左手で掴んで受け止めて、それから力を入れて握りつぶす。


握りつぶした戦斧の欠片を投げ捨てながら拳をテイクバックして溜める。


しかしもう2回目になると驚いたりせず、体格差を使って押し潰そうとしてきた。

そのまま潰される訳にもいかないので、尻尾で足元を払って体勢を崩して、

左の突き。


ズンッ。と鈍い感触を残して白目を向いた兵士をその場に寝かしておく。腹を見てみると俺の拳の部分が赤黒くなってしまっていた。

……この変化で熊手は止めておこう。


兵士がとりあえず死なないことを確かめてから

ゆっくりと体を、イレウスとその兵士達の方に向け直す。



「さて、次は誰からだ?」

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