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行き詰まったら、一回深呼吸して現状確認が大事。

そう言えば最初に刃物を向けられたのは中学二年だったっけ。その時不良の頭だった奴に絡まれ、うっかり倒してしまったとき向けられた。でもあの時はカッターだったし、刺されるのが嫌で横から殴ったら運よく折れた。


けど今向かっている先には殴ったところで折れなさそうな頑丈な刃物─槍だ。



だから先ず…懐に入る!



まさか兵士も突っ込んでくるとは思わなかっただろう。しかし直ぐに気を戻すと槍をつき出してきた。狙いは頭。


何故かよく見える視界に槍の剣先が鈍い光を放ちながら迫ってくる。


走りながら頭を左に倒し槍をかわす。


かわしきれなかったのか、髪が何本か切れ、宙に舞う。だがこれで懐に入った。


そして─この一瞬は隙だらけ!


「セラァ!」


溜めた右の正打。しかしプレストアーマーに当り、兵士は倒れることはなかった。


瞬間、その場で素早く身を屈め横凪ぎの槍を今度はかすることなく、やり過ごし、またしても空いた腹に今度は左で一撃。やはりというかダメージはあるようだがそこまでではないようで、直ぐに来た腹を狙った突きを横とびでかわし、距離を取る。



両手は少し痛むが大丈夫。槍の攻撃パターンもある程度ならかわせる。


問題は─さっきから頭に響いてくる例の音。キィーンという音が今ではまるで何か計算しているコンピューターのように


キィィィィィンと継続的に鳴り続いている。そしてかわしているときに気づいたのだが、音が鳴っている間体の、いや



─あらゆる身体能力が上がり続けているように感じる。




現にさっき3回目ですでにかすることなく槍をかわせている。


まぁこれは後で考えるとして、今はこの勝負だ。恐らく今の状態なら最初のカウンターをもう一回やったら今度は間違いなく貫通してしまう─そんな気がする。よく見ると左で殴った方はプレストアーマーが俺の手形をくっきり残している。必要以上にダメージを与えず、勝つ方法。



「…良し。」


気を引き締めて再度肉薄。最初の接近よりやはり早い。兵士も槍を突いてくるがもう当たらない。しかし外した槍を直ぐに持ち変え、自分の死角を守るように横凪ぎの一閃。それを身を屈めかわし、今度こそがら空き。力が籠った右を裏拳で、顎に!



「ハァッ!」


あまりに力が籠りすぎたのか『ブンッ』くらいの気で振った『ボッ』という音だったが狙い通り兵士の頭を揺らせたようで、兵士は槍を杖がわりに立っているのがやっとのようだ。



一先ず距離を取って緊張を解くと、それと同時に籠っていた力は何処かに消えていった。


俺の能力は結局よくわからないままだが


とりあえず勝った。そう思いノッチに視線を向けると─もう一人の兵士と一緒にポカーンとしていた。



何がそんなに不思議なのか、興奮状態であまり冴えない頭で考える。


今ここで起きたのは


『槍で武装した兵士を素手の人間が倒した。』


─冴えてなくてもよくわかる。


変な所しかねぇ。




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